お嬢様のパパはちゃんと貴族だった話
まともな思考しているなら「娘は無事だったか!あーよかったよかった!」で済ませる貴族はいないですよね。
とある屋敷の執務室で書類を処理している男がいた。
絶大な影響力を持つ侯爵家の当主であり、お嬢様のパパである。
ちなみにヒロインになりかけたお嬢様のパパなだけあってかなりのイケオジである。
「失礼いたします。旦那様にご報告が」
「どうした?お前がそんな顔をするのは珍しいな」
そこになろう界隈に広く生息するいかにも仕事ができそうな雰囲気を纏う初老の男が入室してきた。
なろう界隈では存在が消されがちな家令である。
もし彼がただの執事であれば侯爵家はナメられていただろう。
それはさておき、いつも余裕ありげな家令の表情は珍しく険しかった。
「バカタレー伯爵の領地を移動中のお嬢様が襲撃を受けました」
「…バカタレーには娘が通過すると通告していたはずだが」
「当代のバカタレー伯爵は評判がよろしくありません。盗賊の排除を怠ったか、もしくはバカタレー伯爵自身が糸を引いていた可能性もあります」
「あり得るな。それで被害は?」
「護衛の働きもあり、お嬢様は無事に脱出しました。しかし、護衛に少なくない損害が出ております」
侯爵は即座に次に取るべき手を考えた。
「陛下に今回の不始末を訴える。紙を用意しろ。それからバカタレーにも抗議の使者を立てる。賠償を拒否するなら戦でも構わんぞとな。」
「かしこまりました。兵の準備を行います。噂の流布も行いますか?」
「バカタレーは孤立させておきたい。やれ」
「かしこまりました。では、"バカタレー伯爵は盗賊と手を組み街道を襲う悪党"だと流しておきます」
「奴の領地には鉱山があったはずだな。これで新たな領地か少なくとも鉱山は手に入るな」
「鉱山の管理に詳しい者も探しておきます」
こうしてバカタレー伯爵の運命は決定付けられた。
領主の世界はひとつの怠惰と失態が破滅に繋がる厳しい世界である。
「あれ?俺、物語から消えちゃいました?」
バカタレー伯爵「街道警備をサボっただけなのに、盗賊と組んで街道を襲撃する悪人になっていました!~慌てて釈明するももう遅い!侯爵軍が来たので領地を捨てて出奔します~」
主人公、乱入して有耶無耶にしなかっため、バカタレー伯爵の死亡フラグを立てることに成功する。




