第21話 めんどくさい事になりました・・・。
拙作をお読みいただきありがとうございます。
何で俺が捕虜の返還手続きせにゃならんのよ!!
事は敵の輸送部隊を叩いてから。
俺らの襲撃でアーバック王国でも不正が判明したため私腹を肥やしたバカがとっ捕まったとの事。
ザマァ!
そうしたら拿捕した兵の返還請求が来た。
金塊や札束は返還しない。
もう俺たちの物だモンね!
政治的にも貸しに出来るからいい事なのか?
でもなんで手続きが俺ンとこに来るのさ!
こう言うお役所仕事が何で前線の一兵士がやらにゃあかんの!
陛下は一体何を考えてるの!?
「今頃ブツクサ言ってる頃かしら?」
「陛下、いくら少佐の階級だからと言っても現状は一兵士にすぎません。何故このような重要な案件を任せたのですか?」
「手柄の一つにして貰う為です。」
「?」
「そうしたら堂々とうちの娘たちを嫁がせることが出来るでしょ?」
「純血種の血を王家の血筋に取り込むためですか!?」
「彼はああ見えて兵士としてだけでなく為政者としてもなかなか優秀だと思いますよ? 勿論周囲のサポートは必要ですけど。本人の意見を尊重しますがリリアとレイチェルを娶ってくれるはずです。知ってるでしょ? この二人が世間から何て呼ばれてるか?」
「・・・メルフィル王国の醜女姫・・・。」
「そう。醜女の極みと言われるあの子たちをヨシト様なら喜んで娶ってくれるはずよ。」
「・・・ブス専って本当だったんだ・・・。」
「そんな事を言ってはいけませんよ? 将来この国の重職に就く方かも知れないのですから。」
ぶえっくしょん!
「ヨシト? 風邪?」
いや、これでも健康管理には気を付けてる方だから違うと思う・・・。
「じゃあ、誰かが噂してるとか?」
そんなんでクシャミなんか出るか!
「それにしても、提出書類一発でよく通ったな・・・。」
それは俺も驚いた。絶対何回かリテイク食らうと覚悟していたのに・・・。
「後は約束の日時まで待機するだけだしね・・・。」
何も無けりゃいいんだけどな・・・。
「ヨシト、それフラグ・・・。」
ヴーン ヴーン ヴーン
スクランブル!?
敵襲!?
何で!?
とにかく急がなきゃ!
レアイナ! 一体何があった!
「敵の特殊部隊と思われる一団をキャッチしたわ! 各員すぐに搭乗しなさい!」
はぁ!? 何で!? ここって軍事的にも政治的にも重要箇所じゃねぇよ!?
「今は目の前の事に集中して! 敵が来ているのは間違いないんだから!」
クソッタレ!
急いで支度する!
加速の化け物機<アクセラレーター>! 出るぞ!
シーマ! 突貫する! 援護してくれ!
「了解!」
エクレア、イリーナ、ファム! 俺が突貫した後の混乱時を狙って一斉斉射!
「「「了解!」」」
突貫!!
何で一個中隊もの規模が動いている!
ここは重要拠点じゃねえのに!
クソッタレが!
キリがねぇ!
「ヨシト! ゴメン! 弾切れ!」
「こっちもよ!」
急いで補給して来い!
それまでは加速の化け物機<アクセラレーター>単機で何とかする!
「! ・・・無茶ばっかり! 私達が復帰するまで頑張って持ちこたえて!」
「弾丸の補給だけだからスグに終わるから持ちこたえて!」
任せろ!
アーバック王国の奴ら変だ・・・。
施設への攻撃がまるでない・・・。
普通は真っ先に攻撃対象にするはずなのに・・・。
・・・・・・。
今あそこには捕虜がいる。
返還も決まっている。
ひょっとしてこいつら・・・。
『敵部隊の後退を確認したわ! 皆、お疲れ様!』
ふぅ。何とか退けた・・・。
でも、レアイナ。ここからが問題かもしれないぞ?
『どういう意味よ?』
・・・帰ってから話す。
「捕虜の奪還が目的かも知れない!?」
あぁ、予想だけどな。
「意味が分からないわ! だって返還することが決まってるのよ!? わざわざ強奪しにくる意味なんてないじゃない!」
そこなんだよ。
ひょっとしたらだけど、今回襲撃した奴らは捕虜を公式に返還されると困る連中が行動したんじゃないかと思うんだ。
「公式返還が困るって・・・。確かにあまり見栄えが良くないけど珍しい事では無いのよ? それに今回捕まえた連中は上からの命令で裏金を運んだに過ぎないのよ? 言うなれば末端の兵士よ? 困る事なんて何一つ無いじゃない!」
そうだよなぁ。そいつらが本当に末端の兵士ならな。
「?」
ひょっとしたらだぜ? ひょっとしたら捕虜になっている兵士に交じって貴種がいたらどうする? それもアーバック王国の王族ならどうだ?
「!!」
捕虜返還までの間にその事に気付かれると交換条件が当然厳しいものになる。
足元をトコトンみられる事になる。
だから捕虜奪還の為に軍を動かして強奪に踏み切ったとしたら?
