第255話 魃
世界樹の前。
蚩尤軍に破れた仲間達と俺が転移で戻ってきた。
俺の妻達が心配して来てくれた。
そこで蚩尤軍の灰色の霧の対応についての話となった。
サクラが黄帝と蚩尤の戦いについて、中国の神話の中からヒントになりそうな事がないか思い出していた。
サクラ「そう言えば、風伯と雨師に対抗するため、黄帝の娘である魃を呼んだ話があったわね。」
ヒナ「バツ?」
サクラ「魃は、日照り神の名前ね。」
ヒナ「ヒデリガミ?」
サクラ「旱魃を起こす神よ。
魃が雨師の雨を止めた事で黄帝は勝利したと言う話もあるわ。」
ヒナ「旱魃で雨を干上がらせるのねー。だったら霧も干上がるかもねー。」
そこに勇者ハーミアが駆け寄ってきた。
ハーミア「今の話、本当!」
サクラ「伝説の話よ。事実かどうかは分からないわ。」
ハーミア「でも可能性はあるのよね。」
サクラ「可能性はあるでしょうね。」
ハーミア「私、・・・魃に進化出来るわ!
これって、巡り合わせ。私が解決する運命なのよ。」
サクラ「ちょっと待って。魃の話には続きがあるの。」
ハーミア「どんな話?」
サクラ「魃は体内に大量の強力な熱を蓄えている。
その熱は余りにも強力過ぎて、自分で調整出来ないのよ、
蚩尤を倒した後、黄帝は魃の処遇に困った。
何故ならば、彼女がそこに居るだけで旱魃を引き起こす。
彼女の居場所は無くなるの。それで一生山に幽閉されるのよ。」
ハーミア「正義のために死すとも悔いはないわ。
幽閉されるぐらい何てことない!
私は南の王国の民に犯した罪を償う必要があるの。」
サクラ「ちょっと待ってよ。
進化しても灰色の霧に対応できる保障は無いのよ。」
ハーミア「それは理解してる。
でも可能性があるなら賭けるわ。
それに日照り神って言うくらいだから亜神なんでしょ。
強くはなるはず。
戦いの後、孤独になろうとも進化するわ。
このまま手を拱いて待つなんて堪えられない!」
サクラ「う~ん。」
そこまで言うなら、もう何も言わない。」
「ハーミア、お前の気持ちは分かった。
だがここでは進化しないでくれ。
この地が旱魃になったら困る。」
俺とハーミアは砂漠地域に転移した。
砂漠地域の領主アンナも一緒だ。
砂漠地域で人が誰も住んでない地域にきた。
ハーミア「ここなら大丈夫ですね。」
アンナ「多分ね。魃の能力が分からないので、確かではない。」
「どんな影響があるか分からないので、もし、能力を少しでも調整出来るなら最小にして欲しい。」
ハーミア「分かりました。」
ハーミアは日照り神である魃に進化した。
魃。
黒髪の女性。
薄手の白い着物を着ている。
足が1本。手も右手1本だけ。
ハーミアは1本足で立っていた。
ハーミア「身体の芯が熱い。」
辺り一面にあった僅かな草が一瞬のうちに枯れた。
「凄く暑くなったな。」
ハーミア「そうですね。私は心地よい。
多少は調整が出来るみたいです。
今の状態が最少です。」
「そうか。雨が降ることはないので。
ここで待っててくれ。
灰色の霧が出たら召喚する。
取敢えず椅子は出して置くので、座る事は出来るだろう。
後は、ダンジョンの中に居る方法もあるかもな。
バズに念話で相談して、ダンジョン内に移動しても良いよ。」
ハーミア「分かりました。
この身体の能力を確認しながら、召喚されるのを待ちます。」
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