保護
「あれここは?」
ヒロトは目が覚めると目の前に向日葵畑が広がっていた。
「えっとここは? へっ?」
辺りを見回すと、そこにドラゴンが寝ていた。
「ど、ドラゴン!」
腰を抜かし尻餅をつきながら後ずさるヒロト、何が何だか分からないヒロトはパニックになりながらも辺りを見回して、そこに妖精と話をしている白露を見つける。
「しゃえんせい!」
呂律が回らず変な声で白露に駆け寄るヒロト
「おわ、ど、どうしたのヒロト君」
白露はいきなり抱きついて来たヒロトにビックリする。
「ど、ドラゴンが!」
ヒロトはペスを指差し必死に訴える、そんなヒロトに白露は
「ああ、大丈夫だよ、あれペスだから」
「へっ?」
ヒロトが何のことか分からず変な声を出していると白露が
「お座り」
「がう」
ドラゴンが座る
「伏せ」
ドラゴンが伏せる
「ちんちん」
ドラゴンがちんちんの姿勢になる
「へっどういう事?」
そこで何が何だか分かってないヒロトに白露は異世界の説明をする。その説明を聞いてヒロトは先日の日本のフィクサー事件を考慮して
「先生は魔王なんですか?」
そんな質問をしてしまう、だけど白露は自分が確かに魔王になったと思い
「そうだね、確かに俺は魔王だわ」
「えええ!」
ヒロトは驚きの声を上げるのだった。
そして落ち着きを取り戻したヒロトは先生凄いを連呼しながらキャンピングカーに乗り込み
「なんでキャンピングカーあるんですか」
「さぁ、付いて来たみたい、まあ便利だし良いんじゃないかな」
「そおすね」
ヒロトは助手席に座りたかったがラスティに無理矢理引き剥がされ、後部のソファーに座っている、その横に何故か妖精がいるのだが
「先生この妖精なんで付いて来てんすか?」
「さぁ聞いてごらんよ」
ヒロトは妖精に尋ねる。
「なんで付いて来てんの?」
「面白そうだから」
「なるほどね」
ヒロトは落ち着いていた、異世界に来たのに、それは白露の家に帰れば良いだけの話だから落ち着いてるのである。
「まさか先生の家が異世界と繋がってるなんて不思議っすね」
「そうなんだよね、まあ不便なのは日本に行けないぐらいで後は便利だから楽しんでるよ」
「ああ確かに」
ヒロトは楽しんでいた、白露の家は遠いらしいがキャンピングカーに乗ってるだけで良いし、魔物みたいなのもいるけどドラゴンのペスがいるから怖くないし、簡単な異世界旅行程度に思っていた。
「えっなんすかこれ?」
地獄の様な人の住んでた村らしきものを見るまでは
「ああ盗賊か何かかな?」
「違うよ、軍隊みたいだったよ」
妖精が語る、その言葉から戦争中だと思われる。
「戦時下か、危ないな早くここから離れないと」
白露がそう思ってるとヒロトが村に走って入っていく
「ど、どうしたのヒロト君」
慌てて追いかける白露、ヒロトがとある廃墟の目の前で止まり、ガレキを取り除く、泥だらけになりながらも必死に、すると地下に繋がる入り口が
「泣き声が聞こえる」
ヒロトがそう言って扉を強引に開けるとそこには十人ほどの子供が
「ひっ、ひぃーー」
怯える子供達、恐らく大人達がここに隠したのだろう
「安心して俺達は君達を傷つけたりはしないよ」
ヒロトはアイドルである、そのアイドルスマイルで沢山の人を魅了する。そのスマイルに子供達も地下から出てくる、その姿はボロボロで数日何も食べてない様で衰弱していた。
「あ、あの先生」
ヒロトは白露に助けを求めようとして
「大丈夫だよヒロト君」
白露はラスティにキャンピングカーに残されていた食料を使い簡単なスープを作らせていた。
「おいしー」
「あったかい」
子供達はスープにがっつき、安心したのか眠りに着く、白露のキャンピングカーはかなり大きなものなので寝床を限界まで広げると小さな子供なら十人ぐらいなら詰め込めば寝れたのだ。
「しかし困ったな」
「やっぱり子供が」
「いや食料がね、食べ物なしはキツイよ」
「食いもんですか」
ヒロトは安易に子供を助けた事を申し訳なく思ったが白露は気にしてない、今更十人子供がいてもビクともしないほどに白露の支配域は大きいのだ。
「ここから俺ん家までかなりあるらしいし、食いもんが持たないんだよな」
「俺なら少し食べないくらい」
「そんな事させられないよ」
白露はどうしたもんかと車を走らせる、ちなみにあの村を襲った軍隊はラスティに滅ぼされ、その食料を奪い取りキャンピングカーの食料は万全である。仕事の早いメイドであった。
「どこか途中の村と行きたいけど、多分無理だろな」
「どうしてです」
「だって戦時中なんだよこの国は、余所者の俺達じゃ殺されちゃうよ」
「そ、そうですね」
白露の悩みは既に解決済だがラスティは何も言わない、彼女はヒロトとばかり話す白露に拗ねていたのだ。
「弱ったな」
白露は迷い無く家路についていた、キャンピングカーに付いているカーナビは異世界でも使えるみたいだ。
「ペスになんか狩って来てもらうか」
ペスはその言葉に尻尾を振りながらやって来るがラスティに頭を押さえつけられる、どうやら出て来るなと言いたいらしい
「クゥーン」
ペスとラスティの力関係は見たらすぐ分かるが、白露だけは仲がいいなぐらいにしか見えていない
「どうしようかな」
白露の悩みは続く




