幕間 制作秘話みたいな事
これは大城白露原作映画【傷の正体】の制作秘話である。
「やっと白露様の作品の映画化にGOサインが出たぞ」
「やっとか、あまりこの世界に干渉するなって命令だから普通にしてるのかと思えば今や大作家先生だもんな、グラム様もようやく重い腰を上げたか」
「そうだな、でだ今回は白露様の出世作【傷の正体】だ」
「あれか、素晴らしい作品だな、10回は読んだぞ」
「私もだ」
映画プロデューサーと映画監督は共に白露の部下で日本に溶け込めの命令通り普通に仕事して普通に頑張ったらプロデューサー、監督と結構な位置についていた。悪魔は人間より遥かに能力が高いので白露の配下達はそこら中の権力の中枢に潜り込んでいた。
「そういやこの前俺の部下が国会議員になってたな」
「ああ、俺なんか局の上司が部下だった奴だよ」
プロデューサーの上司は彼の元々部下だった男である。
「あんな間抜けでも出世出来るんだな」
「そうだよ頭下げなきゃいけないし、すげー調子に乗ってるよ」
「だろうな」
悪魔の世界もなかなかに複雑である。
「んで配役とか指示あるの?」
「ある程度は、露美様が白露様の伝言役してるから、その辺は従えばいいだろう」
「なるほどね、主役は?」
「この人だってさ」
「ああ、この人なら大丈夫かな、ヤマト役は」
「フォーリンフォースのヒロトって子だよ」
「えっ? アイドルの?」
「うん、白露様の作品だからちゃんとした役者使うかと思ったんだけど、白露様の指示だって露美様が」
「まあ、あいつの事務所だし文句は言わないだろうけど、他には」
「男役は指示が細かく来たけど、女役は自由にして良いってさ」
「えっ? そ、そうなんだ変な指示だな」
プロデューサーと監督は首を捻りながらも映画化を進める、そこに
「脚本家はこの子でお願いしますよ、先輩」
「いやしかしな」
「はぁ? いやならうちからの支援は無いですけど」
「こ、これは白露様の映画だぞ」
「何言ってんすか白露様の映画だろうと金出すかどうかは決めんのこっちなんすけど」
「ぐぐぐ」
こうして無理矢理脚本家も決まり、それでも脚本家の脚本にNGが出なかったために順調に制作は進んだ。そして
「いや〜ようやく発表会ですね」
「特に問題なく進んで良かったよ、白露様からの文句も一度も無かったし」
こうして浮かれながらも順調な制作現場だった、ある電話がかかって来るまでは
「えっ、白露様がブチ切れだって、ちょっと待てどう言うことだよ、あっ、おい、くそ切りやがった!」
「ど、どうしたんだ?」
「分からない、ただ白露様が脚本に納得されてないらしい」
「えっ? でもちゃんと見せていたはずじゃ」
「露美様のところで止まってたらしい」
「マジかよ」
プロデューサーと監督は事態の深刻さを理解した。そして白露家に呼び出され、目の前の白露が現れた時は久々の魔王の姿に感激していたが、白露の第一声に冷や汗が止まらなくなる。
「余がどれほど怒っておるか理解してるかグラム?」
グラム、そう呼ぶのは魔王だけであり、ただの作家白露では絶対に出てこない呼び方である。その事が事態の深刻さをより理解させる、目の前にいるのは我々を一瞬で断罪出来る化け物と
「やばい、やばい、やばい」
「ど、どうする」
プロデューサーと監督は震えながら白露の質問に答える、そして話題が脚本家になると
「そんな、何が不満なんですか」
『うそ、なんで口答えしてるのこの小娘が』
プロデューサーは怒り心頭である、誰のおかげでこんな事になってると思ってるだ、と
「おい呼び出せ」
プロデューサーは上司になった部下を殺してやると思いながら、白露が呼び出した人物に驚く
「社長!」
プロデューサーが見たのは各局のテレビ局の社長達である、そのメンバーを支配下に置いたと言うことは日本のメディアを支配したも同然の人間がこの場に集まっていた。
この後の話は簡単だった、この場の全てのものが白露にひれ伏し、脚本家を重用した馬鹿の首が文字通り飛び、脚本家も職を追われた。そして
「監督、それで良いのですか、ここはもっとこだわったほうが!」
「事務所もこの映画を最優先にと、スケジュールは気にしないで良いですから」
映画俳優、女優も事務所から死ぬ気で映画に取り込めと命令され、本人達も今回の事を命懸けで取り込まなければと、そして
「なんでヤマト役が行方不明になるんだよーーーーーーー!」
とプロデューサーの受難は続く




