ヒヨコ
黄金都市は罪深き都市であった。全てを黄金で埋め尽くした都市は人々の欲望を具現化したもので、発達した魔道具と言う兵器を武器にこの大陸全ての人々を奴隷とし金鉱山で死ぬまで働かせ作り出した都市でもある。
そんな都市も永くは繁栄出来なかった。その理由が今、白露の目の前にいる世界を滅ぼしかねない魔獣である。
「ぴよ」
「へっ? ひよこ?」
「ぴよぴよ」
白露の目の前に黄金に輝く小さな魔獣が現れる。
「えっと、ヒヨコだよな、あの幽霊が言ってたのは世界を滅ぼしかねない魔獣がいるから行くな、だったよな。
うーん、なるほどなこの先にさらなる宝があるとみた!」
白露の考えはこうだ。幽霊は恐らくこの先に行く事が出来ない、いわゆる地縛霊とやらで井戸から移動出来る限界があるのだ。そしてこの先にお宝がある為に白露を行かせたくないから嘘を言ったのだと、だからこそ白露は
「お宝だ!」
大喜びで駆けて行った。
しかしいくら走ってもお宝らしきものは見つからないし、さっきからヒヨコがぴよぴよ付いてくる。
「くっ、流石に簡単に見つかるとこに置いてるわけないか、しかしさっきからヒヨコが付いてくる」
「ぴよぴよ」
「ふぅ、可愛い」
白露は鳥類が好きだった、食べるけど
「よしよし」
白露はヒヨコを手招きする、ヒヨコはよちよち白露に近づく、さっきまで走る白露に余裕で付いてきていた脚力の面影は無かった。
「なんだ、結構人懐こいな、あはは」
「ぴよぴよ」
こうして白露は携帯していたビスケットをヒヨコに与える。ヒヨコは元気よくビスケットをついばむ。
「ふふふ、いやー癒されるな」
白露は普通のペットが欲しかった、悪魔になる猫や、ドラゴンになる犬や、背中に城を乗っける亀でなく普通のペットを
「おい、俺のペットになるか?」
白露はヒヨコに語りかける、ヒヨコはまるで頷くように……いや完全に頷く
「分かったぴよ」
「あれ?」
いきなり喋り出すヒヨコ
「いやー助かったぴよ、封印を解いてくれて感謝ぴよ、こんな力技でこの封印を解くなんてご主人は何者ぴよ?」
流暢に喋るヒヨコ
「これで大陸を沈める事が出来るぴよ、世界を滅ぼすぴよ」
ヒヨコは世界を滅ぼす気満々だった。
「いや滅ぼされたら困るんだけど」
白露は驚きはしたが落ち着いていた、だって今更じゃないかヒヨコが喋るくらい
「でもご主人、ぴよはこの世界を滅ぼす為に遣わされた魔獣ぴよ、世界を滅ぼさないとぴよの存在意義がないぴよ」
ヒヨコは真っ直ぐ白露の目を見つめる、ヒヨコのつぶらな瞳で見つめられると否と言いづらい
「うーん、じゃあ他の存在意義を見つけたら」
「他ぴよ?」
白露は伊達に人類殲滅をしたがる配下を持っているわけではない、世界を滅ぼしたいヒヨコの願いを捻じ曲げるのなんて簡単なのだ。
「そうだよ、今は俺のペットなんだろ、世界を滅ぼすより楽しい事探そうぜ?」
「ぴよ、そんな、そんな事あるのかぴよ、世界を滅ぼすより楽しい事あるぴよか!」
「違うよ」
白露はちっちっち、と人差し指を立てて左右に振りながら
「俺たちで創るのさ!」
白露はキメ顔でそう言った。
「ぴよー、すごいぴよ、そんな事考えもつかなかったぴよ、ご主人は天才ぴよ」
「だろ」
こうしてヒヨコは白露の左肩に乗っかる、ちなみに右肩にはずっとスライムがいる、そういう設定である。
「じゃあお宝を探すか」
「宝ぴよ?」
「ああここには黄金がいっぱいだからな」
「それは楽しいぴよ?」
「楽しいさ」
「ぴよー!」
ヒヨコのテンションが上がる。
黄金都市ジャパンは大陸全ての住人から恨まれその恨みが彼らを禁忌の行動に移させる。
【邪神召喚】
百万を超える生贄を捧げる事によって成し遂げられる、およそ人間が行える所業では無い、しかしこの大陸の住人は自ら進んで生贄になった、ただ黄金都市ジャパンの住人を滅ぼす為に
呼び出された邪神は黄金都市ジャパンのほとんどの住人を滅ぼすが最後に黄金都市ジャパンのトップである魔道士によって封印される、そしてその魔道士は命を失った後も自らの黄金と、それを滅ぼす邪神の封印を守る為にこの都市にしがみつくのだった。
「なんじゃ幽霊がおる? 祓っとくのじゃ!」
「うべー!」
あれ? 召されたみたい
こうして黄金都市ジャパンはその歴史に完全に幕を降ろすのだった。




