閑話 三章のその後
ロストランド王国は現在、信じられないほどの平和を享受していた。
「なんだか拍子抜けだよな、魔王軍が攻めてきた時は死を覚悟したのによ」
そんな市民の声、それに反して
「伯爵である私が何故かのようなことを」
貴族の声
今回の侵攻によりロストランドの支配体制は大きく変化する。一番の変化は人間全てが平等であると言う価値観であろう。
魔王軍からすれば人間の階級なんて関係なく、貴族がどれだけわめいても気にしなかった。それが一般市民には好意的に受け入れられロストランドの混乱は最小限に収まっていた。
今回の魔王軍侵攻は魔王の指示ではなく部下の勝手な行動であった為に、ロストランドに対して何かを要求する事もなく市民は普通の生活を送っていた。
「くっ伯爵である私がトイレ掃除だと」
「知らねえよ、やらないなら給料無しだ」
「貴様!」
こんなイザコザは良くあるが
「争いか?」
「「いえ、まさか」」
少しでも治安を犯す行動を取った場合警備のゴブリンに問答無用で殺される為大人しくしている。
ロストランドは王政の独裁国家であり、貴族が幅を効かせる中世では良くある国だが、白露が
「資本主義が基本だよゴブ郎!」
と言われたので商人が幅を効かせる様になる。
しかし資本主義を取り入れたとて政治を担うものがいないと困るのでロストランドに代官という形で獣人族の一部がロストランドの貴族の代わりに支配者になる。だが人民全てが白露の所有物との考えが獣人族にあり、過度の税収行わないので上手くいっていた。
「魔王の支配体制の方が国民が喜ぶなんて皮肉だな」
ロストランドに仕えていた兵士達は現在、拡張された農地を耕していた。彼らは国軍の仕事全てをゴブリンに奪われ農地開拓の仕事をやらされていた、だがこの事がロストランドを世界最高の農業大国に推し進める。
「王はどうしたのかな」
兵士達はロストランド陥落の時から行方知らずの王を心配していた、ロストランド王は
「いらはい、いらはい、安いよ」
客の呼び込みをしていた、そこに王の威厳は無かったが
「はぁなんか楽じゃの」
王の責務から離れ、穏やかな毎日を送っていた。
そして地下帝国を作っていたモグニン達は
「ヤッホッホがうるさくて魔王様の睡眠を妨害していたですと」
そう聞かされ怯えていた、足ガクガクである。
「安心してください、白露様は怒っていませんよ、ねえゴブ郎殿」
「ぐっ、そうだな」
「だってゴブ郎殿の指示なのですから、まあ私なら白露様の邸宅の地下を掘るなんて恐れ多い事出来ませんがね」
「ぐぬぬぬ」
ゴブ郎はゴブ蔵の嫌味に耐えていた、今回は全面的に自分が悪いので何も言い返せないのだ。
「まあモグニン達にはこれから大仕事がありますから、白露様の命令ですから安心して働いて下さい」
「ヤッホッホ」
「あと白露様の地下は避けて下さい」
「ヤッホッホ」
「それと地下帝国作成に置いて白露様計画書作成会議に責任者は出席なさい」
「はい」
「それとゴブ郎殿」
「なんだ」
「あまり勝手な行動は慎んで下さい、人間に攻め入ったのも白露様はあまり喜んでいませんでしたよ」
「ぐぬぬぬ」
ゴブ郎とゴブ蔵の争いはゴブ蔵有利に進んでいた、まあ白露は気にしてないが、白露はもう少し治世に気を配るべきだと思う。
こうしてイーグレットは少しの歪みを生みながら大きくなっていく




