第17話 怪鳥群との激闘を【テイム】で制せ!ダンジョン最強要塞化と、ついに捉えた『人間界の村』の影!!
オク1とゴブ1をテイムし、周囲の警戒を解いたとき──暗闇の中からタタタッと軽快な足音が響き、コボミが目を輝かせて駆け寄ってきた。
「ヒロト様! 言葉をお話しになられていたのですね!」
「お、おう! なんか普通に喋れるようになったみたいだ」
右腕のハクがスルリと首を持ち上げ、感心したように呟く。
(まあ、念話ではなく口から言葉を発せられるなんて。便利になりましたわね)
試しに周囲の眷属たちと会話を試みたところ、言葉が通じるのはコボルト、ゴブリン、オークといった『人型』の群れを形成する魔物たちと、元から卓越した知能を持つ次元白蛇のハク、雷獣ライゾウ、土蜘蛛スパ、キラービークイーンのビーであることが判明した。
一方で、マジックスライムのスラオ、アルラウネのレイ、ドレイクのリザ、イビルアイのアイは喋れず、これまで通り脳内念話でのやり取りとなる。
それを見ていたヒナが、羨ましそうに地踏みをした。
「ねえねえヒロト! なんでヒロトは魔物のみんなとお喋りできるの!?」
「【異世界言語理解】のスキルを持ってるからだよ」
「えぇーっ! ずるい! 私もみんなとお話ししたい!」
「じゃあヒナもそのスキル取ればいいじゃん。スキルポイント、いっぱい余ってるんだろ?」
「え!? スキルって後から取れるの!?」
「転生させてもらった時に神様から聞いてないのか? 『スキルを取得するイメージ』を頭の中で強く思い浮かべればいいんだよ」
「うぐぐ……! う〜〜〜ん……っ!」
ヒナは額にシワを寄せ、うーうーと念じるように目を固く閉じた。
数秒後──ポンッ!と彼女の頭上に目に見えない開眼の音が響く。
「お……おおっ! できたぁぁっ! コボミちゃん、私の声聞こえる!?」
「はい! はっきりと聞き取れますよ、ヒナ様!」
「やったぁぁぁぁっ! お話できたー!」
歓喜したヒナは「モフモフ〜!」と叫びながらコボミに抱きつき、ぴょんぴょん跳ね回った。本当に現金で可愛い奴である。
「はいはい、歓喜の舞はそこまで。ヒナのレベル上げも兼ねて、本格的に狩りを再開するぞ」
「は〜い!」
俺、ヒナ、そしてビーの三人は巨大なドレイク・リザの背中に跨がる。
先頭をコボミが走り、後方からは頼もしい新戦力のゴブ1とオク1が続いて護衛に就いた。
「はぁ……毎日大猪の焼き肉ばっかりで、正味飽きてきちゃったんだよねぇ」
ヒナがリザの背で溜め息をつく。俺も激しく同意した。
「わかる。牛肉とか鶏肉とかも食べたいよな。あとは新鮮な魚介類とかさ……」
「白米も欲しい! ほかほかのご飯!」
「「ジュルリ……」」
想像しただけで涎が垂れてくる。空腹感が刺激された俺は、即座に前衛へ命じた。
「コボミ! 鳥系の魔物か野生動物を探そう!」
(承知いたしました!)
すると間もなく、頭上を旋回するアイから念話が飛んできた。
(ヒロト、上! 鳥!)
「ん!?」
夜空を見上げると、一羽の巨大な雉のような鳥が羽ばたいていた。
(私にお任せください!)
蜂の女王ビーが「ブブン!」と勢いよく飛び立ち、空中から速射の『ニードルバレット』を掃射!
麻痺して落下してくる巨大鳥を、ビーが空中で実に見事にキャッチしてみせた。
(ヒロト様、前方草むらから別の鳥の匂いがします!)
(次は俺の番だぜっ!!)
リザの頭上にいたライゾウが、目にも留まらぬ紫電の閃光となって消え去った!
速すぎて残像すら見えない。レベルアップを経て、ライゾウのスピードは完全に神速の域に達している。
バチチチチッ!!と一瞬だけ闇を照らす雷撃。
直後、ライゾウが口に大きな鳥を咥えてドヤ顔で戻ってきた。
「うわ……見たことない鳥だな」
前世の『朱鷺』に似ているが、体長は1メートル超とかなり大きい。
白い羽毛に、鮮烈な朱色の顔と脚。そして何より異様なのは──真っ直ぐ伸びた鋭利な嘴と翼の先端が、鈍い青銅色の光沢を放っていることだ。
触ってみると鉄のように硬い。あんな嘴で突き刺されたら一たまりもないぞ。
すかさずアイから鑑定データが送られてくる。
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【名前】なし
【種族】ステュムパリデス
【性別】♂
【レベル】15
【HP】140/150
【MP】15/15
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「ステュムパリデス……怪鳥の魔物か。よし、【テイム】!!」
『──ステュムパリデスのテイムに成功しました──』
「気絶して聞こえないだろうけど、お前の名前は『ステ1(すていち)』な!」
と、呑気に命名していたその時──!
バサバサバサバサバサッ!!!!
夜の樹海に地響きのような不気味な羽音が乱反射した!
