第12話 ガル村
面倒なことにならないように村に着く前にアイ、リザ、ライゾウは送還。
アリア、レイク、アキートには召喚と送還のことを教えている。
俺は馬車の中で村人の服と皮の鎧に着替えた。
もちろん下着も交換。
着ていた服は異次元収納。
右手はハク、左手はレイ、スラオは革の鎧の中。
夕方、日が落ちる前に馬車が村に着いた。
村は木の柵に囲まれている。
家はほとんど木造平屋。
田畑が家の周りにある。
入口近くのみ数件の家が密集している。
村の入口には若い門番の男二人が槍をもって立っている。
二人ともに革の鎧を着てガッシリっした体格。
アリア、レイク、アキートが門番に説明。
「こんばんは、今説明されたヒロトです。」
門番A「モンバーだ。事情を聞いたので村に入っていいよ。」
俺は門番に挨拶して門の中に入った。
アキート「今日はもうおそいので、宿に行こう。ヒロトさん一緒に来てください。」
アキート、アリア、レイクと宿屋に向かう。
馬車と馬は宿屋の馬小屋に預けて、宿屋の中に入る。
宿屋は村には珍しい木造二階建てで、一階は食堂兼酒場兼フロント、二階が客室になっていた。
酒場に客は何組かおり、酒を飲んでいる。
アキートにチェックインして貰う間、アリア、レイクと酒場の空いている席に座った。
四人がけの丸テーブル。
チェックインが終わったアキートが、部屋の鍵を持って来て空いている席に着いた。
一人一部屋にしたので各自部屋の鍵を受け取る。
アキート「食事にしましょう。今夜は私がご馳走します。」
「「「有り難う。ご馳走になります。」」」
アキートが四人分の料理とお酒を注文した。
食事をしながら歓談し、料理もなくなりかけていた時、扉が勢い良く開いて騒がしい男四人が宿屋に入ってきた。
男「がははは、酒をだせー。」
既に酔っぱらってるようだ。
四人のうち一人がこちらのテーブルに近寄ってきた。
男「いい女がいるじゃないか。こっちで酌をしろ。」
アリアの腕を掴んで連れていこうとする。
はぁ~。テンプレの展開だよ~。
アリア「お断りします。」
アリアは毅然とした態度でキッパリ断り、手を振り払った。
男「なんだと!このあまー。俺達が誰か分かっていて断ってるのか。」
男は威圧しだした。仲間の男達はニヤニヤ笑っている。
アリア「知りませんね。」
男「Cランクの冒険者だ!村長の依頼でわざわざ町からこんなクソ田舎にゴブリン退治に来てやったのに、このまま町に帰ってもいいんだぜ。」
あぁ~。最低のクソ野郎だった。冒険者はクソだな。
念話でライゾウを呼び、密かにテーブルの下に召喚した。
アリア「どうぞお帰りください。」
男「なにー!」
男は右手を上げて殴ろうとしたので、テーブル下より男の足にライゾウの雷を無音で発射。
ライゾウはその後送還した。
気絶して倒れそうになった男を素早く席を立ち抱える。
そのまま男達の席に連れていき、
「酔っぱらってるみたいなので、寝かせた方がいいみたいですね。」
と言って、仲間の男に引き渡す。
男達は微妙な顔をしているが、訳がわからず不気味に思ったのか、無言で男を抱き抱え、宿屋を出ていった。
席に戻ると、
アリア「ヒロトさん、有り難うございます。」
アリアはキラキラした目で俺を見つめてお礼を言った。
「いえいえ、災難でしたね。」
俺は席に着いて残っていた酒をイッキのみして
「そろそろ寝ましょう。」
と言って立ち上がる。
アキート「そうですね。お開きにしましょう。」
アキートはカウンターに行き、会計を済ませた。
皆で二階に上がって各自の部屋に入った。
アイとアウ1を召喚し、アイは部屋の中、アウ1は宿屋の外で警戒してもらいながら、その日は就寝した。
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夜は何事もなく過ぎて翌朝。
昨日の冒険者が気になるので、アウ1は送還。フエ1、フエ2を召喚し村の外を警戒させた。
アイは部屋の中でフヨフヨ浮いている。
宿屋では一階をアキート商会が貸し切り、村民相手に商売を始めた。
その様子を邪魔にならないように、遠くのテーブルから眺めながら、アリア、レイクと朝食を食べ始めた。
アリア「昨日は有り難うございました。C級冒険者はかなり強くて、町でもトップクラスなので、もっと上手に断れれば良かったのですが・・・。」
「いえいえ、アリアさんは何も悪く無いですよ。毅然と断っていた姿はカッコ良かったです。」
アリア「そんなこと無いです。恥ずかしい。」
頬を赤くしてうつむき、店のメニューで顔を一生懸命扇いでいる。
アリア「ヒロトさん、良かったら私達の傭兵団に入っていただけないでしょうか?」
思いきって告白したようにアリアが聞いてきた。
「すいませんがお断り致します。」
すまなさそうに断る。
アリア「そうですよね・・・ヒロトさんは個人でもお強いので傭兵団に入るメリットが無いですよね。」
「いえいえ、そんなことは無いのですが、人に言えない秘密があるのです。」
魔物をいっぱい眷属にしてるなんて言えないよ~。
アリア「はぁ~。そうですか~。」
今日の夕方まで、アキート商会は村で営業し、明日ガリア町に行く予定なので、この日は村を散策することにした。
アリアとレイクは仲間達の遺体を埋葬後、護衛の契約があり宿屋でアキートを護衛。
小さな農村なので、のんびり畑や牧場を眺めながら歩く。
ときどき見つけた美味しそうな野菜や乳製品等を、村の人に直接交渉し購入した。
そんなとき、フエ1から念話が入った。
フエ1(ゴブリンの群れ、村、近づいてる)
すいません。
亡くなった傭兵団の方達の事をすっかり忘れていたので一部修正しました。
タイトルに第○話を追加しました。
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