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第14話 支えてみせます!

「ちょ、ちょっと待って! ちょうーと待ってって!」

驚いた! 俺ッチまだ涙流せたんだ・・・。

あの時に全部枯れたと思ってたのにイヤハヤ、驚いた。

幸い一滴だけしか流れなかったから気が付いたイリーナ以外はきっと何の事だろうと戸惑うだろうけどまぁ良しとしよう。

「イヤイヤ、目にゴミが入ったみたいで・・・。」

あれ? 何でみんなこっちを見て固まってるの?

ほら、いつものヨシト君ですよ?

「ヨシト! もうイイ! もうイイから!」

ちょっち! イリーナ! 顔がお胸に沈んで苦しいです!

「そんな傷ついた顔して何でもないは通らないわよ・・・。」

あれ? 何でイリーナが涙声なの?

ほら! 俺ッチ元気! ね? みんな?

「ゴメン、なんか私達無神経だった・・・。」

あれ? レアイナさん? どうしたの?

あれ? みんなどうしたの?

あれ? 涙、止まんない・・・。



「イリーナ! ヨシトは?」

「レアイナ隊長・・・。とりあえず落ち着いたみたいです・・・。」

「その様子だと、本当に落ち着いたとは言えないようね・・・。」

「・・・・・・。」

「ねぇ、イリーナ。貴女が知っている事だけでいいからヨシトの身の上話教えてくれる? 私だけじゃなくて特務隊のメンバー全員で聞きたいの。私達を家族と言ってくれるヨシトの為にも。」



「人体実験って・・・。」

「それも多分、かなり省略して私に話したと思います。」

「・・・・・・。」

「恐らく、まだ言ってない何かを背負っていると思います・・・。」

「イリーナ・・・。」

「はい。」

「その人体実験いつ受けたか聞いてる?」

「いえ・・・。それが何か?」

「ヨシトって確か二十歳よね? もしそうなら・・・。」

「レアイナ隊長?」

「ひょっとしてヨシトってその人体実験・・・、かなり子供の時に受けたんじゃないかしら?」

「!!」

「そのトラウマがまだ生きてるとしたら? それがあの成績発表の中に隠されていたら?」

「そんな!」

「聞きたくても本人に聞くなんてのは論外ね。そんな傷口えぐるような真似はできないわ・・・。したくもない・・・。でも、聞かなきゃ始まらない・・・。」



あー、情けない。

近所の視線思い出しただけであんなに取り乱すとは・・・。

あれした事に比べれば大したこと無いのに・・・。

今までこんな事なかったのになぁ・・・。

俺、ひょっとして弱くなってる?

あんな事出来たんだから大抵の事に抵抗なんか無いはずだよなぁ?

「・・・ヨシト、入るわよ?」

あれ? イリーナ? 何でそんな悲しそうな顔してるの!?

ちょっと! 何があったの!?

「・・・それは私が聞きたいわ・・・。ヨシト・・・。ううん、あなた。私も背負うからあなたの事をキチンと教えて?」

うーん。別にそんなに大したことじゃないよ?

人体実験受けてから家に帰った時、近所の人たちがそのことを知って俺の事奇異の目で見始めたんだ。その奇異の視線が成績発表の時のみんなの奇異の視線にオーバーラップして見えたからちょっと取り乱しただけだよ?

「嘘よ!!!!」

!! びっくりした! イリーナ? 何? どうしたの?

「私って、そんなに頼りない? そんなに信頼できない? あんなにも傷ついた顔してちょっとな訳ないでしょ! もどかしいよ・・・。今まではすぐそこにヨシトが居たのにまるで厚いガラスで隔たれたように感じる・・・。寂しい思いなんてさせませんって言ったじゃない! 今、私寂しいよ!」

・・・・・・。

「こんなにヨシトが好きなのに私何の役にも立てない! 好きな人の心すら癒せない! 悔しいよ! 切ないよ!」

・・・俺さぁ。

「ヨシト・・・。」

親この手で殺してるんだよねぇ・・・。

「!!」

勿論俺の意思じゃない。

殺戮人形にされていた時だ。

飛行機事故、本当は俺以外にも何人か生き残りが居たんだ。

俺の場合は幸運が重なって家族全員が生き残れた。

父さんと母さんと弟が。

俺はそれを他者の意思にのっとり自分の手で殺したんだ。

リストカットを何度も繰り返したのはその重責に耐えられなかったから。

俺がまだ九つの頃だよ。

「!! まだ子供じゃない! 何でそんな惨い・・・!」

他にも色々あるけどこれが一番俺の心に重くのしかかっているんだ。

「ヨシト!!」

・・・イリーナの胸、温かいね・・・。

「もうイイ! ゴメン! 喋らなくてイイ! ごめんなさい!」

父さんは拳銃で頭を弾いて殺した。

「ヨシト!」

母さんは喉笛を潰して殺した。

「・・・もうイイ・・・。」

弟は頭にナイフを突き立てて殺した。

「・・・ヨシト・・・。」

俺を殺戮人形に仕立てた奴、人形の主<ドールマスター>って言うんだけれどこいつがすげぇ頭が狂ってて、肉親を殺すたびに自我が戻る様に強力な暗示をかけられたんだ。

「それじゃあ・・・!!」

うん、家族を殺す度に一時的に自分を取り戻すんだ。

そして苦悩する俺を見て面白がるんだ。

だけどその暗示に俺は打ち勝った。

弟の命と引き換えにしてだけど。

全部のしがらみから解放された俺はその施設に居た兵士も研究者もみんな殺したんだ。俺と同じような殺戮人形になった人たちも含めて皆殺しにした。

そうしてその後国連に保護された。

あ。国連って分かるかな?

