ダンジョンだったのか
最近の白露は大変である。
寝ようとしたらヤッホッホの大合唱、リビングではマールとエリスの喧嘩、仕事では怖い編集長がいつもいて……
「家出するかな、ペスも来るかい?」
「わん」
こうして白露はペスの元住処に家出する、ペスはかなり力持ちらしくキャンピングカーを持ちながらの飛行である。
「こここそが俺の真の城だ!」
そこはペスの住処、洞窟の先に不思議なお店のある、不思議な洞窟
「さて仕事するか」
それでも真面目に仕事はするのが白露だった。
そして白露家では
「うぎゃー白露様が家出なされた!」
「なんでだ!」
それはそれは大騒ぎであった、殺し合いが始まるほどに
「お前が煩わしいから白露様が出て言ったんだ」
マールの激怒
「お前が騒がしいからだろが」
エリスの憤怒
「あのバカ仕事どうすんだ!」
千歳の呆れ
「お兄ちゃんがいなきゃ、誰が小遣いよこすのよ」
実は一番キレてるナギ
「あわあわ、どうしたら私は」
自分のどこが至らなかったのかミーコ
「やべ、先生いなきゃサボる口実が」
いつでも自分優先の露美
「まあそんな事もしたいじゃろ」
一番落ち着いてるヨシコ
ちなみに手紙にはヤッホッホとうるさい、喧嘩がうるさい、編集さんは素敵だが集中したいと愚痴いっぱいの手紙を残しての家出である。
「はぁ、静かだねペス」
白露は静寂を楽しんでいた、家事などの雑務もしなければならないがうるさいよりマシである。
「ガウガウ!」
ペスが嬉しそうに尻尾を振っている、遊んでもらうのが楽しみで仕方ないようだ。
「あははペス、今は仕事を切りのいいところまで書きたいから後でね」
白露は甘えてくるペスにそう言ってゆっくり仕事に打ち込む、ペスはがっかりしながらも大人しく丸まっている。どうやら白露の邪魔をしたくはないようだ。
「ここは天国だな」
白露は一回しか来ていないので気付いてないが、この洞窟の施設は成長していた。イーグレットが大きくなって行くのと同じスピードで
一回目の時はコンビニ程度の店だったが、現在は中規模スーパーぐらいである。
「食事の心配がないのは良いよな」
この洞窟は不思議な洞窟、正確にはダンジョンと呼ばれる迷宮の中心核、世間的にはマスタールームと呼ばれる場所で闇の森の支配者しか入らない、元々はペスが一番で闇の森の支配者だったが、白露が王を宣言したことにより白露を主と認めている。
「あれ? これなんだろ?」
そんなマスタールームの一箇所に白露は注目する。そこには玉座みたいな、ちょっと違うような不思議な椅子があり、書き物をするのに丁度いい机があった
「机と椅子? だよな、へーまあまあだな」
白露の趣味は子供の頃から変わらない、世間では厨二病と呼ばれる様な調度品を好み、魔王城みたいな感じの家具を買い漁ったのは若気のいたりだったろう、まあ現在の白露家もそんな家だが
「なかなかの出来だな、この辺の金ピカ具合が良い」
白露が一番好きな城は姫路城、やはり名前の元になっただけあり外見は大好きなのだが、室内は別、中は完全に西洋かぶれのダークファンタジー的な内装を好む
「ここは丁度良いから仕事ここでしよ」
そうして白露が席に着くと
【新たなるダンジョンマスターの承認を確認】
「へっ?」
【おはようございますマスター】
「えっ? えっ?」
白露は辺りをキョロキョロ見回して、自分を指指し
「もしかして俺?」
【はいマスター、あなたは呼称闇の森、真名を【カイザーフォレスト】のマスターに任命されました】
「えっそうなの」
白露は急な展開に戸惑うと思われたが
「へぇー、ダンジョンマスターか、そうかそうか」
案外乗り気である。
「いやー、やってみたかったんだよね」
白露、ダンジョンマスターとかに憧れていた。
【それではマスター命令を】
「命令か、ねぇダンジョンマスターって何が出来るの?」
【何が? と言われれば何でもと答えます、マスターのイメージが具現化すると思われるとよろしいかと】
「へぇー、じゃあさ姫路城を作れるのかな」
【姫路城とは……はいマスターのイメージを確認、どこに建てますか?】
「えっ出来るんだ、あっでも費用とかは、ダンジョンポイントとか?」
【ダンジョンポイントとは……はい、確かにダンジョンを作る時に対価は必要ですがマスターの魔力ですので、魔力続く限りはどれだけでも】
「そうなんだ、じゃあ僕の魔力で姫路城は作れるのかな」
【そうですね、少しマスターをスキャンさせてよろしいですか?】
「ああ、そうだよね、俺の魔力調べないと分からないよね、良いよ」
【ではスキャン開始】
白露の足元が光、その光が足から順に頭まで動く
「おお確かにスキャンっぽい」
白露が興奮してるとスキャンが終了する。
【マスターの数値です】
白露の目の前の机に数値が浮かび上がる、どうやら机はディスプレイらしい
「へぇ、便利だな、どれどれ」
白露がまた数値は以下の通り
大城 白露
力:つおい
守:つおい
敏:はやい?