「有りえないわ! 全員アーバック王国の兵士だと確認が取れてるのよ!?」
裏金。
「裏金?」
そう、裏金。あそこまで大量の金塊を一将校が溜める事出来ると思うか?
もっと権力がある奴がかかわってるはずだ。
万が一この裏金が表沙汰になってもいいようにスケープゴートとして偽りの身分を準備していたら?
今回その偽造した身分を使用して俺たちの目を欺こうとしているとしたら?
レアイナ。捕虜の身元をもう一度確認しようぜ。
「・・・上にも掛け合ってくるわ。」
「ヨシト! ビンゴよ! ビンゴ! 一人経歴に怪しい奴がいた! 言われた通り一つ一つ精査したら矛盾した経歴を持つ奴がいたのよ!」
んで、正体は?
「アーバック王国の第三王子ヴィシャリスだと分かったわ! あの裏金もヴィシャリス王子の物だと判明したわよ!」
三人いた男の内の誰?
ひょっとして一番若い奴?
「何で知ってるの!?」
一見大人しそうなのにやたら野心的な目をしてるから覚えてる。
これで外交カードが増える事になるな・・・。
「本当によく気づいてくれたわ。」
「アーバック王国も要らない事をしましたね。」
「まさか一個小隊程度が一個中隊を押し返すなんて考えていなかったのでしょう。本当に特務隊はよくやってくれました。これは臨時でボーナスでも出さなければいけませんね。」
「今回手に入れた外交カードを如何に使いますか?」
「ふふふ、札を晒したときにアーバック王国がどんな対応を取るか見ものですね・・・。」
「ヨシト? 何難しい顔してるの?」
あぁ、イリーナにエクリア。今捕虜の資料集見てるんだけど・・・。
「何か気になる事でも?」
この女なんだけどよ・・・。
「どれどれ・・・。別段変わったところはないようだけど?」
その女の顔立ちってさぁ、ヴィシャリスに似てないか?
「まぁ、似てると言われれば・・・、似てるかしら?」
その女の身元確認できるかな?
「レアイナ隊長に聞いてみましょう。」
「ホント仕事を増やしてくれるわね!」
ゴメンね・・・。
その女の遺伝子とヴィシャリスの遺伝子を比べてほしいのぉ。
「?」
今考えるとヴィシャリスすらも手ごまの一つじゃないかと考えてるんだ。
ヴィシャリスの器であれだけの裏金を作れると思えないんだよ。
「つまり裏金工作にもっと大きな存在がかかわってると?」
そう。
こいつってさぁ、ひょっとしてアーバック王国で銭ゲバで有名な第一王女じゃないかって思うんだよ・・・。
「ヒヤリス王女が!?」
うん、そのヒヤリス王女。あまりの銭ゲバぶりに周りから嫌われてるって記憶してるんだけど?
「確かに嫌われてるけど・・・。まさか!」
そう、そのまさか。一個中隊なんて普通は動かさない。
秘密裏に工作隊を動かして施設に侵入させて救出するはずだ。
一人ぐらいならこれで何とかなる。
でも、もし救助者が複数いたら?
だから今回は一個中隊なんて大規模戦略を仕掛けて来た。
こっちが一個小隊しかいないと思って舐めてたのもあるけどこれだけの規模で動くなら失敗は無いと踏んでいたんじゃないかな?
ヴィシャリスは軍に顔が効くけど金勘定はあまり得意でない。
ヒヤリスは金勘定は得意だけど協力者がいない。
ここで両者の利害は一致した。
ヒヤリスはヴィシャリスに知恵を貸す。
ヴィシャリスは軍と言う裏金工作の場所を貸す。
恐らく輸送部隊を襲撃したときヴィシャリスだけでなくヒヤリスもいたんじゃないかって思うんだ。
それだけじゃない。
協力者もそれなりの高官ははずだ。
捕虜の身元調査をもう一度やり直すべきだと思うんだ。
「もしそれが本当ならとんでもない切り札を手に入れたことになるわ! 分かったわ! 急いでDNA鑑定してみる!」
お願い。
「本当に特務隊ったら色々と見つけてくれるわね。」
「強力な外交カードが二枚も出来ましたね。」
「捕虜の身柄確認をしなさい。ヨシト様が言う様にひょっとしたらアーバック王国の高官が紛れているかもしれません。」
「分かりました。」
「リリア、レイチェル。貴女達は素敵な殿方に嫁ぐことになるから心しなさい。そしてヨシト様。この国に骨を埋めていただきますよ? ふふふふふふふふ。」
めんどくせぇ!!
何でもう一回書類作り直さにゃならんの!
「しょうがないじゃない? ただの末端の兵士じゃなかったんだから。」
そう言うこっちゃない!
例え階級が少佐でも立場上は一兵士のつもりだ!
捕虜返還の手続きは俺がやるべき事じゃ無い!
「階級から行っても十分あなたの仕事よ!」
納得いかねぇ!!
捕虜返還編はまだ続きます。
誤字脱字ありましたら教えてください。




