第29話 コボルトの有能すぎる増殖能力!?活気あふれる巨大都市ガリア到着と、夢の【アキート商会】で大量買取!!
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『転移』の光が収まり、野営地へと戻ってくると、焚き火のそばでアキートさん、レイク、アリアの3人が起きて俺の帰りを待っていた。
「お疲れ様です、ヒロト様! お怪我がないようで何よりです……! して、盗賊のアジトに使い勝手の良さそうな盗品はございましたか?」
アキートさんが期待に満ちた目を向けてくる。俺は不敵にニヤリと笑った。
「ええ、もちろん山ほどありましたよ!」
俺が右手をかざすと、ハクの『異次元収納』の光が閃き、アジトから回収してきた金銀の装飾品、鍛造された上質な剣や盾、高級そうな布地などの盗品がドサドサとシートの上に吐き出された。
「お、おおお……っ! これは素晴らしい! 装飾品に武具、それにあつらえ向きの美術品まで……! どれも状態が良く、ガリアの町に持っていけば高値で取引できる超極上品ばかりですぞ!」
「それは良かった。ガリアの町に着いたら、全部アキートさんのところで買い取ってくださいね」
「勿論ですとも! 最高の価格で引き取らせていただきます!」
盗品を再び異次元収納にしまいつつ、俺は思い出したように付け加えた。
「あ、それとアジトにいた盗賊の残り7人も気絶させて連れてきましたので、ガリアの町で衛兵に引き渡しましょう」
「なんと……! これで合計20人近くの盗賊を捕縛したことになりますね。お手柄どころの騒ぎではありませんよ!」
「ところでアキートさん。盗賊のアジトで囚われていたハーピーの女の子を保護したんですが……ハーピーが着られるような服ってガリアの町で売っていますかね?」
俺は一度、拠点からハピを呼び出してみた。
召喚されたハピは、パチクリと大きな目を瞬かせているが──なにせハーピー族には『服を着る』という文化自体が薄いため、完全な裸体のまま「ご主人様〜♪」と呑気にうろうろと歩き回っている。
「きゃっ!?」とアリアが顔を赤らめて目を背け、アキートさんは「ゴホン!」と咳払いをして言った。
「ああ、ご安心ください! 我が『アキート商会』では衣服の仕入れも手広く行っております。ガリアの町に着いたら、すぐにお身体に合う服をお選びいたしましょう!」
「おお、それは助かります! よろしくお願いします!」
俺は納得し、ハピを一旦送還した。
すると、周辺を索敵していたコボ1が、足音もなくすっと近づいてきた。
「ヒロト様、お帰りなさいませ。お疲れ様でございます!」
「ご苦労様、コボ1。俺が留守の間、警備はどうだった?」
「ハッ、何の問題もございません。周辺警戒中に近付いてきた不審な野良の魔物どもは、迅速に解体・処理しておきました」
コボ1がそう告げると、後ろから見たこともない野生のコボルトが3匹、おずおずと進み出てきた。彼らの手には、解体されたばかりの魔石、上質な皮や鋭い牙、角などの素材、そして新鮮な魔物の肉や骨が抱えられている。
(……ん? 見たことないコボルトが増えてるぞ……?)
首をかしげる俺に、コボ1はビシッと胸を張って言った。
「この者たちは警戒中に近づいてきた野生のコボルトですが、私の『威圧』と格の違いを見せつけ、その場でヒロト様の眷属(配下)へと下らせました。夜間の警備を手伝わせております!」
「お、おう……!? (眷属が勝手に新しい眷属を勧誘して増やしてる……!?)ご苦労様! 俺はヒロトだ、よろしくな」
3匹のコボルトたちは感激したように耳を伏せ、深々と頭を下げた。
「「「名もなき我らをおさめいただき感謝いたします! ヒロト様、よろしくお願いいたします!」」」
コボ1たちが持ってきてくれた魔石や解体素材を見たアキートさんが、目をごしごしと擦りながら大興奮で詰め寄ってきた。
「ヒ、ヒロト様っ! この魔石と極上の素材も……素材もぜひ我が商会にお売りくださいっ!!」
「ははは、もちろんですよ。アキートさんにお任せします」
素材もハクの収納に納めると、俺はコボ1に向き直った。
「コボ1、このまま朝まで周辺の警戒を頼んでもいいか?」
「ハッ! 何の問題もございません! 我らコボルト隊の総力を挙げて警戒を継続いたします!」
有能すぎるコボ1、コボ2、そしてその配下となったコボルトたちに夜間警備を任せ、俺はふかふかの寝袋に包まった。
(ふぅ……今日も本当に色々とありすぎたな。疲れた〜……!)