前方のアッパーエリアから、青銅の嘴をギラつかせた『ステュムパリデス』の群れ十数匹が一斉に襲いかかってきたのだ!
「ひやあああっ!? なんかデカいのがいっぱい来たぁぁっ!」
恐怖したヒナが、後ろから俺の腰へ悲鳴をあげてしがみついてくる。
「ビー! ライゾウ! 空からの敵を撃ち落とせ!」
((承知!!))
ビーの針弾とライゾウの雷撃が乱れ飛び、空中で次々と怪鳥たちが撃ち落とされていく!
だが、打ち漏らした数匹が、弾丸のような速度で俺たちの首元目掛けて突進してきた!
「させるか!」
ドレイクのリザが巨体を丸め、青銅の嘴から俺たちを間一髪で庇う!
その隙に、俺のお尻の下からむにゅっと飛び出したスラオが、体を銃身のように変化させた!
(ぼくにまかせてー!『炎弾』!!)
シュシュシュシュシュッ!!
スラオが放つ高熱の炎の銃弾が、襲い来る怪鳥たちの眉心を的確に撃ち抜いていく!
『──レベルアップしました──』
「ナイスだスラオ! 助かったぞ!」
戦闘終了後、撃墜したステュムパリデスをコボミ、ゴブ1、オク1が素早く回収。
ライゾウの雷撃で気絶していた絶命前の5匹をすべて【テイム】し、それぞれ『ステ1』〜『ステ5』と命名。討伐した個体はスラオが手際よく解体し、ハクの異次元空間へと格納した。
その後も順調にレベ上げと狩りを継続。
魔物以外の普通の野鳥や小動物も大量に獲れたため、当分の鳥肉ストックは完璧だ。空を飛べて青銅の嘴を持つステ1〜5は、鳥狩りにおいて遺憾なくその圧倒的な機動力を発揮してくれた。
ヒナのレベルも大幅に上がり、ホクホク顔で拠点へと帰還したのだった。
◇
拠点に戻った俺たちは、すぐさまヒナに指示を出してダンジョンの大規模改築に取りかかった。
ゴブリンキングやアラクネクイーンといった巨大な軍勢がいつ攻めてきてもおかしくない。
だが、見方を変えれば『ダンジョン』ほど籠城に適した要塞はないのだ。
狭い通路は敵の圧倒的な大軍を一気に侵入させず、トラップも設置し放題。敵が攻めてくれば攻めてくるほど討伐によってDPが爆発的に貯まり、兵力や食料をDPで無制限に補給できる。
まさに『無限籠城』が可能な最強の要塞になり得るのだ!
俺は前世の知識を活かし、殺戮の迷宮を設計した。
【ダンジョン改築案】
1. 地下一階(絶対防衛迷宮):
通路をクランク状の『T字路』や『ト字路』で構成。中央を進んできた敵を左右の死角から挟み撃ちにする。
通路のサイズは「大人二人がすれ違えない幅」に極限まで絞り、大百足のような大型モンスターの侵入を物理的にシャットアウト。常に「1対1」の状況を作り出してハメ殺す。
入口直後にはキラービー群の巨大な巣部屋を配置し、凶悪な空中防衛ラインを形成。
迷宮内にはゴブリン3匹、ゴブ1、オク1、エリュマントス3匹、カマ1、アルが常駐。
2. 地下二階(自然放牧エリア):
広大な森林環境を作り出し、生け捕りにした新鮮な動物や魔物を解放。非常時の「新鮮な食料&防牧場」として機能させる。
3. 地下三階(居住エリア):
ヒナの部屋を移設し、俺の個室と眷属たちの快適な大部屋を増設。
なお、入口からの出入りは小型のキラービーのみとし、俺たち本体の移動はすべて「ハクの空間転移」で行うため、入口の厳重すぎるセキュリティがこちらの手間になることは一切ない。
「ふははは! これぞ完璧な絶対不可侵要塞だ!!」
改築完了後、俺たちは午前中にふかふかのベッドや家具を整え、昼食後に最高の昼寝を満喫。夜になればヒナのレベ上げを兼ねた夜間狩りへ出かけるという、実に規則正しく快適な「ダンジョンライフ」を過ごした。
コボルト隊には、防衛組の面々を率いてのレベル上げ狩りをローテーションで指揮させた。
狩りの最中にはアイの『魔力探知』と『鑑定』をフル活用し、甘い果実や珍しい野生の野菜を大量に採取。食生活は一気に豊かになった。
スパには小蜘蛛のネットワークをさらに拡大させ、警戒網を樹海全体へと張り巡らせるよう命令。
そして【テイム】した怪鳥ステュムパリデス5匹には、小蜘蛛たちと共に空から「人間の国」を探す大捜索ミッションを与えた。
そして──そんな平和で充実した日々が何日か続いた、ある日のこと。
索敵に出ていたステ3から、脳内を揺さぶる興奮の念話が届いた!
(ヒロト様! ステ3です! 樹海の南端を抜け、大きな川沿いを辿った先にて──『人間の村』を発見いたしました!!)
ついに捉えた、異世界の人間社会!
俺たちの次なる大冒険の幕が、静かに上がろうとしていた──!!
タイトルに第○話を追加しました。
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