イーグレットの方は?
イーグレットの大きさは大陸の中でも最大クラスにまで成長していた。闇の森自体の大きさを入れ、その上ロストランド、レチュピア、ホーレット、モルモルを支配下に置きその勢力を日夜伸ばしていた。
「ゴブ郎様、国境付近でまた」
「白露様が許可しないからと調子に乗って、人間どもめ」
イーグレットと人間の国境付近に最近人間の軍隊が嫌がらせを何度もしに来ていた。
やり方は原始的で国境付近の村に魔王の悪口と言うか嘘でもなんでも言って白露を貶めたり
適当な野獣を放したり
国境付近の村に排泄物を投げたり
ともかくありとあらゆる嫌がらせ、しかもゴブリン軍が近づくとすぐにいなくなり、ゴブリン軍が去るとまた現れる。
「何がしたいのでしょうか人間は?」
「流言を広めさせ内部から潰したいのだろう」
ゴブ郎に取って彼らの策は全く意味を持たさないものだった。何故なら人が逆らえばその場で殺すし、サボっても殺す、白露に対して一回でも悪口を言えば一族全てを殺すからだ。
「外の人間は知らないのだろう、この国の人間の立場を」
他国の人間はイーグレットに恐怖していた、何故なら内部の事が何もわからないからだ。これはよく分からないとか、スパイの持ってくる情報が不正確とかと言う問題では無く、本当に何も分からないのだ。
「スパイなどこの国には入れん、ラスティ様が監視してるからな」
イーグレット全土をダンジョンと認識する事でラスティはイーグレット全土を監視していた。一歩でも他国のものが侵入すればすぐに断罪出来るほどに
「だからイーグレットに入らず、悪口を言って中から逃げる人間を待つのだろう、無駄な事だがな」
国境付近に確かに村はあるし、人は住んでいる、住んでいるのは間違いない、しかし生者とは限らない
「死者をアンデットにするとは白露様のお力はどれほどなのか」
この世界のアンデットは不死身では無い、不死身では無いが生者でも無い
この世界の死の概念は地球のそれとは違い、魂に注目する。この世界で死が訪れるとまず魂の行き場所に向かう、そして魂がその場で力を蓄えて再度器へと入り輪廻の中で新たな生を全うする。これは魂の力が尽きれば必ず行わなければならずその時間は人の場合100年を目安に上下するのだが、人は100年を待たずに死ぬ事は多々ある。その死を迎えた魂は数日その場に止まるのだが、その時に魔法で無理矢理この世に縛り付けて元の肉体に戻すのが反魂法、そしてそれをされた魂こそがアンデットなのだ。
なので魂の寿命が訪れた場合、その魂は魂の行き場所へと向かい新たな人生を歩むのだ。
白露は戦争等で死んだ魂をこの世に縛り付け、この世界で労働力として使役してるのだ。しかしこれは死んだ魂を弄んでいるようで聞こえが悪いかもしれないが、案外アンデットにされたもの達は、アンデットライフを楽しんでいたりする。何故なら
「いやー、腰痛がしなくなったし、身体が腐ってる訳でも無いしアンデットって楽なんだな」
魔術技術が高いものが行うアンデットの術は生前の姿、能力、記憶全てが残されたままでアンデットになるのでアンデット達は悲観する事なく与えられた国境付近での開拓作業に従事していた。
そんなアンデット達にしてみれば他国の、まあ国境付近という事は何度も戦争していた奴らの言葉がイラついてイラついて仕方ないのだ。
「ゴブリンさん、あいつら殺しに行ったらダメなんすか?」
血の気の多い? アンデットは警察官の役割を持つゴブリンに迫っていた。ゴブリン達も彼らの訴えを聞いてあげたいぐらいにはムカついていたのでゴブ郎に何度もお願いしに行っていた。
それが冒頭の話なのだが、ゴブ郎はいつも好きにさせとけの適当な返事である。
ゴブリン達は諦めかけていた、ゴブ郎は現在大規模鉄道網の事で忙しいので国境付近のゴタゴタなどの事などどうでも良かった。
しかし人間達はイーグレットに対して意図せず攻撃を、宣戦布告をしてしまう。
「あの鉄を奪え、魔王軍の企みを阻止しろ」
人間の国は何故か置いてある金属を見て、兵器と勘違いしてとうとう国境を超えたのだ。
そして鉄道網計画の中でかなりの被害をもたらせる線路破壊国境付近バージョンを行なったのだ。そして
「何て事だ、何て事だ、白露様の素晴らしき計画を邪魔するとは……皆殺しだ!」
こうしてゴブ郎のおかげで隣接する国々が戦禍に巻き込まれるのだった。
「久々の殺しだ!」
ゴブ郎は疲れてる、だからきっとこんな言葉を言うのだ。




