白露はとある出版社のエース
「魔王様はどうだ千歳よ」
「はい社長、元気にしてますよ」
「そうか、しかし魔王様にあれほどの才があるとは、おかげで我が社は助かってるよ」
「そうですね、新企画の方も馬車馬の如く働かせますから」
「いや、そこまでしなくても」
「いいんです、ダクロなんてその程度で、マールも露美も桜花もいるのです、あの世界の人間程度なら楽勝でしょ」
「はぁ、お前は忠誠心ってものは」
「覚醒なされてない白露なんて価値ないでしょ」
「いや既に覚醒なされているから、バリバリの魔王様だから」
「ちっ、なんであんなポンコツが魔王なんでしょ」
「はぁ、フラれたからと」
その瞬間、社長と呼ばれる男性の目の前に斬撃が通り過ぎる。
「ひぃ!」
「フラれてません、私が愛想を尽かしたのです」
「そ、そうだったな、あはは」
白露と千歳の間に何があったのかはおいおい説明するとして、ここは白露がお世話になっている出版社であり、日本最大手の規模である。
しかしその実態は、こちらの世界にいる魔王を守る為に組織された会社である。社員のほとんどが悪魔で、収入の半分が白露関係の出版物である。
「我が社の命運は白露様にかかってるだ、そこは間違えるなよ千歳」
「はいはい社長の命には従いますよ、しがないOLですからね」
「はぁ、年収五千万超えてるのにしがないとは、しかも白露様に生活費を出させてるとは」
「何言ってるんですか、あのアホが露美を襲わないか心配だから仕方なく何ですけど」
「はぁ我が娘ながら我儘だけだ、別に白露様が手をつけられても構わんだろ」
「うゎぁ、最低ですね社長って、これ奥さんに伝えておきますね」
「や、やめて、妻にだけは妻にだけは」
社長は泣きながら千歳に懇願する、どうやら余程の恐妻家らしい
「全く、魔王様の最高の相棒と呼ばれた魔剣【グラム】とは」
「過去の話だ、今の白露様の剣は私ではない」
「はぁ、どうでもいいですけど社長、この企画書にさっさと判を押して下さい、私、帰ってマールのご飯食べるんで」
「マール様も復活してるのは僥倖、我が社は白露様完全にバックアップしなければ」
「まあ完全に依存してますけどね、彼の才能に」
「はぁ何をやっても一流、それが魔王様なんだが作家業を辞めさせられないのはどうしようかな」
グラムは白露に魔王業に集中してほしいが、白露の書く小説はありとあらゆるメディアミックスを遂げ、その小説から得られる収入は会社を維持する為に必須のものになっていた。
「グダグタ言いながら辞めさせる気無いくせに、知ってますよお得意さんに白露の小説を中心に漫画化した雑誌を刊行するって」
「いや、社員を食わすのもな、この世界の悪魔を守るのは我らの仕事じゃないか」
「そうですね、まああいつを入社させなきゃいけないんですけどね、暴れてないのが不思議なくらい」
「あの方は白露様の命令しか聞かないからな、スカウトはなんと?」
「右手無くなった労災寄越せ、だそうです」
「やはりか、今は大戦の時では無いからな神界に目をつけられないようにせんと」
「いっそ白露に行かせればいいんじゃないの」
「ダメだろ、今の白露様は我らの事は」
「ほんとめんどくさい、記憶が安定しない呪いなんて」
「神々の意地だったのだ、守れなかった私も悔しいよ」
「そうねあんたが悪いは」
「はう!」
「はぁ社長をなんであんたなのかしら、ポンコツ魔剣なんてね」
「千歳は相変わらずだな、悪魔達は口が悪すぎる」
「ふん」
そこで千歳のスマホが鳴る
「あら誰かしら」
千歳はスマホに出る、社長名前だろうが関係なしである。
「はい、千歳よ」
『あっ千歳さん、私よ』
「はぁ、珍しいわねあんたから電話なんて」
『お前が変な奴を寄越したのはいい、それより白露様が目覚めたのは本当か?』
「そうね、確かに目覚めたと言えば目覚めたわね」
『既にマールが付いてるのは本当か』
「ええ」
『あのクソアマ、私より早く白露様からご寵愛を受ける気か、ぶっ殺してやる』
ぷつ、ツーツー
「あーあ、あの子白露のとこに行っちゃったわ」
「えっ、マズイじゃん」
「分かってますよ、それじゃ社長、私の代わりに仕事しといて下さい、わたしは白露の元に」
「えっ? 僕社長だよ」
「いいからやっとけ」
「はい」
こうして困ったさんが白露の元へ、白露は寝室を守れるのか、それだけが心配である。
では次回、白露のパーソナルスペースは仕事部屋オンリー、をお楽しみに




