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第20話 獣耳ではない・・・だと!?

腰痛がとうとう我慢できなくなりました。

整形外科で注射してもらったら楽になりました。


「今回の任務は敵の輸送部隊を叩く事よ。」

ブリーフィングルームでレアイナから説明を受けてますです。

正直言ってやる気が湧きませんです。

何故かって?

完全に尻拭いだからだよ!

俺らに向かって散々に偉そうなこと言って返り討ちに遭うって何事なのよ!?

おかげで敵は警戒して索敵を念入りにする始末!

強襲をかけるしかないと判断された!

俺らの部隊が正面切って戦えるのは加速の化け物機<アクセラレーター>という突貫機があるからだよ!

間違ってもアシガルなんかで同じ事出来るか!

何が野戦用の重装甲だからいけると思っただ!

貴重な機体を何機もスクラップにしやがって!



「陽動を二回に分けて行うわ。第一弾がエクリアとファムとイリーナ。一時の方角から仕掛けて頂戴。次にシルフィア、ラピス、リンで六時の方角から侵攻して頂戴。その後で本命を九時の方角から突貫させる。これは単独になるからヨシト、気を付けて。シーマはヨシトの後方支援お願い。以上が大雑把な流れね。何か質問は?」

はい。

「? ヨシトが質問何て珍しいわね? 何が聞きたいの?」

補給部隊なんだろ? 強奪したらその物資ってこちらの懐に入って相手の懐を痛める事になるから出来るだけ暴れない方がいい?

「あの突貫機でそんな器用な事出来る?」

とりあえず心がけるって事で。

「・・・確かにヨシトと言う強大なパトロンがいるといっても節制は心がけたいわね・・・。他の隊に何か言われるかもしれないけど強奪しましょう。物資が余って困る事はないしね。だからと言って命は大事にしてね? もうあなた一人の命じゃないんだから?」

ウイッス!!



「予想以上に警戒してるわね・・・。」

こりゃあ斥候の専門職、ラージャ様の報告待ちだな・・・。

お! 噂をすれば帰って来た!

ラージャ。どうだった?

「どうもこうも無い! センサーがあちこちに設置されて下手に動けないよ!」

ホントこの任務に就いた最初の奴らがドジらなけりゃこんな事態には発展しなかったのに・・・。

レアイナ、当初の予定通り陽動は二段階構えで哨戒に当たってる部隊を引き剥がそう。そんで俺が突貫して残りの機体を撃破するって事で良いよね?

「OK。陽動部隊の第一弾突入は一五五〇! 第二弾は一六〇〇! 本命への突貫は一六一〇! 皆! 配置について!」

了解!



イリーナ達の所でドンパチが始まったな。

でも、喧騒が大きくねぇ?

後十分でシルフィアのトコでもドンパチが始まる・・・。

ん? 補給部隊が動く?

こっちに向かってきてるじゃん!

移動しやすい六時方向じゃなく何で山道の九時方向に来るのさ!

このままだと俺が伏せてるのがばれる!

えぇい! レアイナごめん!

シーマ! 援護頼む!

加速の化け物機<アクセラレーター>! 突貫します!



「シルフィア! 不味い! 補給部隊がわざわざ山道の方に移動した!」

「どうして道の整備が行き届いてるこっちに来ないのよ!」

「・・・大方ここにも兵を伏せてるのを読んで山道を選んだんでしょう! でもね? そっちはより危険な虎を伏せてあるのよ!」



哨戒に当たってるほとんどの機体がイリーナ達の方へ行ってるな・・・。

補給部隊に警護の機体が一機もついていないとは・・・。

楽なこった!

こいつらを早くふん縛って救援に行かないと!



「面白いようにハマってくれたわね・・・。」

一番最初にこの任務を受けた奴らって何が原因で失敗したんだろう・・・。

「分かる訳ないでしょ・・・。」

そうですよねぇ。

ところでこいつらって何運んでたんだ?

「今、ラージャ達が調べてるわ。」

新型機じゃねぇ事は間違いねぇけどな。



「・・・・・・。」

うわぁ。

まさか金塊の運送だったとは・・・。

他にも札束がいっぱい・・・。

「こういうのってもっと厳重に運ばない?」

ひょっとしてこれって俗にいう裏金ってやつじゃないか?

「裏金?」

そ! 裏金! だからこっそり運び出そうとした。だけど俺たちメルフィル王国に見つかってしまった!

そうでなきゃ最初のこちらの襲撃で警戒の度数が上がって警護の機体が倍以上いてもおかしくねぇモン。

きっと一部の将校が私腹を肥やして溜めたもんだぜ?

「・・・拿捕した奴に話を聞きましょう。」



うわぁ。スゲェこっちを睨んでる。

メット越しでも分かる。

殺意の視線とでもいうべきかとにかくこっちを睨んでる。

あ! エクリアがメットに手をかけた!

うわぁい!

この人もびじ・・・ん?

何か違和感が・・・。

・・・・・・。

・・・獣耳が無い・・・。

そうだ! ピクピク動く獣耳が無い!

可愛い獣耳が無い!

純血種!?

あれ? でも何だ?

頭から二本のコードみてぇなのが伸びている・・・。

・・・まるで・・・。

いや、まさか・・・。

でも、そう言えばイリーナなんて説明したっけ?

確か環境に適応するために遺伝子操作をしたって言ってたよな?

てことは・・・。

まさか・・・。

まさか!

このコードみたいなのって!

触覚!?

「どうしたの? 身動き一つ取らないで?」

レアイナ! アーバック王国の人たちってひょっとしなくても昆虫類の遺伝子を組み込まれた人たちなの!?

「あら? 説明して無かった? アーバック王国の人口の大半は昆虫の遺伝子を組み込まれた人たちで成り立ってるのよ?」

残りは!?

「メルフィル王国同様動物よ。」

聞かなきゃ良かった!!

聞かなきゃ良かった!!

ホント聞かなきゃ良かった!!

俺、あの台所とかにいる黒くてカサカサ動く油虫が大っ嫌いなんだよ!!

風呂上がりにたまたま踏み殺してから存在が許せなくなったんだよ!!

あいつらってどんな劣悪な環境でも生きていけるからきっと真っ先に遺伝子の候補に上がったはずだ!!

そこんところどうなのよ! レアイナ!

「・・・あんた、そんな事があったの?」

俺の事はいいから答えプリーズ!!

「仰る通りベースはその油虫よ。」

ギャース!!

聞かなきゃ良かった!!

聞かなきゃ良かった!!

ほんと聞かなきゃ良かった!!



尋問はレアイナたちに任せております。

あの触覚を見ると殺意が湧きます。

だめ!

絶対!

生理的に受け付けない!

幾ら美人でも俺はやっぱり獣耳じゃないとダメ!



「終わったわよ・・・。」

皆ご苦労さん。

「ヨシトが言った通り裏金だったわ。」

? やけにすんなり白状したな?

「私腹を肥やす人間って大抵嫌われてるから。」

さよか・・・。

「任務完了。帰還するわよ!」

了解。

黒いカサカサ動く虫の話は作者の実体験です。

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