第18話 テンプレ到来!ゴブリン群に襲われる馬車を瞬殺救出!美貌の女傭兵アリアと運命の遭遇!!
美味しい昼食を終え、いつものようにふかふかのベッドで優雅なお昼寝を決め込もうとした──その時であった。
脳内に直接、誇らしげな羽音のような念話が響き渡った。
ステ3(ヒロト様! ヒロト様! 人間……巣……見つけた!)
「おっ!? マジか、でかしたステ3!」
俺は速やかに眷属間の視界・位置共有を展開する。
ステ3が捉えた映像には、豊かな緑の向こう、大きな川の沿岸に広がる木造の家々と人々の姿がはっきりと映し出されていた。位置関係から計算すると、ここからドレイクのリザに乗って2日ほどで到達できる距離だ。
「よし……お昼寝は中止だ! 俺たちは今から人間の国へ行くぞ!」
俺の宣言に、速攻で食いついてきたのは吸血鬼の美少女ヒナだった。
「えぇーっ!? 私も行きたぁぁぁい! 連れてってよヒロト!」
バタバタと駄目をこねるヒナの頭を、俺は苦笑しながら撫でる。
「気持ちはわかるけどさ、ヒナは吸血鬼だから太陽光に弱いだろ? 日中に外を長距離移動するのはリスクが高すぎるよ」
「むぅ~……そうだけどさぁ~。ヒロトだけズルい……」
ほっぺたをぷくーっと膨らませて不満を露わにするヒナ。その無邪気な仕草がたまらなく可愛い。
「大丈夫だって。街に着いたら、夜になった瞬間に【眷属召喚】でヒナを呼ぶからさ」
「本当!? やったぁーっ! もう味付けの薄い塩焼き肉は飽き飽きだったのよ~! 街のおいしい飲食店で豪華な夕飯、絶対に奢ってよね!」
「はいはい、分かった分かった。召喚するまでは、コボミたちとダンジョンの防衛&レベル上げをしててくれな」
「了解! コボ1、私をガッツリレベル上げに連れてって!」
「ハッ! ヒナ様、承知いたしました!」
コボミたちコボルト隊の生活リズムを夜間狩りシフトへと切り替えさせ、空の警備に当たっていたステ1、ステ2、ステ4、ステ5の4匹にも拠点へ戻ってレベル上げに加わるよう指示を出した。
「よし……人間の国へ向けて、出撃だ!」
俺は巨竜ドレイクのリザの背へと跨がる。
今回の『人間界進出パーティ』の陣容は以下の通りだ。
*ヒロト(俺): 指揮官。
* ハク(次元白蛇): 右腕に巻き付き、美しく輝く白銀の手甲と化している。
* レイ(アルラウネ):左腕に巻き付き、新緑の蔓手甲として一体化。
* スラオ(マジックスライム): リザの背中で極上の鞍に変形し、俺の腰を支える。
* スパ(土蜘蛛):*左手首の手甲に精巧な蜘蛛の装飾として鎮座。
* アイ(イビルアイ): 同じく左手首の手甲に妖しく輝く紫の宝石として擬態。
* リザ(ドレイク):圧倒的機動力と巨体を誇る移動要塞。
*ライゾウ(雷獣):リザの頭上に凛々しく鎮座。
*ビー(キラービークイーン): 俺の後ろに控え、王者の風格を漂わせる。
まさに歩く超危険地帯。だが表面上は、一人の召喚士(あるいは魔獣使い)が腕に豪奢な防具を纏って竜に乗っているようにしか見えない完璧な装いだ。
◇
樹海を爆走する道中、遭遇する魔物たちと真面目に戦う時間は惜しい。
敵を見つけ次第、リザの頭上に立つライゾウが紫電を放ち、一瞬で気絶させていく。気絶した魔物はすかさずハクの『異次元空間』へと放り込んだ。
そして夜──。
本来なら危険な樹海で警戒しながら野宿を強いられる場面だが、俺たちにはそんな苦労は一切無用である。
「ハク、『空間転移』頼む」
(承知いたしましたわ、ヒロト)
ハクのスキル一発で、一瞬にして安全で快適なダンジョン最深部へと帰還!
気絶させた大量の魔物たちを地下二階の「放牧エリア」へ解放し、ヒナたちとワイワイ賑やかに夕食を摂り、ふかふかのベッドで熟睡。
翌朝、美味しい朝食を食べ終えたら、再びハクの転移で「昨日の離脱地点」へと一瞬で復帰!
野宿のストレスゼロ、風呂とベッド完備の超快適スローライフ旅。ハクの存在には本当に感謝しかない。
そうして順調に街道らしき踏み固められた道へと近づいていた時──
(ヒロト! 前方左手、約三百メートル! ゴブリンの群れと人間が戦闘中!)
左腕の装飾に扮していたアイから、緊迫した念話が飛んできた。
アイはすっと手甲から離れ、漆黒の夜空へと目にも留まらぬ速さで飛翔していく。
「リザ、アイの後を追え!」
(グルゥォオン!)
地響きを立てて突進すると、木々の開けた街道で凄惨な光景が広がっていた。
一台の木造馬車が横転しかけており、その周囲を凶暴なゴブリンの群れが取り囲んでいる。
(出た……! 異世界転生ものの超定番『馬車襲撃テンプレ』だ!)
