第28話 盗賊アジトを闇の強襲!妖刀ムラマサの一撃で鉄格子を断ち切り、囚われの幼き風精『ハーピー』を救出せよ!!
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ライゾウの放った一撃で完全に気絶し、冷たい地面に転がっている盗賊たち。
俺は腰に差した『妖刀ムラマサ』の柄に手を置きつつ、周囲の仲間に問いかけた。
「さて、この気絶させた盗賊どもはどう処理しようか?」
アリア、レイク、そして商人のアキートさんに相談すると、アキートさんが商人の鋭い目を輝かせて即座に助言をくれた。
「ヒロト様、盗賊は町へと連れて行き、衛兵に突き出せば多額の『褒賞金』が支払われます! 本来なら大勢の犯罪者を連送するのは骨が折れる仕事ですが……ヒロト様にはあの広大な『異次元収納』がございます。さらに彼らを合法的に奴隷として売り払えば、その売却益まで手に入りますよ」
「ほう……! それは素晴らしいな。ついでに聞きたいんだが、この盗賊どもが持っていた装備や、奴らが奪った盗品の所有権はどうなるんだ?」
「もちろん、危険を冒して盗賊を退治したヒロト様に全所有権がございます!」
「じゃあ、この討伐の最中に奪った『この日本刀』も、俺がそのまま所有して問題ないわけだな?」
「ええ、何一つ問題ございません!」
アキートさんのお墨付きをもらい、俺は思わず口元を緩めた。
(よし……なら、今夜野宿した時にでも、こいつらのアジトへ直接乗り込んで、溜め込まれたお宝をまるごと頂いてくるとしよう!)
「ビー、頼む!」
俺は女王蜂『キラービークイーン』のビーを召喚。
ビーの号令のもと、100匹のキラービーたちが飛来し、草むらで麻痺している者も含めた13人の盗賊全員を目の前へと吊り下げて運んできた。
俺は手をかざし、気絶した盗賊たちをまるごとハクの『異次元収納』へと格納。ビーたちを送還し、俺たちは再び馬車を進めて町を目指した。
◇
その日の夜。街道の脇で野営を張り、賑やかな夕食を終えた後のことだ。
「アキートさん、ちょっと今から盗賊のアジトまで行って、奴らが溜め込んだ盗品を回収してきますね」
「……えぇっ!? 今からですか!?」
アキートさんが驚愕で目を丸くする。横にいたレイクも呆れたように苦笑いを浮かべた。
「ヒロトさん、まるで夜の散歩にでも出かけるような軽やかさですね……」
「ははは、俺にとっては散歩みたいなもんですよ」
驚きを隠せないアキートさんだったが、すぐに商人らしい笑みを深めて頷いた。
「……承知いたしました。どうぞお気をつけて行ってきてください。あ、回収されたお宝や盗品は、ぜひとも『アキート商会』にお売りくださいね?」
「ご安心を。俺が信頼している商人はアキートさんだけですから、売る時は全部任せますよ!」
「素晴らしい! よろしくお願いいたします!」
「よし。俺が不在の間、皆さんの警備としてコボ1とコボ2を置いていきますね」
ポンッと召喚されたコボ1とコボ2が、ビシッと胸を張って挨拶する。
「「ヒロト様のお言いつけ通り、全力でお守りいたします!」」
ゴブリン大軍勢との戦いでも共闘していたレイクは、頼もしそうに二人の肩を叩いた。
「コボ1さんにコボ2さん! お二人が護衛についてくれるなら、これほど心強いことはありませんね」
「コボルト族の【音探知】と【匂い探知】のスキルは夜間の警戒において最高峰ですからね。どんなに気配を消した敵でも近づけませんよ」
「おお……それは実に安心です!」
コボ1とコボ2にキャンプの安全を託し、俺とコボミはアキートさんたちの視界から離れた林の奥へと移動した。
収納から盗賊を1人引っ張り出し、アイの『魅了』を発動。うっとりとした目で服従する盗賊から、アジトの位置と構造をあっさりと吐き出させた。
(アイが『憑依』してオッドアイになってから随分経つが……まったく違和感がなくなったな。まるで自分の手足みたいにアイの権能が自在に扱える)
「ライゾウ! 俺たちを乗せてアジトまで飛べるか?」
『おう! 任せとけ、主様!』
ライゾウが念話で応じると、その身体がぐんぐんと巨大化! 体長数メートルを超える神々しい紫電の巨鳥へと姿を変えた。
俺は自白した盗賊を片手で担ぎ上げ、『飛翔』を併用してライゾウの広い背中へ飛び乗る。コボミも「はっ!」と軽やかに跳躍し、俺の後ろへとしっかりとしがみついた。
『行くぞッ!』
ライゾウが翼をはためかせると、猛烈な風とともに一瞬で夜空へと舞い上がった!