魔:すごい
運:ないね
「数値ちゃうやんけ!」
白露のツッコミが室内に広がる。
【申し訳ございません、マスターの数値を正確に読み取れませんでした】
「ええ、そんな! じゃあ姫路城は作れないの」
【いえそれは簡単かと、マスターはかなりの魔力をお持ちなので城どころかこの森を空に飛ばせますよ】
「いやそこまではいいよ、とりあえず出来るのか」
【はいマスター】
「うーん、でも闇の森は今ゴブリン達が開発してるしな」
白露は邪魔するのも悪いと思っていた。
【ゴブリンはマスターの配下ですか?】
「そうだよ」
【ならば呼び出して命令すればよろしいのでは】
「それもそうだな、よしペスにお願いして」
【マスター呼び出したいのなら、私が】
「えっ呼び出せるの?」
【はい、この森全体は私の管轄内ですから】
「へぇ、じゃあお願い出来る?」
そう言った瞬間にゴブリンが現れる、それはゴブ郎では無いゴブリンである。
「な、なんだ、ここどこだ?」
ゴブリンはいきなり景色が変わりキョロキョロ戸惑っている。
「おっ、もう来たの凄いな」
白露は驚きながらも現れたゴブリンに話しかける。
「あのちょっといいかな?」
白露が話しかけるとゴブリンは青い顔をして
「は、は、は、白露様ーー!」
凄い叫んだ、このゴブリンの階級では話すのも恐れ多いお方と言うのがゴブリンの常識
「えっ、いやゴメンね急に」
ゴブリンは何故自分がここにいるか分からないがとりあえず頭を下げて
「いえ、白露様に呼ばれるのは光栄な事です」
ゴブリンが頭を下げっぱなしだと話しにくいので
「頭上げてくれるかな?」
「はい」
すぐに頭をあげる、人間社会なら恐れ多いと頭を下げ続ける者もいるが、ゴブリン達にはゴブ郎からキツく白露の言葉に逆らうなと命令されているため、白露が上げろといえばその通りにするのだ。
「でね君を呼び出したのわね」
白露はゴブリンに城を建てる旨を伝える、そこでゴブリンは首をひねる、何故なら白露が作りたいのなら作れば良いだけで、それにたいして賞賛こそあれ非難するものなど存在しないのだ。
「だから意見を聞きたいんだ」
「は、はい」
しかしゴブリンは基本的に知恵が無い、その為におかしいと思っても白露のする事に意を唱えることは無い、今回はそれご白露に好感を持たせる。
「ふーん、じゃあここはウルフ系の魔物が生活してるのか」
「はい」
「ここは?」
「ここはハーピィ系の者が」
「そうなんだ、なんか滅茶苦茶だよね」
「はい」
ゴブリンは決して白露に意を唱えない、今の所全て肯定の返事
「君ならどうする?」
それはなんとなくの質問だったが、偶然にダンジョンが選び出したゴブリンと思えば偶然であるが、必然にダンジョンがゴブリンを選んだならば必然である。何故なら闇の森のゴブリンの能力は全て把握しているのだダンジョンは、そしてダンジョンの意思を伝える椅子は白露に最適な人材を提供する。
「私なら……」
「いいね、とってもいいよ」
「へっ、ありがとうございます」
ゴブリンは手放しに褒め称える白露に照れてしまう、ゴブリンは白露に褒められるととても嬉しくなるのだ。
「よしお前に名をやろう、褒美だ」
白露の魔王モード、配下を昇進させる時などはなってしまう変化である。
「えっ、名をですか」
「ゴブ蔵と名乗れ、分かったな」
「は、はい」
名を与えられるとゴブ蔵は光に包まれ、ゴブリンデュークへと
「これからお前は闇の森の開発責任者だ、分かったな」
「はっ!」
「よし、しばし余の下でアドバイスを寄越せ、これよりダンジョン改変を行う、良いな」
「はっ!」
こうして白露の闇の森改革が始まる、完全に暇つぶしだが




