第26話 100超の大軍勢を完全無欠の全員無傷で完封!異次元収納に驚愕する村人と、美少女眷属たちの熱い牽制戦!?
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「はぁぁ……終わった、勝ったんだ……!」
凄まじい威圧感を放っていたゴブリンジェネラルの巨体が沈み、戦場に静寂が訪れた。
100匹を超えるゴブリンの大軍勢を相手にした戦い。
結果は──俺たちの完全勝利。こちらの眷属たちはもちろん、協力してくれた村人や兵士たちも、一人として死者は出なかった。それどころか、重傷者すらゼロの完全無傷だ。
「おい……嘘だろ……? あの数のゴブリンを相手にして、俺たち……誰一人死んでないのか……!?」
「怪我すらしてねぇぞ……! 俺、さっきゴブリンの棍棒で腕を折られたはずなのに……!?」
戦いに参加していた村民や兵士たちは、生き残った安堵感と同時に、あまりにも常識外れな事態に目を丸くして驚きを隠せないでいる。
まあ、実際には途中で怪我をした人はたくさんいたのだ。だが、戦いの興奮とアドレナリンで痛みを感じていない間に、アルラウネのレイが解き放つ『エリアヒール』の暖かな光で完治してしまったため、自分が怪我をしたことすら覚えていないのだろう。
それに加え、イビルアイのアイが敵から無尽蔵に吸い上げたMPを、俺の『MP分配』スキルでスラオ、ライゾウ、コボ5、そしてヒーラーのレイへとリアルタイムで供給し続けた。まさに『永久機関』による魔法連射と無限回復。これが全員無傷という奇跡を成し遂げた最大の要因だ。
ふと戦場を見渡すと、オークのオク1やゴブリンのゴブ1、コボルト隊(コボ1〜5)といった人型の眷属たちが、村人たちと笑顔で肩を叩き合い、危険な場面で助け合った絆を深めているのが見えた。魔物と人間が種族の壁を越えて心を通わせる光景は、見ていて実に微笑ましい。
「さて……まずは戦後処理だな。魔石の回収と、死体の処理を進めよう」
放置すれば匂いに引き寄せられて別の魔物が集まってしまう。武器や防具も、これからの眷属たちの装備強化に有用だ。俺は念話で全員に指示を出した。
(全員、戦死したゴブリンの死体を一箇所に集めてくれ! 同時に魔石を取り出し、使える武器や防具を選別するんだ)
一斉に動き出す仲間たち。特に空を飛べる100匹のキラービー軍団はその圧倒的な数と機動力を活かし、死体の運搬作業で大活躍を見せる。オク1やゴブ1、コボルト隊、スラオが手際よく魔石をくり抜いていき、感激した村人たちも総出でその作業を手伝い始めた。
俺はというと──右腕に人化したラミアのハク、左腕にドリアードのレイという、まさに『両手に花』の状態で、村長たちの元へと歩み寄っていた。
「ヒロト様……! 村を絶望から救っていただき、本当に……本当にありがとうございました!」
村長のフルアさんが深く深く頭を下げる。その隣に立つ商人のアキートさんも、感極まった表情で口を開いた。
「いやあ、お疲れ様でした! お陰でガル村存亡の危機を完全に乗り切ることができましたよ。感謝の言葉もありません。……ところでヒロト様、そのお隣にいらっしゃる息をのむほど美しいお嬢さん方も、もしや眷属様でしょうか……?」
「ええ、俺の頼もしい眷属ですよ」
俺が答えると、二人は誇らしげに微笑んだ。
「ハクです。よろしくね」
「レイ……です。よろしく、お願いいたします」
「アキートと申します。この度は命を救われました。後ほど、勝利のお祝いとして村最高の食事をご馳走させてください!」
「はい! 楽しみです」
「食事……嬉しい、です」
(ん……? そういえばさっきまで『ヒロトさん』って呼ばれていたはずなのに、いつの間にか全員から『ヒロト様』って呼ばれてるぞ……?)
