第11話 絶望の美コボルトを電撃救出!即座に味方へ引き入れ、危機に瀕する兄弟たちを圧倒的火力で蹂躙せよ!!
南の街を目指し、深遠の森を進む俺たちの行軍は、相変わらず賑やかで快適そのものだった。
巨竜に進化したリザの背に跨がり、俺の腰下には至高のクッションたる虹色スライムのスラオ。
右腕には次元白蛇のハク、左腕には幼女アルラウネのレイが心地よさそうに絡みつき、その肩にはミニ蜘蛛のスパと悪魔翼のイビルアイ・アイがちょこんと乗っている。さらにリザの角の間では雷獣ライゾウがドヤ顔で風を切っていた。
そこへ、周囲を無数に警戒展開させていたスパから、念話が入る。
(ヒロト様! 前方右手の茂み奥、ゴブリン三匹が何か重いものを担いで移動しております!)
(アイ、音もなく上空から偵察と鑑定を!)
(はーい! スイーッと見てくるね!)
アイが素早く飛翔し、送られてきた視覚共有と鑑定データを確認する。
ただの雑魚ゴブリン三匹。だが──その担ぎ上げている『荷物』を見て、俺の目が怒りに細まった。
(あいつら……縄で縛った獲物を運んでるぞ)
(むっ! わしに行かせろ! あの不快な下等種族め、一瞬で痺れさせてやる!)
ライゾウがリザの頭から跳躍し、稲妻のような速度で樹上を駆け抜けた。
バチチチチッ!!
「ギャッ!?」「グギャッ!?」
凄まじい電撃が走り、あっけなく卒倒するゴブリン三匹。
(よし、完璧だ! ライゾウ、サンキュー!)
現場に駆けつけると、そこに横たわっていたのは……小さく丸まった、犬の耳と尻尾を持つ小柄な少女──コボルトの雌だった。
ツヤツヤとしたグレーの毛並みに、愛くるしい犬耳。布切れ一枚を纏った華奢な身体は傷だらけで、怯えに震えている。
【名前】なし
【種族】コボルト
【性別】♀
【レベル】10
【HP】9/100
【MP】10/10
【スキル】匂い探知(Lv.5)/ 音探知(Lv.5)
「探知系スキルLv.5持ち……! しかもこんな可愛い子を放っておけるか!」
俺は即座に右手を掲げた。
「【テイム】!!」
『──コボルト(♀)のテイムに成功しました──』
間髪入れずにショートソードで縄を切り裂く。
(俺はヒロト。もう安心だよ。……よし、君の名前は『コボミ』だ!)
(えっ……あ、あの……! 助けていただいたのですか……!?)
コボミは目を見開き、おろおろと耳をパタパタさせた。
助けられた直後に眷属化され、全ステータスが二倍へと跳ね上がった全能感に驚愕しているようだ。
(レイ、回復をお願い!)
(はい……っ! 『エリアヒール』……!)
レイの優美な手から注がれた聖なる光がコボミを包み込み、傷が一瞬で綺麗に塞がっていく。
(わあぁ……! 傷が……痛みが消えていきます……!)
その間に俺は、気絶したゴブリンたちの首筋にショートソードを突き立てて経験値を回収。アイがMPを吸い尽くして仲間へ分配し、スラオが慣れた手つきで魔石を摘出、ハクが異次元空間へ死体を格納した。流れるような作業だ。
『──コボミのレベルが上がりました──』
(えっ!? な、なにが起きたのですか!? 身体の奥から力が湧き出て……!)
(俺の眷属になると、経験値効率が劇的に上がってレベルアップしやすくなるんだ。すぐに『進化』だってできるようになるぞ)
(ま、自由を縛るつもりはないから安心して良いわよ。わたくしみたいにね!)
ハクがドヤ顔で割り込む。……いや、ハク、君が自由すぎるだけだからな?
だが、コボミはキリッとした表情で深々と頭を下げた。
(いいえ! 強くなれて、ヒロト様のようなお優しい方に仕えられるのでしたら、何も文句はありません! ……あ、あのっ! 厚かましいお願いなのですが……っ!)
コボミの瞳からボロボロと涙が溢れ出す。
(私の兄と弟たちが……私を逃がすために、今もゴブリンの群れと戦っているのです! どうか……どうか彼らを助けていただけないでしょうか……!!)
「コボミの家族だな? 当然助ける! 敵は何匹だ!?」
(じ、十匹ほどでした! 強そうな奴も混ざっていて……!)
「十匹程度、今の俺たちの敵じゃない! コボミ、案内してくれ! 急ぐぞ!!」
コボミに奪還したショートソードを手渡し、最速で森林を疾走する!