国連って・・・。

「もうイイ・・・。泣かないで、お願い。謝るから。心をえぐった事謝るから! 泣かないでよ!」

イリーナ、少しこのままでいてイイ?

イリーナの胸、温かい・・・。



「イリーナ、どうだった?」

「姉さん、セリーナ・・・。」

「ごめん、イリーナ。嫌な役をやらせて・・・。」

「レアイナ隊長・・・。」

「ヨシトさんの様子はどうでしたか?」

「ペテレーネ・・・。」

「隊長として知っておかないといけないの。でもね、今は一人の女として聞きたいの。まだ片思いだけど私の中にはちゃんと好きって気持ちがあるから。私にも手伝わせて。好きな人を救いたいの・・・。」

「・・・分かりました。皆さんに話します。色々と泣きながらでも話してくれたんです。やっと甘えてくれたんです! 私が、私達が支えてみせます!」



「肉親殺しの大罪・・・。」

「そんな! 九つの子供に背負わせる事か!」

「十年も背負って来たのか・・・。」

「ヨシト様の心の傷は未だ癒えてないのですね・・・。」

「それどころか私達がえぐった! 調子に乗って、差別されるってのがどれだけきついか知ってるのは他ならぬ私達じゃないか! それなのに!」

「知らなかったでは許されませんね・・・。」

「ヨシトは今どうしてるの?」

「泣きつかれて眠ってます。」

「イリーナは悪いけどこのままヨシトについていてくれる?」

「分かりました。」

「私達、他の特務隊のメンバーは今後の事を考えましょう・・・。傷つけちゃいけない人を、私達を家族って呼んでくれる人を傷つけたんだから。」



・・・。あれ。ここは?

「貴方の部屋よ。」

あ! イリーナ! 何かゴメンね。かっこ悪いとこ見せちゃった・・・。

あれ? イリーナさん? そうやって抱きしめられるとオッパイに顔が埋まって気持ちいいんですが?

「・・・・・・。」

聞いてます?

「・・・聞いてあげない・・・。」

何ですと!?

「こんなにいっぱい傷ついてるのに一人でかっこつけるそんなヨシトの言い分なんか聞いてあげない。」

いやぁ、別にかっこつけてる訳じゃ・・・。

「だったら約束して。」

何を?

「少しずつでいいからヨシトの事教えて。」

・・・・・・。

「私が支えるから。一緒に背負うから。子供の時の事、学生時代の事、楽しかった事、苦しかった事、少しずつでいいから教えて。そして全部教えてくれたらお嫁さんになってあげる。」

イリーナ、イイの? 俺、家族を殺してるんだよ?

「ヨシトは私に寂しい思いなんてさせませんって約束してくれたよね? 私も約束する。お嫁さんになって支えてみせますって。」

・・・ありがとう。イリーナ・・・。

「レアイナ隊長達が待ってるわ。起きれる?」

うん。大丈夫。

「・・・みんなにヨシトの事話したわ。」

うん・・・。

「みんな、ブリーフィングルームで待ってるわ。一緒に行こう?」



「まずは、私から行くわ。ヨシト、貴方の事が好きです。イリーナほどは支える事が出来ないけど少しぐらいは支える事が出来るわ。貴方の傍に居る事を許して欲しい。」

レアイナさん・・・。

「次は私だ。」

エクリアさん?

「ヨシト、貴方の事が好きです。ヨシトの過去を聞いておこがましくもこの心に貴方を救いたいと言う思いが湧き上がって来たんだ・・・。ホンの少しでもその心を癒せるなら私にとっては本懐だ。例え性欲の捌け口でもいい。傍に居させてくれないか?」

エクリアさん・・・。

「私の番ですね。」

セリーナさんも?

「はい! ヨシト様。お慕い申しております。醜女の烙印を押された身ですがそれでもこの心には嘘偽りない思いがあります。願わくば姉イリーナ同様に御寵愛を頂きとうございます。」

・・・ひょっとしてここにいる人たちって・・・。

「皆、ヨシトの支えになりたいって人よ。はっきり言うと特務隊全員がヨシトの事好きだから支えたいって言ってるのよ。」

レアイナさん・・・。

「ヨシト。」

イリーナ。

「私達で支えてみせます! だから弱さを包み隠さず見せるという強さを身に付けてください。」

・・・ありがとう、イリーナ。ありがとう、みんな。

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