第295話 【目覚めの極上ハーレムと衝撃の朝食】至高の朝風呂と絶品スープ! 異世界の常識を打ち砕く究極の城ライフ!
翌朝、ダンジョンの天井に施された広大な擬似太陽が放つ柔らかい光によって、俺は心地よく目を覚ました。
ふわりと漂う甘い香りに包まれながら視線を落とすと、案の定というか、今日は右側にダークハイエルフのグレイア、左側に龍脈の魔女ウィーラがピタリと身体を密着させて眠っていた。
俺が体を少し動かすと同時に、二人の美女も静かに長い睫毛を揺らし、パチリと目を覚ました。
グレイアは細い腕でうーんと優雅に背伸びをしながら、満足そうに微笑む。
「ん……おはようヒロト。このダンジョンの太陽光は本当に心地が良いわね。余計な湿気や寒さがなくて、毎朝すごく目覚めが良いわ」
「そうじゃのぅ……ふぁぁ~あ。朝の光が目に染みるわい。さて、お湯でも被ってシャワーを浴びてくるとするかのぅ」
ウィーラが可愛らしい欠伸を噛み殺しながら、寝ぼけ眼で身体を起こした。
「私も一緒に行くわ。寝汗を綺麗に流したいものね」
グレイアも続いて起き上がる。ちなみに、この二人は寝苦しいのが嫌いだそうで、毎晩一糸纏わぬ全裸で俺のベッドに潜り込んで寝る癖があるのだ。
視界に飛び込んでくる目の毒すぎる極上の裸体を必死に意識から追い出しながら、俺は苦笑いを浮かべた。二人はそのまま堂々と部屋の専用浴室へと向かっていく。
俺はサイドテーブルの魔法ピッチャーからグラスに冷たい水を注いで一気に飲み干すと、洗面所で顔を洗って素早く着替えを済ませた。
「ふたりとも、俺は先に食堂へ行ってるよ~」
浴室のドアに向かって声をかけると、中でシャワーの心地よい水音を響かせていたグレイアから爽やかな返事が返ってきた。
「はいっ、ヒロト。身体を洗ったらすぐ追いかけるわね」
部屋を出て廊下を歩き、大食堂へと向かおうとしたその時、まるで示し合わせたかのようにリビングの扉が開き、ハクとレイが姿を現した。
「おはよ~、二人とも」
「「ヒロト、おはようっ!」」
いつ見ても寸分の狂いもない完璧なタイミングで登場する二人だ。もしかして俺が部屋を出る気配を察知して、ずっとリビングで待っていたのだろうか?
そんなことを考えている隙もなく、いつも通りの固定位置——右手にハク、左手にレイがすささっと吸い付くように取り付き、三人並んで仲良く大食堂へと向かった。
重厚な大食堂の扉を開けると、専用の長テーブルにはすでに妻たちや側室たちがそれぞれの指定席に腰掛けていた。(相変わらず寝坊助で朝に弱い吸血鬼真祖のヒヒナだけは影も形もないが)
広々としたビュッフェカウンターには、料理長たちが腕によりをかけた豪華な朝食がずらりと並べられている。
(ん……? あの香りは……?)
香ばしいニンニクと濃厚な魚介の香りが漂ってきた方を見ると、なんとそこには昨日ノガートの港町で食べたブイヤベースにそっくりな料理が並んでいた。
霊亀のリザが、深皿に盛られた濃厚なブイヤベースをガツガツと豪快な勢いで平らげている。
「うむ! この魚介のダシとトマトの酸味、そしてニンニクと香草の調和……まさに至高の逸品! 旨い!」
「流石はブラリリ、仕事が早いね……。昨日一回食べただけで完璧に再現してみせるなんて」
俺が感心していると、客間から起きてきたらしいアマゾネス王女のハーミアが、俺の姿を見つけるなり凄まじいダッシュで駆け寄ってきた。
「ヒロト様ッ! お聞きくださいッ! お早う御座いますッ!」
「あはは、ハーミア、おはよう」
「もう、本当に凄すぎますッ! このお城は尋常ではありませんッ! 私が今まで使節や冒険として泊まったどの国の超高級ホテルや王宮よりも素晴らしいですッ! こんな夢のような場所に住めるなんて、皆さんが羨ましすぎますッ!」
「はは、ハーミアも俺の眷属になったんだから、いつでもこの城に住んでいいんだよ?」
「ええぇぇッ!? ほ、本当ですかぁぁッ!? 嬉しすぎますッ! だって、お部屋のベッドと布団は羽毛みたいにふかふかで最高に気持ち良いですし、水洗便所というヤツは臭いが一切なくて清潔で感動しましたし、昨夜案内していただいたお部屋の温泉も体の芯まで温まって本気で天国かと思いましたぁぁッ!」
目が眩むようなマシンガントークだ。
城の最新設備に感動して興奮しているのは痛いほど分かるのだが、俺としては早く大好きな妻たちと一緒に座って朝食を食べたいところである。
俺が少し対応に困っていると、横から悪魔ベルフェゴルのサクラがスッと割り込んできた。サクラは俺に向かって片手を軽く上げ、『おはよう』と小悪魔的なウインクを投げてくる。
「ハーミア、感動するのは分かるけれど、そんなに一度に捲し立てたらヒロトが困ってしまうでしょう? フフ、布団や枕の寝心地が最高だった理由、教えてあげましょうか?」
「えっ!? 理由があるのですかサクラ様!?」
食いつくハーミアに、サクラはニヤリと笑ってみせた。
「ええ。あの極上の布地はアラクネエンプレスの紡ぎ出した超高級糸で織られていて、中のフカフカな羽毛は魔ダックの高級羽根を贅沢に使っているからなのよ。まさに最高峰の寝心地なの」
「ま、魔ダック……ッ!? アラクネエンプレスッ!? そんな希少な魔物の素材を寝具に使っているのですかぁぁッ!?」
案の定、ハーミアは白目を剥いて叫んだ。サクラは満足そうに頷くと、ハーミアの腕を引いた。
「詳しい話は向こうで朝食を食べながらたっぷり説明してあげるわ。さあ、行きましょう」
サクラはハーミアを連れ出しながら、俺に向かってこっそりと背中でウインクをして見せた。俺がゆっくりと朝食を食べられるように、気を利かせてハーミアを引き取ってくれたのだ。
(サクラ、助かったよ。ありがとう)
俺が念話で感謝を伝えると、サクラからすぐに心地よい声が返ってきた。
(どういたしまして、私の愛する旦那様。美味しい朝食をゆっくり楽しんでね)
サクラの気遣いに心の中で感謝しつつ、俺はハクとレイに両腕を引かれながら、温かい料理が待つテーブルへと向かうのだった。




