第293話 【絶品温泉と魅惑の混浴タイム】神々の裸躯が乱れ舞う!? 樹海帝国が誇る最高級大浴場で極上の癒やし!
「ハーミア様は客間にご案内した方が良いでしょう。ブラロロ、ご案内しなさい」
アスタロトが深々と一礼しながら静かに指示を出すと、メイド服の裾を軽やかに揺らしたブラロロが一歩前へ出た。
「はい、承知いたしました。ハーミア様、どうぞこちらへ」
「あ、はいっ! よろしくお願いいたします!」
緊張で肩をすくめるハーミアに対し、今日一緒に美味しい海鮮料理を食べたブラリリが、優しく微笑みかけながら声をかけた。
「ハーミアさん、客間には専用の素晴らしいお風呂もあるから、今日の戦いや移動の疲れをしっかり取って、ぐっすり休んでね。おやすみなさい、また明日ね」
「お、お風呂……!? お部屋にお風呂がついているのですか!?」
信じられないといった様子で目を丸くするハーミアに、勇者ユイが胸を張ってニッコリと笑いかけた。
「そうよ! しかもただのお風呂じゃなくて、地下から湧き出ている本物の温泉なんだから!」
「お、おんせん……? 温かい泉……ですか!?」
聞き馴染みのない単語に首を傾げるハーミアへ、魔女サクラが妖艶な笑みを浮かべながら説明を付け加えた。
「特別な効能がある温かい地下水のことよ。ほんのり硫黄の匂いがするけれど、慣れると病みつきになるの。筋肉痛も疲労も一瞬で吹き飛んじゃうわよ」
「まぁぁっ! そんな夢のような魔法のお湯が……っ! 樹海帝国の技術と環境は一体どうなっているのですかぁぁッ!?」
ハーミアはまたしてもあまりの至れり尽くせりな環境に「すごすぎます……!」と感動の悲鳴を上げ、目を輝かせながらブラロロの後を追っていった。
「客間の設備や温泉の使い方については、しっかり説明いたしますね。どうぞこちらへ」
嵐のようなハーミアが客間へと去っていくと、リビングに残った皇后ハクがパンと手を叩いた。
「さあ! 私たちもみんなで温泉に行きましょうか!」
ダークハイエルフのグレイアが銀髪をサッと手ぐしですくい上げ、爽やかに同意する。
「そうね。今日は砂漠で土煙も浴びたし、綺麗に汗を流さなくっちゃ」
吸血鬼真祖のヒナもぴょんと跳ねるように楽しげに声を上げた。
「行こう行こう! 温泉大好き!」
サクラも腕を伸ばしながら同意する。
「温泉最高よね! 身体がポカポカになって最高の気分になれるわ!」
楽しそうに大浴場へと向かおうとする美女たちを見送りながら、俺は笑顔で手を振った。
「みんな、いってらっしゃい。ゆっくり温まっておいで」
だが、右手を振った瞬間、ハクがすささっと距離を詰めて俺の右手をがっちりと両手で抱きかかえてきた。
「何言っているの? 当然ヒロトも一緒よ?」
「えッ!?」
困惑する俺の左腕に、すかさず世界樹の精霊王レイがしなやかに絡みついてくる。
「ええ、参りましょう、ヒロト様」
「ちょっと待って!? 俺も一緒!? 混浴になっちゃうじゃないか!」
「何を今更言っているのかしら? 夫婦なんだから当たり前じゃない」
ハクに悪戯っぽい笑みを浮かべられ、レイには優しく微笑まれ、俺は完全に挟み撃ちである。これはどうあがいても逃げられないな。完全に美女だらけの女湯に男一人で飛び込む格好になってしまうじゃないか。
俺たちが向かったのは、城の中にあるいくつかのお風呂の中でも、俺と妻たち専用として作られた特大の温泉大浴場だ。十人以上いる妻たちが全員同時に突撃しても狭さを感じないよう、信じられないほど贅沢で広大な造りになっている。
赤地に白抜きで『湯』と書かれた暖簾と、見慣れた温泉マークの暖簾を潜って中に入る。
サンダルを脱ぎ、足を踏み入れた脱衣所は、床全面に柔らかな籐が敷き詰められていた。足裏に心地よい感触があり、お風呂上がりで濡れた足で歩いても全く滑らない素晴らしい設計だ。
「まずは入浴前の水分補給ね」
脱衣所に備え付けられた冷水機から、レイが手際よく冷えた水をグラスに注ぎ、俺に手渡してくれる。自分もグラスを手に取り、ごくごくっと美しい喉を鳴らして冷水を飲み干した。レイはいつ見ても本当に美味しそうに水を飲む。澄み切った精霊王らしい綺麗な飲み姿だ。
脱衣所には大きめの木製棚が設置されており、整然と脱衣籠が並べられている。籠の脇にはフカフカのバスタオルとフェイスタオルが完備されていた。
服を脱ぎ捨て、脱衣籠へと収める。俺は大事な部分を小さなフェイスタオル一枚で必死に隠し、伏し目がちに大浴場へのドアを開けた。
しかし、脱ぎ捨てた瞬間から容赦はない。全裸になったハクとレイが、当然のような顔で俺の右手と左手をそれぞれ組んできたのだ。
視線を上げれば、そこに広がっているのはまさに天国か桃源郷かという光景だった。
他の妻たちや側室たちも全員、一切の隠し事なく全裸で立ち並んでいる。
目のやり場に困るなんてレベルじゃない。どこを見ても目の毒すぎる絶景だ。
流石に元人間の勇者ユイや、吸血鬼真祖のヒナ、魔女サクラといった転移組・元人間組は、かろうじて小さなタオルで前を隠して恥ずかしそうに頬を赤らめている。
だが、魔物や神獣からの人化形態組は実に堂々としたものだった。
皆、モデル顔負けのバツグンのスタイルを誇り、背筋がスッと伸びた美しい姿勢で歩いている。まるでパリコレのランウェイを歩くトップモデルたちのファッションショーだ。全裸だけど。
霊亀のリザは、長身で無駄な肉が一切ないキュッと引き締まった見事な体躯をしている。まるで古代ギリシャの芸術的な女神彫刻のような美しさだ。
一方、不死王のルシー、ダークハイエルフのグレイア、龍脈の魔女ウィーラたちは実に妖艶だ。豊満な胸元からキュッとくびれた腰、そして豊かなヒップへと続く身体の線が作り出す外形が、歩くたび、身体を動かすたびにゆらゆらと揺れ、たまらなく艶めかしい色気を醸し出している。
「ヒロト、顔が真っ赤よ? ほら、身体を洗いっこしましょう?」
ハクが耳元で甘い吐息を吹きかけ、レイが優しく背中に寄り添ってくる。
四方に広がる美の暴力と、身体を包み込む極上の温泉の熱気に、俺の理性は入浴前から早くも限界を迎えそうになるのだった。




