第22話 外道冒険者を即成敗!100匹のゴブリン波から脱出し、秘術『転移』で村の危機へ駆けつけろ!!
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「おい小僧っ! そこをどけぇぇぇっ!!」
先頭を走るCランク冒険者アギトは、鞘から眩く輝く『ミスリルのロングソード』を抜き放ち、俺たちを威圧するようにけたたましく叫んだ。
その殺気に反応し、後ろに乗っていたレイクが瞬時に腰のナイフを構える。
俺はまだ戦うべきか判断がついていなかったため、冷静に声を張り上げた。
「どこへ行くつもりだ! この先には村があるんだぞ! 逃げるなら村に迷惑がかからない方角へ逃げろ!」
すると、アギトは下劣な笑みを顔全体に浮かべ、吐き捨てるように叫び返してきた。
「ハッ! お前はバカか!? わざと村に向かってんだよ! 大人には色々と事情ってもんがあんだよ! 村をゴブリンどもに襲わせて、混乱してる隙に俺たちが逃げ切るんだよ!!」
(……あ、こいつ、心の底から救いようのない最悪のクズ野郎だ)
俺がその外道ぶりに呆れ果てた、まさにその瞬間──。
シュッ──!!
「ぐっ……!?」
会話の最中、完全な意識外から一筋の銀光が飛来し、俺の首筋を鋭く捉えた!
盗賊イジキが放った不意打ちの毒投げナイフだ!
だが、刺さる直前──俺の首元に潜んでいたスラオが一瞬で流動し、鋼鉄以上の硬度で首皮をカバー!
ナイフは虚しくカキンッと弾かれ、地面へと転がり落ちた。
「痛っ……」
首元をさする。スラオのおかげで傷一つないが、地味に鈍痛が走った。
……怒ったぞ。話し合いの最中に暗殺紛いの不意打ちとはな。
俺は冷徹な殺意を込め、盗賊イジキを鋭く睨みつけた。
「お、お前……! 今のを受けて生きてるだと!? 人間じゃねえのか!?」
必殺の不意打ちを完璧に弾かれ、イジキは顔を青ざめさせて激しく動揺している。
「失礼だな、正真正銘の人間だよ」
俺は腰のショートソードを抜き放ち、低く身構えて、リザを召喚した。
「ヒロト殿! 武器を抜いて殺気を向けた相手に、一切の躊躇は無用だ!!」
後ろで弓を番えたレイクが、緊迫した声で叫ぶ。
「そのようですね……甘さを捨てます!」
油断なくアギトたちを睨みつけ、戦勢を整える。
アギトは俺の背後に控える圧倒的な戦力を目にして、顔を引きつらせながら怒鳴り散らした。
「な、なんだその大蜥蜴は! 後ろを飛ぶ巨大な蜂、6本脚の怪獣、それにコボルトまで従えて……お前、魔王の手下か何かか!?』
「会話を問答無用で途中で打ち切ったのは、貴方たちの方だ……行くぞ!!」
「喰らえっ!」
レイクの番えた矢が一直線にアギトの喉元を穿つ!
アギトはミスリル剣で間一髪矢を払い落とすが、そのまま勢い任せに俺へ向かって斬りかかってきた。
「死ねぇぇっ!」
ギィィンッ!!
アギトの斬撃は、横から伸びたドレイク・リザの巨大な爪によって容易く弾き返された!
凄まじい衝撃に体勢を大きく崩すアギト。そこへ、頭上からキラービークイーンのビーが凶悪な針弾を一斉掃射!
「くっ、この怪物どもがぁぁ!」
アギトは必死に地面を転がり、針弾の雨をギリギリで回避する。
だが、ビーは逃がさない。滞空しながら容赦なく針弾を連射し、アギトを追い詰めていく!
「アギト、下がれ!」
僧侶のルワシが木杖を構え、アギトの前に立ちはだかった。
「魔物の分せいでこれほどの連携……益々怪しいな! 神の御名において排除する!」
だが、ルワシが呪文を唱え始めるより早く、俺の左手に宿るイビルアイのアイが怪しく光り輝いた。
(ヒロト、あいつの魔力、ぜんぶ貰っちゃうね!)
「なっ……!? なんだ……!? 体から魔力が抜け出ていく……! 面妖な……っ!?」
アイの『魔力吸収』を受け、ルワシは術を完遂できずに蒼白な顔で膝をついた。
「アギトを狙わせん!」
弓使いのソクーが俺へ向けて必殺の矢を放つ!
しかし、リザの太い腕が盾となって俺を庇う。矢はリザの堅固な竜鱗を貫くことすらできず、カツンと虚しく下に落ちた。
その隙を突き、斜め後ろの死角から盗賊イジキが忍び寄る!
「死ねやぁっ!」
背後からの必殺の一撃──だが、リザのしなる長大な尻尾がバコンッとナイフを叩き落とした!
「ギャッ!?」
体勢を崩したイジキへ、素早く影から躍り出たコボミのショートソードが襲いかかる!
「チッ!」とイジキは予備のナイフで受けるが、コボミの素早い剣撃に押され、二人は熾烈な近接戦闘へと突入した。
その時──リザの頭の上で、優雅に丸くなっていた雷獣ライゾウがパチッと目を覚ました。
(んあ〜……? ヒロト、もう戦い始まってたのか?)