◇
森のひらけた広場では、凄惨な光景が広がっていた。
「ハァ……ハァ……! コボミは逃げ切れたか……!?」
「くそっ……もう限界だ……っ!」
四匹の男コボルトたちのうち、二匹は既に血の海に倒れて動かない。残る二匹も全身傷だらけで膝をつき、互いを庇い合うように身を寄せていた。
その前には、血に飢えた狂気を孕んだ十匹のゴブリンの群れ。
「グギャギャギャッ!!」
大型の刃を握りしめた『ゴブリンソルジャー』が、邪悪な笑みを浮かべてトドメの一撃を振り下ろそうとした──その時!
ドカアアアアンッ!!
紫電の太い雷光が天から降り注ぎ、ソルジャーの頭部を激しく焼き穿った!
「グギャッ!?」
「間に合ったぞ!!」
俺は間髪入れずに絶望する四匹のコボルトへ手をかざす!
「【テイム】!【テイム】!【テイム】!【テイム】!」
『──コボルト四匹のテイムに成功しました──』
「レイ! エリアヒールだ!!」
(はい! みんな、元気になって!!)
温かな光が広場全体を包み込み、瀕死のコボルトたちの傷が瞬く間に塞がり、倒れていた二匹も飛び起きた!
「な、なんだ!? 傷が治った!?」
「力が……力が溢れてくるぞ!?」
「お兄ちゃん!!」
(コボミ!? 無事だったのか!?)
「反撃開始だ! みんな、一匹残らず叩き潰せ!!」
「「「((おおおおおっ!!))」」」
ここからは一方的な『蹂躙』だった。
覚醒したコボミが鋭い踏み込みでゴブリンの首を切り捨て、スラオが虹色の体から灼熱の『ファイアーボール』を打ち込む!
アイが魔法職のゴブリンメイジからMPを吸い尽くして無力化し、俺がスキルで前衛陣へMPを循環分配!
巨竜となったリザが尾の一撃で三匹をまとめて薙ぎ払い、ハクが影から飛び出して残党を噛み砕く!
復活したコボルト兄弟も勢いよく参戦し、十匹のゴブリン群はわずか数十秒で跡形もなく全滅したのだった。
◇
『──討伐完了:大量の経験値を獲得──』
『──コボミ、コボ1、コボ2、コボ4、コボ5が進化可能になりました──』
戦いは終わった。
スラオが迅速に魔石を回収し、ハクが死体を異次元収納へ吸い込み、周辺の血痕をスラオがキレイに掃除する。
倒した敵の内訳は──
・ゴブリンリーダー(Lv.20)×1
・ゴブリンメイジ(Lv.20)×1
・ゴブリンソルジャー(Lv.15)×2
・ゴブリン(Lv.10)×6
凄まじい経験値量だ。
助けたコボルト兄弟は全員雄。長男から順に、俺は名前を授けた。
長男を『コボ1』、次男を『コボ2』、妹のコボミが三番目なので三男を『コボ4』、末っ子を『コボ5』!
コボ1が感極まった様子で、深々と膝をついた。
「ヒロト様……! 命を救っていただいたのみならず、絶望の淵にいた我らにこれほどの力を与えてくださり、感謝の言葉もございません!」
(いやいや、間に合って本当に良かったよ。固くならずに気楽にしてね)
「滅相もございません! 我が一族の命と魂は、すべて主様のものです! 一生をかけて忠誠を誓わせていただきます!」
尻尾をぶんぶんと扇風機のように振り回しながら誓いを立てるコボ1。……可愛いからヨシ!
そして俺は、彼らの希望を聞きながら【眷属進化】を提示・確定させた!
・コボ1 → 【コボルトリーダー】(精悍な体つきと指揮スキルを獲得!)
・コボ2 → 【コボルトソルジャー】(頑丈な肉体と剣術スキルを獲得!)
・コボミ → 【コボルトシーフ】(素早さと気配遮断を特化!)
・コボ4 → 【コボルトアーチャー】(超遠距離からの精密射撃能力!)
・コボ5 → 【コボルトメイジ】(魔力適性と属性魔法を獲得!)
一気にバランスの取れた『コボルト戦隊』が完成した!
さらにアイもレベルアップによって【魔力探知】を取得。
「コボルトたちの『匂い探知』『音探知』に加えて、アイの『魔力探知』、スパの『気配察知』……」
俺は思わず口元を緩めた。
これで不意打ちや奇襲を受ける可能性はゼロになったと言っていい。
「よし! 頼もしい仲間も増えたことだし、一気に南の街を目指して進むぞ!!」
「「「「((ハッ!! 主様!!))」」」」
犬耳をピンと立てた忠実な眷属たちと、最強の魔物軍団を率いて、俺は異世界の道を誇らしげに進んでいくのだった!
次は人間の村に行きます。
4/20誤字脱字修正しました。
タイトルに第○話を追加しました。
いつも読んでいただきありがとうございます。
下段ポイント評価を選択後、
ポイントを選んで「評価する」ボタンを
押していただけると嬉しくなって、
モチベーションが上がるので、
宜しくお願い致します。