襲われているのは王族の姫か、それとも名門貴族の令嬢か──チラリと馬車を見たが、装飾は質素で高級感はない。どうやら行商人の馬車のようだ。
ゴブリンの数は全部で10匹。うち2匹は既に討伐されているが、人間側も壊滅的だった。
護衛と思われる男3人が血の海に倒れ伏し、残された男女2人が血みどろになりながら必死の覚悟で馬車を背に刃を構えている。
すかさずアイから詳細な鑑定情報が脳内に転送されてきた。
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【敵勢力】
・ゴブリンリーダー ×1
・ゴブリンメイジ ×2
・ゴブリンアーチャー ×1
・ゴブリン ×4 (+死亡2)
【味方(人間)勢力】
・護衛(男):職業『弓使い』 Lv.15 (矢が尽き、ナイフで応戦中)
・護衛(女):職業『剣士』 Lv.12 (右腕・脚に負傷あり)
・死亡護衛(男3):職業『探索者』『剣士』
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ゴブリンアーチャーが弓を引き絞り、悲壮感を漂わせる女剣士の喉元を狙っている。射程圏内、回避は不可能なタイミング!
「そこまでだ! 助けるぞっ!!」
俺の一声と共に、巨竜リザが樹海を割って躍り出た!
突如現れた巨大な漆黒のドレイクと俺の姿に、ゴブリンも人間たちも驚愕でフリーズする。
その一瞬の隙を、俺の眷属たちが逃すはずもない。鬼神のごとき連続攻撃が炸裂した!
「スラオ、『炎弾』! ライゾウ、『雷撃』!」
(任せてー!)
(フンッ!)
シュババババッ!とスラオが放つ高熱の炎弾がゴブリンアーチャーの頭部を貫いて爆散!
同時にライゾウの鋭い紫電がゴブリンメイジ1匹を黒焦げの炭へと変える!
「アイ、『魅了』で狂わせろ!」
(はーい♪)
アイの単眼が妖しく発光し、もう1匹のゴブリンメイジの精神を完全支配。
狂乱したメイジは、自らの親玉であるゴブリンリーダーへ向け、至近距離から極大の『ファイアーバレット』を叩き込んだ!
ガギャアァァッ!?と悲鳴をあげるリーダー。さらにアイは追撃としてリーダーの残存MPを根こそぎ吸い上げる!
「リザ、ハク、ビー! 一気に畳み込め!」
(グルアァッ!)
ズサァッ!とリザの巨大な前脚のカギ爪が最前線のゴブリンを真二つに引き裂く!
間髪入れず、俺の右腕から射出されたハクが、流星のような速度で別のゴブリンの首元へ巻き付き、一瞬で首骨を叩き折った!
上空からはビーが高速連射の『ニードルバレット』を浴びせ、ゴブリンたちを蜂の巣に変えていく!
「ガ……ガアッ!?」
残るは護衛の男女と交戦していた最後のゴブリンと、魅了されたメイジのみ。
「ライゾウ、スラオ、護衛の敵を叩け!」
バチチチッ! ドォン!!
ライゾウの雷撃とスラオの炎弾が同時に命中し、護衛に迫っていたゴブリンが爆死。
最後に、混乱の解けかけたゴブリンメイジの首へハクが巻き付き、無慈悲に頸椎を切断した。
『──レベルアップしました──』
わずか数十秒。
絶望的だったゴブリンの群れは、跡形もなく全滅したのだった。
◇
「レイ、『エリアヒール』で二人を治療してやってくれ」
左腕の蔓手甲から温かな緑色の聖なる光が溢れ出し、傷ついた護衛の男女を包み込む。
肉体を苛んでいた切り傷や打撲が一瞬で塞がっていった。だが、倒れている男3人は既に息絶えており、生き返らせることは叶わない。
俺はリザの背から飛び降り、唖然としている二人の元へ歩み寄った。
鞍から離れたスラオはスルスルと俺の身体に張り付き、胸当てや肩当てのような形状へ変化。アイもすっと左手首の手甲へと収まった。
「俺はヒロトと言います。……倒れた方々は残念でしたが、間に合ってよかったです」
「あっ……あ……」
呆然としていた女剣士が、ハッと正気に戻り、ボロボロと涙をこぼしながら俺へと歩み寄ってきた。
そして──ぎゅっと、俺の両手を温かい手で強く握りしめてきたのだ!
「私……私は傭兵のアリアと申します! あ、ありがとうございます……! 貴方が来てくださらなかったら、私たちは間違いなく殺されていました……っ!」
「俺は傭兵のレイクだ。本当に……助かったよ。感謝する、ヒロト殿」
弓使いの男も、胸に手を当てて深々と頭を下げた。
近くで見るアリアは、身長165センチほどの実に引き締まったスタイルをしていた。
短めに切り揃えられた燃えるような赤い髪に、澄み切った大きな青い瞳。革の鎧越しにもわかるしなやかな体のライン。年齢は20歳前後だろうか。……うん、めちゃくちゃ可愛い!
一方のレイクは身長175センチほど。引き締まった体躯に短い金髪、凛々しい青い目を持った、30歳前後の整った顔立ちの超絶美男子だ。
「二人とも無事で何よりです。……怪我はもう大丈夫ですか?」
「ええ! 信じられないくらい体が軽いです……! あの、ヒロト様は一体……!?」
尊敬と仄かな憧憬の混ざった熱い眼差しで俺を見つめてくるアリア。
助けた傭兵たちとの出会いにより、俺の「人間界での物語」がいよいよ本格的に動き出そうとしていた──!
タイトルに第○話を追加しました。
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