もうすぐ夏休み、その予定は?
「ねぇねぇヨシコちゃん」
「むぅなんじゃミキちゃん」
ミキちゃんはヨシコと同じクラスの女の子
「もうすぐ夏休みでしょ、ヨシコちゃんはどこかに行くの?」
「ふむ、そのような予定はないのじゃ」
「そうなんだ、ならさ私と海に行かない?」
「海? 海はもう行ったのじゃ、妾は山がいいの」
「えっ! そうなんだ、でも海は何回行っても楽しいよ、行こうよ」
「山はダメなのかの? 確かにもう一度海に行っても良いのじゃが」
「そうでしょ、海行こう、パパが連れてってくれるの」
「ふむ、白露に聞いてからでも良いかの?」
「うん! 絶対聞いてね約束だよ」
とヨシコはクラスメイトとの遊ぶ約束をした事を白露に伝える。
「別に良いと思うけど、向こうの親御さんに迷惑かけるのもな?」
白露は自分が日本に行かないのでヨシコを単独で行かせることに少し不安を感じている。しっかりしているようでまだまだ子供なのだから、そう悩む白露に
「仕方ないわね、先生! 私がヨシコちゃんの保護者役やりますよ、一緒に海に行ってきます!」
そう目を輝かせて露美が保護者役をかって出る。
「えっ? 露美ちゃんがかい、うーん不安だな」
白露は漠然とした不安を感じる。何か問題が起きないか不安で仕方ない
「なんですか先生、私ほどしっかりしている大人はいませんよ!」
露美が心外とばかりに怒りをあらわにする、彼女は白露の評価に納得しない
「でもな、今回は遊びより子供達の面倒を見るのが優先なんだよ、遊びよりもだよ分かる露美ちゃん」
「分かってますよ、私に任せて下さい」
胸を張り露美はドヤ顔で言うので白露は任せてみることにする。
「それじゃあ頼むかな、良いかいヨシコちゃん?」
「うむ任せとけ、露美の世話ぐらい楽勝なのじゃ」
ヨシコの凜とした顔に
「そうだね、確かにヨシコちゃんなら安心だね、よろしく頼むよ」
「ええなんでそうなるんですか先生!」
とのやり取りによりヨシコと露美は海に、そして
「お兄ちゃん、私、部活の合宿で出かけるからお小遣い頂戴!」
「おい、許可も取らずに俺の財布から金を抜くな」
そう言ってナギから財布を取り上げる白露
「あっ、お兄ちゃんのケチ、ほんの十万ぐらいで良いの、だから頂戴」
「バカ言うな! なんで十万もいるんだよ、ふざけるなよ」
白露の当たり前の言葉にナギは
「なんでよ、お兄ちゃん金持ちなんだからケチケチしないでよ、大丈夫ちゃんとお土産買ってきてあげるから」
以外にナギは引かない、白露は少し甘やかしすぎたかなと思いながら、お金について説教しようと思ったのだが
「分かった、じゃあ七万でいいよ、ワガママ言ってごめんなさい」
急に謝るナギ、そんなすぐに謝られると白露もそれ以上ナギを責め立てられず
「そうか分かったなら良い、じゃあ七万に」
「うん、ありがとうお兄ちゃん!」
そう言って笑顔でナギが部屋に帰って行く、白露は気付かない七万と言うお小遣いですら高過ぎることに、ナギが狙って値下げを要求した事を
「ぷー、良いなナギちゃん、私も七万ぐらいのお小遣い欲しい」
露美はしたたかな妹を羨ましそうに見つめるだけだった。
もうすぐ夏休みだが白露に予定は無い、彼女も友達もいないから、いや一人ぐらい友達はいるはず、いないなら悲し過ぎる、きっといる、彼はぼっちでは無いはず、きっと、いつか尋ねて来ると思われる。
「そういや一年ぐらいあいつに会って無いな、あいつも仕事忙しいだろうしな」
白露はそんな事を考える、妄想の友達では無いはず、そんな友人を考える。引っ越しして半年は経ってるのに遊びに来ないぐらいで友達がいない子扱いする訳にはいかない、彼にちゃんと友達がいるはずなんだ。
「確かアメリカに出張してるんだっけ?」
なるほど海外か、それなら来れなくても仕方ない、白露にもちゃんと友達がいると分かって安心、安心
「あっ? それは五年前だったっけ?」
大丈夫、白露が友達の近況を把握していないからと言って本当は友達では無いと言うわけでは無いはず、きっとこの夏には尋ねて来るはず、きっと
ここは宗教国家エリポス
「なんだここは?」
一人の男が召喚の儀によって、この地に降り立つ
「ようこそ勇者殿、我が願いによって召喚に応じて頂き感謝する」
「あん?」
召喚された男は比較的身長が高く180以上はあるだろう。
「勇者殿、我ら人類を脅かす魔王を倒して頂きたい」
「なんだ、お前ら」
男は辺りを見回し、そして目の前の老人を見て
「敵か?」
その日宗教国家エリポスの大司教が殺されると言う事件が起きる、その犯人は
「けっ! まさか異世界に来るとはね、これじゃ白露の好きなお話と一緒じゃねえか」
召喚された男の名は【初島 天空】世界最強最悪の傭兵と呼ばれた殺し屋である。