そこへ、ガスマスクを外したヒナがバタバタと駆け寄ってきた。
「ちょっとちょっとー! 私も美味しいご飯食べたいー!」
「こらヒナ、割り込む前にまずは挨拶だろ」
「あ、ごめんなさい! ヒナです! よろしくね!」
「ハハハ、アキートです。可愛いお嬢さんももちろん大歓迎ですよ、一緒にご馳走を食べましょう!」
「やったぁぁぁ!」
ヒナが無邪気に万歳をして喜ぶ。
「ところで村長さん、回収したゴブリンたちの魔石や装備ですが、俺たちがいただいても大丈夫でしょうか?」
フルア村長は首をブンブンと横に振った。
「勿論ですとも! 倒したゴブリンの9割以上はヒロト様の眷属がお倒しになり、最悪の脅威であったゴブリンジェネラルを討ち取ったのはヒロト様ご自身です。文句を言う者など一人もおりません。村が無事だっただけで、私どもには十分すぎる報酬です」
「ありがとうございます。では、武器や防具も回収させてもらいますね」
「どうぞどうぞ! 好きなだけお持ち帰りください!」
「それと……ひとつお願いなのですが。今回の戦いにおける俺たちの活躍や詳細については、他言無用でお願いできますか?」
俺が真剣な表情で告げると、フルア村長は少し困ったように眉をひそめた。
「出来る限り……ご期待に沿いたいのですが……」
「『出来る限り』……ですか?」
怪訝に思う俺に、商人のアキートさんが苦笑しながら助け船を出した。
「ヒロト様、それは流石に無理というものです。もし領主様や国の騎士団から問われれば、村長として事実を隠すことはできません。嘘をついてバレれば最悪死罪ですからね」
「なるほど……。ならば、『一人の魔物使いが偶然通りかかり、召喚した魔物たちと共にゴブリンを討伐して去った』程度の報告にとどめてください。俺たちの詳細なスキルや、眷属たちの詳しい種族は秘密ということで。連れていた眷属も『キラービーの群れ程度』とぼかしてもらえれば助かります」
「その程度のごまかしであれば、全力で秘密をお守りいたします!」
フルア村長は力強く胸を叩いた。
「ヒロト様、それと今回手に入れた莫大な魔石ですが、ガル村の先にある『ガリアの町』に行かれた際は、ぜひ私にお売りください!」
アキートさんが商人の鋭い光を瞳に宿して詰め寄ってくる。
「了解です。ガリアの町に持っていきますので、ぜひ買い取ってください」
「特にあの大物……ゴブリンジェネラルの魔石は絶対に私にお譲りください! 滅多に市場に出回らない極めて貴重な最高級品です。金に糸目をつけず、破格の金額で買い取らせていただきますよ!」
「頼もしいですね、よろしくお願いします」
交渉がまとまったところで、俺は山のように集められたゴブリンの死体、魔石、武具の山へと向き直った。
「ハク、頼む」
「はいっ、ヒロト様!」
ハクが可憐な手をかざすと、空間が歪み、巨大な光の亀裂が出現した。
次の瞬間──積み上がっていた膨大な死体や武具の山が、一瞬にして光の中に吸い込まれ、綺麗さっぱり消滅したのだ!
「「「「な、なんだとぉぉぉぉっっ!??!?」」」」
ハクの『異次元収納』を目の当たりにしたアキートさん、フルア村長、そして周囲の村民たちが、目を飛び出さんばかりに開いて腰を抜かした。
「ヒ、ヒロト様……今のは一体……!? 空間そのものに物が入っていったように見えましたが……!?」
「あ、これも秘密でお願いしますね?(笑)」
「「は、はいぃぃっ!!」」
◇
昼食を食べる暇もなく戦い続けていたため、お腹はペコペコだ。
俺は大部分の眷属たちを一度送還し、残した一部の仲間と共に村の宿屋で夕食を取ることにした。
今回の夕食メンバーは、俺、ハク、レイ、ヒナ、そして村の受付嬢アリアさんと弓使いのレイクだ。ハクとレイは人間の姿のままだ。
宿屋の1階にある活気あふれる食堂へ足を踏み入れると、先に到着していたアリアとレイクが席で待っていた。
俺の姿を認めるやいなや、アリアが弾んだ足取りで駆け寄ってきて──ドサッと勢いよく胸に抱きついてきた!
「んぐっ……!?」
「ヒロトさん……っ! よかった……本当に、無事でよかった……っ! 怪我はない!? あの巨大なゴブリンジェネラルと一騎打ちを始めたときは、生きた心地がしなかったのよ……!」
胸に顔を埋めて本気で心配してくれるアリアの温もり。俺は苦笑しながら背中を優しく叩いた。
「心配かけてごめんね。見ての通り、傷ひとつないよ」
ふと、俺の顔を間近で見上げたアリアが、不思議そうに首をかしげた。
「……あれ? ヒロトさん、その左目……どうしたの? 金色のオッドアイになってる……」
(あ、ヤバ……! アイが『憑依』したままで、オッドアイになったのをすっかり元に戻すの忘れてた!)
「あ、ああ……これは俺のスキルの影響でね。ちょっとした秘密なんだ」
「そうなの……? ふふ、ミステリアスで格好いいわ」
アリアがうっとりと微笑んだその時──。
トントン、とアリアの華奢な肩を叩く手が伸びた。
振り返ったアリアの前に立っていたのは、ガスマスクを外して美少女顔を露出させたヒナだった。
「こんばんわー! 私、ヒナって言いまーす! よろしくねー!」
「えっ!? あ、アリアです……!」
慌てて周囲を見渡すアリア。俺のことしか目に入っていなかったらしく、俺の周りに立つ美少女たちの存在に今さら気づいてフリーズしている。
さらに、俺の右側にぴったりと密着していたハクが、可憐な笑みを浮かべて挨拶した。
「ハクです。ヒロト様の右腕(一番)だよ。よろしくね?」
(……ん? ニッコリ微笑んでるけど、瞳の奥がちょっと笑ってなくて怖いぞ……?)
続いて、左側に寄り添うレイが、恥ずかしそうに胸に手を当ててペコリと頭を下げた。
「私……レイ。ヒロト様の……大切な、ドリアード……です」
一瞬、(これって異世界お約束の修羅場ってやつか……!?)と背中に冷や汗が流れたが──。
「まぁ! ヒロトさんの眷属様なのね! みんなとっても可愛くて素敵だわ! よろしくね!」
「へへ〜、アリアさんも綺麗ー! ご飯食べよー!」
アリアは好意的に接してくれ、ヒナたちも無邪気に打ち解けたため、修羅場のようなドロドロした展開には全くならなかった。
アリアが俺に特別な好意を寄せてくれているのはなんとなく伝わってくるが、俺たちは出会ったばかりだ。きっと命の危機を救われたことによる『吊り橋効果』というやつだろう。
「さあ! 今日は勝利の宴だ! 思いっきり食うぞー!」
「「「おーっ!!!」」」
こうして、俺たちの賑やかで美味しい夜が更けていくのだった──!
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