第16話 これなんて突貫機!?
「と、言う訳でヨシトには専用機が配備されるから。」
レアイナが言うには僕ちゃんの持つ機体はどれもこれもがオーバーテクノロジーの塊との事です。
全ての機体がハイスペック・ハイエンド機になるそうです。
正直、世界のミリタリーバランスが崩れる。
いっそ崩壊させて醜女扱いする連中を一掃するとか・・・。
あかん、自国民を攻める馬鹿は要らない・・・。
ともかく、最新ヴァージョンのアシガルだと精鋭一個中隊分の価値があると言われました。
よって封印する事に決定。
サムライも封印対象となりましたよ・・・。
さらに可変機に至ってはいくら設計図があっても作製不可能とされました。
設計に耐えうる材料が無いとの事です。
サムライの装甲はチタン合金とセラミックの合金なんだがそれも入手困難とされた。
手に入りそうな素材なのに・・・。
確かにアシガルとかに使っている装甲に至っては聞いた事が無い金属製なんだったもんな・・・。
何より工作機械が無い、生産ラインの確保が出来ないと言われればそれまでだ。
設計や作成にかかる時間と費用を考えれば大量生産が出来て想定する汎用性を満たせればアシガルで十分との事。
だからか? 惑星イウーロにはサムライは存在していないのは・・・。
じゃあ、オリハルコンなんてどこで手に入るのよ? と聞くと入手不可能と言われる始末。
そもそもオリハルコンと言う素材が都市伝説レベルでしか伝わっていないと説明されました。
イリーナよくオリハルコンの事知ってたな・・・。
とにかく、そんな化け物機が何体も有ったら世界のミリタリーバランスが一気に崩壊する。
王女様も同意見。
要らぬ混乱は避けたいとの事。
メルフィル王国は軍事国家じゃないしなぁ・・・。
鬼神デビューさせたのにこれからどうしよ?
「今度配備されるヨシトの機体を金色にするわ。」
それってアシガルが金色にするって事!?
止めて!?
絶対に似合わないから!
「だって、ねぇ・・・。」
レアイナが皆に意見を求めてグルッと見回すと特務隊のメンバーが優しい目をする。
止めて!
そんな目で見ないで!
ゾクゾクしちゃう!
「まぁ、金色にするかどうかはロールアウトされてから決めましょう。」
お願いだから金色が似合う・・・。
無理か。
アシガルだもん。
いっちゃん性能が低い機体だもん。
生産を優先した機体だもん。
鬼神を見た後じゃかっこ悪いもん。
いっそ真っ赤にでもするか?
うん。
これなんてス〇〇ボ?
これってあれだよねぇ。
ア(ピーーー)ゼンだよね?
カラーリングが違うだけでアル(ピーーー)ンだよね?
右手にリボ(ピーーー)の代わりに騎兵槍みたいなのがついてるんですけど?。
重装甲で突撃する仕様なんですよね?。
これなんて突貫機!?
名前はおろか形式番号すらないとは・・・。
これって試作機ですらないのでは?
受領したその日の内にレアイナに聞いてみた。
「貴方が受領した機体はアシガルの次世代機として一応組まれたみたいよ?」
何と!
あのパチもんがそんな大層な存在だったとは!
でも、そんな大層な機体を何で俺ンとこに?
「加速が凄すぎて誰も使いこなせないんだって。」
そんな設定まで一緒でなくていいよ!
「まぁ、そんな理由でお蔵入りした機体だから名称はつかなかったし形式番号も登録されなかったのよ。そこにヨシトと言うスーパーエースパイロットが現れた。そのスーパーエースパイロット様ならこの重装甲突撃機を乗りこなせるんじゃないかって事で家に配備されることになったのよ。これもれっきとしたワンオフ機なんだから丁重に扱いなさい。」
ちっとも嬉しくないのはなんでだろう・・・?
「ヨシト! 準備はいい?」
ただいま実戦演習場に来ています。
実戦データを取るために来ております。
正直言ってあまり乗り気ではありません。
だってこれ仕様書通りなら殺人的な加速で俺、失神するんですよ?
