初島天空の異世界旅、その2
更新が遅れて申し訳ありません、これからも更新がいつもの2日に一回では無く一週間に一回程度になると思います。m(_ _)m
初島天空は現在小さな村に滞在していた。しかしその村は現在他国の侵攻に怯えていた、いわゆる国境線の村で国からはいつでも捨てられる程度の価値しかないほどなにもない村である。
「そうなのか村長さんよ、じゃあ俺を雇うかい?」
「えっ? 天空様をですか?」
初島天空はこの村に立ち寄ったその日に村を襲う魔物を簡単に倒し、村人から感謝されることになる。そして今回の村の危機に際し村の傭兵として雇う事をオススメする、彼からすれば食事と寝床を提供してくれれば良いので、かなり格安での仕事になる。
「ああ、軍から村人の全ては厳しいが命ぐらいなら何とか守ってやるよ、こう見えてもプロの傭兵だからな」
「ほ、本当ですか、それは心強い」
天空は基本的な方針を村長に告げる。
「下手に村を守ろうとするより今回は命を優先しようぜ、相手さんの目的はこんな僻地の村で無くてもっと先にある街だからな、下手に抵抗するより素通しした方が村の被害も少ないはずだ。余剰分の食料を置いていけば村を過度には破壊しないだろうし、避難した場所まで追いかけてこないはずだからな」
「な、なるほど、しかし村の者が納得してくれますか」
村長は天空の割り切った策に納得はするが心情的には決めかねていた、やはり頑張って開墾してきた愛着ある村を棄てるのはすぐには無理であった。
「はっはっは勘違いすんなよ、村を棄てるんじゃないぜ、これは村を救う一番の手ってだけだよ」
「村を救う?」
村長は天空の言葉に疑問顔
「村を下手に守ったら攻撃受けるし、防衛の為に村人も命掛けなきゃダメだろ」
「はい」
「だけど相手さんからして見ればこの村は唯の通り道、下手すりゃ迂回しても良いほどだ」
「それなら村から離れなくても」
村長は村に来ないなら村を出て行かなくてもと思う、しかし天空は
「そうだな、だがな相手さんからすれば迂回する訳には行かない事情もある、それは俺達が敵国のものだという点だ」
「確かに敵国ですね」
「そうだからこそ敵国の村から不意の攻撃、特に背後からの攻撃が一番の悪手になる、それぐらいは分かるだろう?」
「は、はいですが我らにはその様な意思は」
「ここでは有る無しは関係ねーよ、相手さんは遠回りでも村を潰しておかねば安心できない、だからこそ抵抗しないなら戦闘を避けられる可能性は高い」
「降伏ですか」
「いやそこで下手に降伏すれば村の食料を全て奪われ、根本的に村人の生存する可能性が無くなる、まあ飢え死にだね」
「そ、そんな」
「相手からすれば戦争に勝つための物資は必要だし、今後の統治を考えていたとしてもこんな辺鄙な村人なんてどうでも良いはずだからな、下手に優しくするより奪い切る方が利益が高い、だからこそ逃げる、いや村を棄てる策が効いてくる」
「そ、そうなのですか」
「いいか、相手からすれば楽に落とせるならそれに越したことはない、しかし楽だとしても得るものが無ければ村を滅茶苦茶に破壊するなんてアホな事をする可能性もある、まあ家探しの激しい版だな」
「は、はぁ」
「だから俺達は街に逃げる事にしたと思わせ、しかもある程度の食料を残しておく、これにより村を下手に破壊する行動よりも、単純に休憩する行動を取る可能性を高めさせる」
「なるほど、そうすれば村への被害は最小限に」
「ああ、特に畑に撒くための種もみ等を確保するのは優先しとけよ、畑を荒らされる事を見通した作戦だからな」
「は、はい」
既に村長は村を棄てる作戦を採用していた、確かに辛い事になる可能性が高いが村も生き残り、そして村人も救われるのはこれしかないとも思っていた。
「でだ、流石にこれだけでは相手さんも納得しないかも知らん」
「えっ? どういう事ですか」
「単純に隠れているだけかもと思われる可能性もあるだろ、そこで俺の出番だな」
「天空様の」
「そうだ、俺はお前達について行かない、俺は相手さんに村人が街に逃げたと思わせる様に陽動しながら撤退する、これでお前達に軍が向かう事はかなり低くなる」
「そんな、危ないですよ天空様」
天空は笑いながら村長に言う
「はっはっは、安心しろよ村長さんよ、正直俺一人だけならあんな軍隊に殺されねーよ、上手く誘導して村人一人も死なせねから逃げるのだけはちゃんとしてくれよ」
「あ、ありがとうございます天空様」
村長は泣きながら天空にお礼を言う、村長は高い確率で天空が死ぬだろうと思っているが天空の命より守は村人との意識も強い、これは統治者として当たり前の考えだった。
「それじゃあさっさと動くかね、村人が逃げる前に攻められたら笑えないからな」
「はい」
こうして村人は天空の指示通りに村から離れる、天空は報酬として少ない路銀と一週間分の食料を受け取る。
「さてお前達は山側に逃げる様に、俺は街への街道に罠を仕掛けながら相手さんを引き込むよ、これで戦争をするのはこの国の軍隊になるはずだからな」
「は、はい」
「戦争の行方はわからないが、戦争後は勝った方の言うこと聞けば特に問題ないだろう、どっちが勝っても意識されない辺鄙な村だからな」
「そうですね」
村人達の苦笑いと共に天空は戦いに向かう、地球最強の傭兵の本気のゲリラ戦が始まる。