◇
翌朝。爽やかな朝空の下、コボ1、コボ2、そして新しく加わったコボルトたちと一緒に、昨夜解体した新鮮な魔物の肉を焚き火で焼き、豪快な朝食として全員で完食した。
朝食後、大活躍だったコボルトたちを労って送還し、俺たちは再びガリアの町を目指して野営地を出発した。
◇
馬車に揺られること数時間──ついに街道の先、空を突くほど巨大な石造りの城壁と、重厚な大門が見えてきた。
町に入る直前、俺は異次元収納から気絶した盗賊たちを引っ張り出し、頑丈な縄で拘束。目立ちすぎるライゾウを安全のために一度送還した。
代わりに、「町に行ってみたい〜っ!」と念話で駄目をねだってきたヒナを召喚。
「わあぁぁぁっ! 町だー! 本当に町に行ける日が来るなんて夢のようだわーっ!」
ガスマスクを外した無邪気な美少女顔で、ヒナが目を輝かせてはしゃいでいる。
「ヒナは今まで暗いダンジョンの洞窟で貧乏生活を送ってたもんね」
「うんうん! だからこそ、これから始まる憧れの異世界生活を全力でエンジョイするのよーっ!」
「あんまり過度な期待はしない方がいいと思うぞ……?」
門の前には長蛇の行列ができていた。
重厚な鎧を身に纏い、鋭い長槍を持った衛兵が2名、厳重な検問を行っている。村の門番とは比べものにならないほど装備も身なしも充実していた。
アキートさんが馬車を降り、手慣れた様子で衛兵へ話しかけに行く。俺やヒナの身元についても上手く説明してくれているようだ。
アリアとレイクは『傭兵ギルド』の身分証明証(ギルド証)、アキートさんは『商人ギルド』の証明証があるため無料で通行できるが、証明証のない俺とヒナは通行料(身元保証料)が必要になるらしい。
だが、その分の費用はアキートさんが「命の恩人への当然の配慮です!」と全額スマートに支払ってくれ、俺たちは無事に門をくぐることができた。
門を抜けると──そこには異世界の大都市の壮大な景観が広がっていた!
石造りと木造の建造物が美しく混ざり合い、中央を貫く広大な石畳のメインストリートは、馬車が3台同時にすれ違えるほどの広さだ。行き交う人々、呼び込みをする商人たち、活気に満ち溢れた空気。
俺は並んで歩くレイクとアリアに話しかけた。
「レイク、アリアさん。この捕まえた盗賊たちを衛兵詰所へ引き渡す件なんですが……褒賞金と奴隷として売却した代金の『半分』を差し上げますので、手続き代行をお願いできませんか?」
「ええっ!? は、半分だって!?」
レイクが思わず足を止めて叫んだ。
「おいおいヒロト、それはあまりにも貰いすぎだ! 俺たちは何もしていないんだぞ!?」
「いえ、この世界の法律や手続きに疎い俺が直接詰所へ行くと、面倒なトラブルになりそうな気がしまして。信頼できるお二人にお願いしたいんです」
アリアが困ったように微笑みながら首を振る。
「連れて行って手続きするくらい慣れてるから全然平気だけど……やっぱり半分は多すぎるわよ」
「レイクたちの傭兵団は、今回の戦いで大事な仲間を亡くしてしまって、これからの先行きも不透明なんでしょう? 今後の立ち直しのためにも、お金は持っていた方が絶対いいです。俺は手元に売り切れないほどの魔石や素材がありますから、全く困りませんよ」
「ヒロトさん……本当にいいの……? 貰えるなら、すっごく助かるけれど……!」
「いいのいいの! 任せたよ!」
「ありがとう、ヒロト! この恩は絶対に忘れないよ!」
レイクは感無量といった様子で俺の手を強く握りしめた。嬉しそうに微笑むアリアとレイクは、縛られた盗賊たちの縄を引きずり、誇らしげに衛兵詰所へと向かっていった。
それを見送っていたヒナが、目をギラギラと輝かせて俺の服の袖を引っ張ってきた。
「ちょっとヒロト! 『奴隷』だって! 本物の奴隷が存在するんだ! さすが異世界ファンタジー! ねえねえ、後で奴隷商人の館に見に行こうよ〜っ!」
「買わないぞ? うちの拠点、もう人手はいっぱいいるし」
「え〜っ! 買おうよ〜! 可愛い獣人の女の子とか買ってモフモフしたいよ〜っ!」
「しょうがないなぁ……可哀想な奴隷を見たら助けたくして買いたくなっちゃうから、あんまり行きたくないんだけどな……」
盗賊の処理を二人に託し、俺たちはアキートさんに案内されて彼の拠点へと向かった。
辿り着いた『アキート商会』の本店は、立派な石造りの3階建てで、周囲の建物と比べても一際大きい大店舗だった!
アキートさんが馬車を裏手の馬小屋へと預け、俺たちを店内へと招き入れる。
「ヒロト様! まずは溜まりに溜まったお宝の買い取りから始めさせていただいてもよろしいでしょうか?」
「ええ、ぜひお願いします!」
「では、1階の特設大倉庫へご案内いたします。どうぞこちらへ!」
アキートさんの興奮気味な背中に続いて、俺たちはズシリと重い頑丈な扉の開く、広大な1階倉庫へと足を踏み入れたのだった──!
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