「寝てたのかい!!」
(いやあ、リザの頭の上は揺れが心地よくてさ、絶好の昼寝スポットなんだよ)
ライゾウはあくびを噛み殺すと、その愛くるしい姿からは想像もつかない凶悪な紫電を全身に纏わせた!
(まあ、ヒロトの邪魔をする奴はおしおきだな!)
バリバリボカンッッ!!!
超スピードの『雷撃』が一直線に弓使いソクーを貫く!
人間の反応速度では回避不可能。全身を焼かれて麻痺し、倒れ込んだソクーの額へ、レイクの解き放った矢が深々と突き刺さった!
「ぐ……あ……」
魔力を吸い尽くされ、立ち上がることすらできない僧侶ルワシの頭部を、リザの鋭利な爪が一閃。一瞬で沈黙する。
「ギャァァァァッッ!!」
斜め後ろからは、コボミのショートソードに胸を深く穿たれたイジキの絶叫が響き渡り、そのまま崩れ落ちた。
そして最後に残ったリーダーのアギトは、ビーの放った無数の『針弾』を全身に浴びてハリネズミのようになり、絶命して倒れ伏した。
ピコン──♪
頭の中に、高らかなレベルアップのシステムメッセージが心地よく響き渡る。
「ハク、死体を頼む!」
(はーい♪)
ハクの『異次元空間』が展開され、アギトたちの死体が瞬時に収納されていく。
俺はアギトが落とした業物『ミスリルのロングソード』を素早く拾い上げると、代わりに使っていた粗末なゴブリンのショートソードをハクの空間へと放り込んだ。良質な武器をゲットだ!
──だが、勝利の余韻に浸る時間など一瞬もなかった。
「グギャギャギャギャァァァッッ!!」
前方の樹海をなぎ倒し、アギトたちが引き連れていたゴブリンの大軍勢が、地獄の津波となって溢れ出してきたのだ!
「やばい! 数が多すぎる!!」
「ヒロト殿、早くお乗りを!!」
俺たちは大慌てでリザの背へ飛び乗り、迫り来る緑の波から必死で逃げ出した!
「リザ、散らしながら突っ切れ!」
リザが巨大な爪と鋭い牙、そして重厚な尻尾を振り回し、群がるゴブリンたちを豪快に薙ぎ払っていく!
ライゾウが周囲へ雷撃を放ち、ハクは長大な尾でゴブリンたちを絡め取っては遥か彼方へと投げ飛ばす!
さらにビーが『キラービー召喚』を発動!
現れた無数のキラービー軍団が針弾を連射し、追撃してくるゴブリンの先頭集団を威嚇・牽制する!
「ハァ……ハァ……! なんとか距離を取れたか……!」
俺たちは必死の乱打戦の末、ようやくゴブリンの群れを見下ろせる高台まで脱出することに成功した。
眼下を見やると、黒々に蠢くゴブリンの群れはなおも止まることなく、直線状に村を目指して侵蝕を続けている。ざっと見積もっても【100匹】を遥かに超える絶望的な数だ。
脱出の乱戦の中で、俺たちもあちこちに擦り傷や打撲を負っていた。
(皆、動かないでね! 『エリアヒール』!)
レイの手甲から温かな桃色の光が広がり、俺とレイク、そして眷属たちの傷が一瞬で綺麗に癒やされていく。
(……この歩行速度じゃ、普通に走って村へ戻っても避難や迎撃の体制を整える時間は稼げそうにないな。ハクの『転移』を使うしかないか。レイクさんに秘密がバレちゃうけど……命には代えられない!)
俺が心の中で呟くと、ハクが呑気な念話で返してきた。
(そだね〜♪ きっと大丈夫よ! レイクさんたちに全部バレても問題ないでしょ?)
(いやいや! 村民たちに魔法や眷属のことがバレたら、下悪魔か魔王扱いされて追い出されかねないって!)
(その時はその時よ〜♪)
(ハクは気楽でいいなぁ……)
俺は意を決し、後ろで息を荒げているレイクへと向き直った。
「レイクさん……これから『転移魔法』で一瞬で村のすぐ近くまで戻ります。……このことは、絶対に他言無用でお願いします!」
「え……? て、転移……!? 何を言って──」
レイクが状況を理解できずにポカンと口を開けた瞬間──ハクの超絶空間魔法が発動した!
視界がぐにゃりと歪み──次の瞬間、俺たちの目の前には見慣れた『ガル村』の入口の柵が広がっていた。
「……ッっ!?!?」
目の前の風景が一瞬で数キロメートルも飛んだことに、レイクは生気を失ったように腰を抜かし、呆然と固まっている。
「レイクさん! 約束通り、この転移のことは秘密ですよ!」
「あ……あわ……あ……っ!」
正気に戻ったレイクは、信じられないものを見る目で俺を見つめた後、激しく首を縦に振った。
「レイクさん! すぐに村へ戻って避難指示を出してください! そして戦える村人やアリアさんたちに応援を要請してください! その間……俺と眷属たちでゴブリンの大軍をここで食い止めます!」
「分かった……! 何とかしてみせる! ヒロト殿、どうか無理だけはしないでくれ! 危なくなったらすぐ逃げるんだぞ!?」
「了解です!」
レイクは必死の形相で村の門へと猛ダッシュしていった。
静まり返った街道の上、俺は手に握った『ミスリルのロングソード』を強く握り直す。
「さて……大軍勢相手の無双組手と行きますか!」
眷属たちと共に、俺は押し寄せる100匹のゴブリン大軍勢を迎え撃つべく、立ち上がった──!
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