下に見える広大な樹海、心地よい夜風、そして疾走感──最高に爽快なフライトだ。
◇
数分後、ライゾウは盗賊のアジトが存在する不気味な洞窟のすぐ近くへ、音もなく舞い降りた。
ライゾウを小鳥サイズに戻し、草むらに身を隠して様子を伺う。
コボミがピクピクと犬耳を動かし、鋭い鼻を鳴らした。
「ヒロト様、洞窟の入口に見張りが2人おります。奥の気配は微弱……他に外への匂いはありません」
「よし……コボミ、アジトの静かな制圧を頼めるか?」
「お任せください。ヒロト様のお役に立ってみせます!」
実は、先の激戦を経てコボミは【コボルトアサシン】へと劇的な進化を遂げていたのだ。
暗殺特化の性能に加え、【闇魔法】スキルまで習得している今の彼女にとって、夜間の密室制圧などお手の物である。
コボミの姿が、夜の静寂と闇の中に溶け込むようにスッと消えた。
──ほんの数分後。
「ヒロト様、お待たせいたしました。任務完了です」
闇の中からコボミが何事もなかったかのように姿を現した。
「入口の見張り2名、および洞窟内部にいた5名の盗賊をすべて無力化(気絶)いたしました。……ただ、奥の部屋に囚われている『魔物』が1匹おります」
「おお、完璧な仕事だ! 助かったよ、コボミ!」
俺が笑顔でコボミの頭を優しく撫でてやると、彼女はふにゃりと目元を緩め、犬耳と尻尾をパタパタと激しく振って嬉しそうに身体を寄せてきた。可愛すぎる。
「さて、囚われた魔物か……確認してみよう」
コボミの先導で不気味な洞窟内へと足を踏み入れる。
各部屋を回りながら、盗賊たちが溜め込んでいた金銀財宝、上質な武器防具、そして気絶した盗賊たちを容赦なくハクの異次元収納へと放り込んでいく。
そして、最奥の部屋へ辿り着いた。
そこには重厚な鉄格子の檻が置かれており──中で小さな影が「しくしく……」と声を漏らして泣いていた。
「うぅ……だれか……だれか出してぇ……たすけてぇ……っ!」
「……っ!」
そこにいたのは、10歳ほどの幼い少女の顔立ちをした【ハーピー】だった。
褐色のショートヘアに、愛らし子犬のようなつぶらな瞳。背中には見事な褐色の鷲の羽が生えており、腕や足元は鋭い爪を持つ鷲の意匠となっている。
ただ……可哀想なことに、服を着ておらず完全な裸体であり、両腕には怪しく光る黒い金属の腕輪が嵌められていた。
すぐさま『鑑定』を発動する。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
名前:なし
種族:ハーピー
性別:♀
レベル:15
HP:50/120
MP:10/150
スキル:
飛翔
風魔法(LV3)
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
※腕輪:【魔法阻害の腕輪】(魔力と体力を弱体化させる呪具)
(幼い少女姿のハーピー……! こんな理不尽な目に遭って……当然、俺の眷属として保護するに決まっている!)
俺は躊躇なく右手を突き出した。
「──『テイム』!!」
<ピンポーン♪ ハーピーをテイムしました。>
「俺はヒロトだ、もう大丈夫だよ! 君の名前は『ハピ』にするね。今すぐ助けてあげるから!」
ハピは驚いたように大きな目をパチクリとさせた。
「え……? え……っ、ご主人様……!? ありがとうございます……っ!」
さて、檻の鍵を探すのも面倒だ。俺は腰の『妖刀ムラマサ』に問いかけた。
(ムラマサ、この頑丈な鉄格子の檻、斬れるか?)
黒漆の鞘の中で、ムラマサが不敵に嗤った。
(ハハッ! 主殿、我を誰と思われる! 『斬味凄絶無比』の妖刀ムラマサでござるぞ? このようなナマクラの鉄など、豆腐を斬るも同然!!)
「よし……!」
俺がムラマサの柄に右手(右手甲)をかけた瞬間──ドクンッ!!と妖刀から禍々しくも頼もしい凄まじい剣気が俺の全身へと流れ込んできた! まるで全身の筋力が跳ね上がったかのような圧倒的万能感!
(──ぬんッ!!)
フッと全身の力が抜けた……と思った次の瞬間。
ザシャァァァァンッッ!!!!
静寂を切り裂く金属音!
俺が意識するよりも早く、ムラマサの『憑依』と同調した肉体が、音すら置き去りにする神速の居合一閃を放っていたのだ!
すでに刀は鞘へと納められており、コンマ数秒遅れて──極太の鉄格子が綺麗すぎる一文字の断面を描いてズレ落ち、崩れ去った!
(ムラマサ……居合まで超一流かよ! 流石だな!)
(かかかっ! 主殿の筋力と我の斬味が合わされば、断てぬものなど存在せぬでござる!)
「きゃあぁぁっ!?」
檻が破れた瞬間、感極まったハピが涙目になりながら「わぁぁぁんっ!」と俺の胸へと飛び込んできた。
「うぅ……こわかったよぉ……助けてくれてありがとう、ご主人様ぁ……っ!」
「よしよし、もう怖くないぞ」
抱きついてくるハピの頭を撫でながら、邪魔な『魔法阻害の腕輪』を手で一気に叩き壊して外してやった。ハピの体に本来の魔力が戻っていくのがわかる。
(ただ……服を着ていないから、このままアキートさんたちの前へ連れて行くわけにはいかないな)
「ハピ、一旦コボミと一緒に拠点へ戻って、服を着せてもらって休んでいてくれ」
「はいっ! ご主人様、あとでいっぱい甘えさせてね!」
ハピをコボミに託し、二人の眷属を一度拠点へと送還。
完璧にお宝と敵を回収し終えた俺は、『転移』のスキルを発動して、アキートさんたちの待つ野営地へと一瞬で帰還するのだった──!
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