ロストランド陥落
ロストランド王国は混乱していた。
「魔王軍が攻めて来ただと?」
「はっ、現在王都まで一日の距離に」
「何故だ、闇の森から王都まで砦が何個も」
「全て抵抗むなしく陥落しました」
「馬鹿な余まで何故伝えなかった」
「申し訳ありません、早馬と進軍スピードはほぼ互角、魔王軍は信じられないスピードで」
「まさか先ほど報が届いたばかりだと言うのか?」
「そ、その通りでございます」
「馬鹿な」
ロストランド王国、決して良い噂のある国では無かったが悪い噂も無い、普通の国であった。
ロストランドは強国では無いが、弱い国では無い、闇の森に面してるが為に強い冒険者が集まり、彼らの活躍により魔物の素材で国を潤わして来た。
しかしロストランド王国は魔王の登場により、その国力を一気に落とす。冒険者達が去って行ったのだ、既に冒険者のほとんどが国を出ており兵力も格段に落としていた。だが騎士や兵士はおり、いくら強固な魔王軍でも簡単に落とさないと思われていた、今までは
「陛下、魔王軍より降伏の使者が」
「先ほど攻めて来た報を聞いたばかりなのにか?」
「はい、そして闇の森の付近の貴族は既に降伏を受け入れ奴隷に落ちたと」
「くっ、そうか、国民の命は?」
「大丈夫ですよ、我らの王は寛大ですから」
「貴様は!」
そこに歪んだ表情の狐の獣人がいた。
「これは失礼致しました人間の王よ、我は魔王軍獣人特別隊、フォッグと申します。
あなた方に降伏して頂こうかと思いまして」
「国民の命は守ってもらえるのか」
「さあ? 全て魔王様の意思次第」
「なぁ!」
王にとって絶望的な話である。救いは無かった
「まあ魔王様は寛大だ、お前達人間が地べたで這いずり回るくらい許して頂けるだろう、アッハッハ」
「き、貴様!」
フォッグの態度に腹を立てたのはこの国最強の騎士である、彼はその腕一つで王の懐刀として重用されるまでになった。
「ふーん、この程度か」
「なんだと!」
彼の剣はあっさりフォッグに受け止められる、それも日本の指で
「交渉決裂か、蹂躙で良いのかロストランド王よ」
その光景はどう足掻いてもロストランド側に勝ち目のない事を示すものだった。
「待ってくれ、ロストランドは魔王様に忠誠を」
「おや、これは?」
フォッグは、騎士を指差し
「それは」
なんとか命だけはと思い、救いを懇願しようとした王の目の前で
「反逆者だな、死刑」
「ぐは!」
一筋の閃光が放たれたと思えば騎士の命はこの世に存在する事を拒否される。
「おお」
ロストランド王が嘆く、そしてフォッグは最後に
「少しでも機嫌を損ねればこうなる、我らにとってはどちらでも良いものだからな」
そうフォッグを伝えて王の目の前からいなくなる。後に残されたロストランド王は全兵に魔王軍に攻撃せぬよう命令を下し、王都へ向かえるように指示する。
「絶対に逆らうな、民の命が優先である」
まるで民を優先する王と写るが彼にとって見れば何が原因で自分が殺されるか分からない恐怖からである。
「ゴブ郎様、ロストランド王は降伏致しました」
そうフォッグが伝えると、フォッグは剣で殴られる。
「ぐふ!」
何が起きたか分からないフォッグ、自分が何か至らないことを考え、何もない事にどうしていいか分からない
「王と名乗るのは白露様のみ、人間に王などと呼称を付けるな愚か者」
「は、はっ! 申し訳ございません」
フォッグは理由が分かり体が震える、なんと愚かな事をしたのかと
「だが降伏勧告を上手く出来たのは褒めてやろう、これでこの土地の人間は全て白露様の物だ」
ちなみにこの進軍、完全にゴブ郎の独断である。
ゴブ蔵の登場により、自らの存在に不安を覚えたゴブ郎は功を焦りロストランド進行を勝手に始めたのだ。
「クックックッ、これで白露様は我を褒めてくださるはず」
この後しこたまマール、露美に怒られ反省したのは言うまでもない、白露はゲームの話かと流したが
「さて人間の国とはどの様なものかな」
ゴブ郎はご機嫌で王都へと入っていく、そこには絶望に包まれた人々が睨む事も出来ないため、皆目を逸らし下を向いていた。
「ゴブ郎様、一部が略奪を始めましたが」
「やめさせろ、ここにあるもの全て白露様のものだ」
「はっ!」
魔王軍は常に略奪禁止の法が守られていた、ゴブ郎の全ては白露の物宣言により誰も手出し出来ないのだ。
「殺してやる!」
街の角、裏道と呼ばれる場所から汚い格好をした少年がゴブ郎を睨んでいた。その目には憎しみの炎しか無かった。