Gがどれだけかかるか分からない仕様ですよ?
メットの中にゲロをぶちまける事請け合いですよ?
何でそんなドマゾ仕様の機体を乗りこなさなあかんの?
「ヨシト! きっちり集中しなさい!」
レアイナからの激が飛ぶ。
うーん。モチベーションが上がらない・・・。
「ヨシト。」
いやん! 愛しのイリーナ様! 何?
「好成績残せたら、ひっぺにチュウしてあげる。」
やってやろうじゃねぇか!!
取り合えず起動させる。
・・・起き上がりはいいな・・・。
後は仕様書通りかの確認か・・・。
設置された目標を撃破せよとの事。
・・・推進器を軽くふかす。
グンッ
は?
目標がすぐ目の前に来ましたが?
えっと、そうだ右腕! 騎兵槍で撃ち抜かなきゃ!
バカン
!! 掠っただけなのに目標が粉砕された!?
ちょっと! どんだけの勢いがついてんだよ!
こんな暴れ馬を乗りこなせって?
冗談キツイ!
軽く加速させただけでこれだぞ!
全部の推進機能を全開にしたらどんだけの加速を産むか分かったモンじゃない!
こんなのを次世代機として組むなんて馬鹿じゃねぇの!?
演習場を往復する日々のヨシトさんです。
はい、毎日グロッキーです。
未だにあのパチもん機に振り回されています。
もうね、加速させるのが怖い!
だっていくらでも加速できそうなんだもん!
限界って言う言葉の意味を開発陣に小一時間ほど教えたい!
何でこんなゲテモノ機作った!?
「・・・今日も行ったね・・・。」
「誰があの機体を開発したんだ?」
「知らない・・・。」
「旦那様、毎日死にそうな顔して帰ってくるけど・・・。」
「昨日見学してきたけどヨシトさん盛大にリバースしてた・・・。」
「うわぁ・・・。」
「量産されても絶対に乗りたくない!」
「出来ないわよ! あんなゲテモノ機!」
「ところでヨシトさんあの機体パチもん機って呼んでるけど心当たりがある奴いる?」
「知らない。」
「私も。」
「スピードだけなら鬼神に匹敵するかも・・・。」
「それも条件付きでしょ? 直線って。」
「・・・歩兵を殲滅する騎兵ってところね・・・。」
クソったれ!!
ちっとも限界が見えて来ねぇ!
何なのこの機体!?
今のは惜しかった!
大分このスピードにも慣れて来た!
次の段階に進むか?
ちょっと!
ホンの少しスピード上げただけなのに機体制御がやたらムズイ!
このスピードで機体制御しながら攻撃なんざ出来るか!!
「・・・ヨシト・・・。もう諦めたら?」
レアイナ?
「私もここまでゲテモノ機だとは思わなかった。これ以上は貴方が壊れる。」
・・・もうちょっとだけやらせて?
「ヨシト?」
・・・もうちょっとで何かが掴めそうなんだ・・・。
「・・・はぁ、分かった。納得できるまで付き合ってあげる。」
ありがとう。
ご主人様は俺だぞ!
いう事を聞けっての!
この化け物機!
もうちょっと!
もうちょっとで!
何か掴める!
「なぁ、ヨシトが演習場に通い始めてから一月になるぞ?」
「良く続くわ・・・。」
「驚くのはそこじゃ無い。あのゲテモノ機を乗りこなし始めてるって事だ。」
「! ホントに?」
「あぁ、間違いない。昨日見て来たが明らかにスピードが上がっているにも拘らず機体制御が出来ていた。」
「ヨシトって天才?」
「努力の天才だろう・・・。」
こうだ!
こうすればいいんだ!
俺のいう事を聞け!
突貫機!!
「本当に乗りこなしてる・・・。」
「レアイナ隊長・・・。」
「イリーナ、私達の婿様はとても凄い人よ・・・。」
パチもん機の推進機能を全開にしても上手く的を仕留める事が出来る様になりました。
次は動く的を粉砕できるようにしてみせる!




