座敷童の富ちゃん
座敷童の富ちゃんは気が付いたらこの家に住み着いていた。
「みんな私の事無視する、何でだろう」
妖怪である富ちゃんは誰にも見えません、だからイタズラばかりします。そのせいでこのお屋敷は怪奇現象がある家として有名になり買い手が付きません。しかしそこにとある買い手が現れます。
「ええ本当に! こんなお屋敷がその値段で買えるの?」
「はいお客様、ですがこの値段には訳もあるのですが」
不動産屋さんはとても真面目で堅実な経営をする、良心店で間抜けな買い手にこのお屋敷の曰くをきちんと説明します。しかし買い手はアホだったのでそんなお話全く聞きませんでした。
「と言うわけで妖怪がいるなんて言われているのですが」
「すげー、庭広い、家もしっかりしてるし鉄筋かな? これが本当に?街中なのに?一億切るの」
「え、ええ、この辺りの相場なら五億は最低でも掛かるのですが、やはり曰くが」
「マジで! 買うよ、買っちゃうよ、一括で買っちゃうよ!」
「えっ? 本当ですか、しかも一括でありがとうございます!」
こんな感じで売買契約はあっさり決まり、そんな光景を見ていた富ちゃんは新しい人間に興味しんしんだったのです。
「わぁー、新しい人が来るんだ。お友達になれるかな?」
富ちゃんはずっと寂しかったので、どんなに新しい住人に無視されてきても諦めず、いつかお友達になってくれることを夢見てました。
そして間抜けな買い手が住人としてやって来た時に富ちゃんは早速挨拶に向かうのです。
「こんにちわ、私は富です」
幾度もして来た挨拶ですが誰も返してくれなかったのですが今回の買い手は違いました。
「ほぉ、この家には精霊が住み着いてるのか、それは縁起が良いな、我は白露と言うよろしくな」
なんと挨拶を返してくれたのです。富ちゃんは嬉しくなって笑顔でよろしくと言うのでした。
そして富ちゃんは白露に遊んでもらおうと色々イタズラをするのですが、白露はなかなか気にしてくれませんでした。その事が富ちゃんに寂しさを感じさせたのですが、数日した時に富ちゃんに出会いがありました。
「おお精霊がいるのじゃ、おぬし名前は何なのじゃ?」
富ちゃんの目の前に少女が現れます。
「私は富です」
「ほぉ富と言うのか、妾は」
富ちゃんは名前の長い少女から挨拶をされます。でも覚えきれなかったのでヨシコちゃんと呼ぶようにします。
「そうか富ちゃんはひとりぼっちだったのじゃな、でも安心するがよい、これからは妾が友じゃ!」
「本当にヨシコちゃん」
「本当じゃ、さて遊ぶのじゃ」
こうして富ちゃんは初めて出来た友達と沢山遊びます。富ちゃんは一人の時は家からでれないのですがヨシコと一緒の時はお外に出掛けられます。何故かは分かりません、不思議な力としておきます。
「湖って広いね」
「そうじゃの、おお富ちゃん白露がバーベキューをするのじゃ、行くのじゃ」
「バーベキュー? なーにそれ?」
「分からんのじゃ、でも行くのじゃ」
「うん」
この時食べたバーベキューは富ちゃんが初めて食べた美味しいものだったのか、すっかりお気に入りになります。
それからもヨシコが出かけるたびに一緒にお出かけして遊ぶ富ちゃん、しかしヨシコが小学校に通う事になった時に問題が発生します。
「うむ、富ちゃんは精霊だから通えないのじゃ」
「ううう」
富ちゃんはヨシコが小学校に通う事でひとりぼっちになる事が嫌で仕方ありません。そんな富ちゃんにマールは
「安心して下さい富ちゃん、白露様のお力を使えば富ちゃんも小学校とやらに通う事は可能ですよ」
そんな事を教えてくれます。その言葉に富ちゃんは
「ほ、本当に!」
笑顔になる富ちゃん。しかし白露の力で通えるとはなんか凄いですね。
こうして四月からヨシコと富ちゃんは一緒に小学校に通います。ちなみに白露もナギも知りませんでした。
こうしていつも茶の間で一緒にご飯を食べてるのに白露に知られる事なく今の今まで富ちゃんはヨシコ達と一緒に楽しく生活してました。そして
「えっ? 知らなかったの俺だけなの、てか今まで一緒に食卓飾ってたの、マジで」
「そうですよ白露様、富ちゃんは家を発展させる力を持つ徳の高い精霊なのでもてなすのが吉なのです」
マールの説明に確かに座敷童は家に居ると繁栄するし、出て行くと途端に破綻すると有名である。そう出ていかれると破綻するのだから
「うおー、何だよ富ちゃんは絶対いて貰わないとダメじゃん!」
「はい、ですからバーベキューをしましょう」
「あ、はい」
こうして富ちゃんは今日も楽しくしています。初めて白露と出会ってから彼女は幸せいっぱいだったのです。




