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異世界へお引っ越し!  作者: にんにん
第二章 お向かいさんは……
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勇者とか

 「うーん、人間いないな?」


 「ふむこの辺りの人間は逃げたようですな」


 そんなゴブ郎の言葉に首をかしげる白露


 「この辺に何か恐ろしい者でもいるのかい?」


 「分かりません、この辺りは調査出来てません」


 ゴブ郎は素直に報告する、彼は決して白露に嘘をつかない、その報告で白露を怒らせる事になっても


 「そうか、そうなるとこの辺は後回しだな」


 白露はビビリ、ビルサレルと違う方向にハンドルを切る。彼曰く決してビビった訳では無いらしいが、まあ彼はチキンではある。


 「とりあえずあの子もマールが面倒見てくれるみたいだし、これからもああ言う子がいるなら救ってあげたいな、ねぇゴブ郎、イーグレットでああいう子達を保護出来るかな?」


 「はい可能です」


 ゴブ郎はすぐに肯定と答える、白露は気付いてないがゴブ郎の答えはいつも肯定でしか無い事に


 「そうか、ゴブ郎もああいう子達いたら助けてあげてね」


 「はっ!」


 白露の軽い気持ちの人助けだが、ゴブ郎に取っては国家事業への命令である。

 こうして人間世界に捕まる亜人種はイーグレットが次々に保護する、その際に人間界に大打撃を与える、白露の知らないところで人間対亜人種、魔物を激化をたどっていた。


 「とりあえず……どこ行こうかな?」


 白露は予定も決めずにぶらり旅を行なっていた、予定を決めてないのでどうしていいか分からずにいた。

 二度目の旅立ちなのだが、行くあてが無さすぎて困っていた。


 「そうじゃ! 白露よ闇の森の向こう側にデカイ、それはデカイ湖があるのじゃ! そこへ行こうなのじゃ!」


 ヨシコがそう提案する、それに白露は


 「そんなとこあるのか、いいね」


 乗っかる、あてもない旅だ漠然としても良いから目的地が出来て嬉しかった。


 「でどこにあるのかなヨシコちゃん」


 「うむ、ペスに乗りながらだったから少し遠いが、あっちじゃ!」


 「よしあっちだな」


 そう言って白露は車をあっちへと向かわせる。

 正直魔物に出会うのが普通なのだが


 「何も起きないな、異世界なのにイベントがないな」


 そう言いながら車を走らせる白露、実を言うと盗賊団が何度も現れるはずだったのだが軽トラ組が殲滅していたのだ、その際に盗賊団に捕まっていた亜人奴隷が救われていた。


 「まあ平和なのが一番なんだけどな」


 ゴブ郎は焦っていた、白露がつまらなそうにするたびに何かせねばと焦るのだが、完全に武人になったゴブ郎では白露を楽しませることが出来なかった。


 「なんじゃ、それなら碁をせぬか?」


 「えっ、俺、碁はルール知らないんだよね」


 「そうなのじゃ、仕方ないのじゃ、今日もCPUと戦うのじゃ」


 ヨシコは携帯ゲーム機の囲碁ゲームをしていた、この辺は家族サービスに車で出かける家族そのものだったが、白露はすっかりゲームっ子になったヨシコを心配していた。


 「うーん、やはり対人じゃないとつまらんの、ここはいんたーねっとに繋がっておらんから勝負出来ないのじゃ」


 ヨシコは完全にインターネットを使いこなす現代っ子になっていた、子供は順応するのが早い

 そんな事をしながら目的地に


 「今日は遅いからここで一泊だね」


 着かない、車でも数日かかる距離らしい


 「さて食事を作るか」


 白露はキャンピングカーに取り付けてあるキッチンで料理に取り掛かる、はっきり言って異世界の旅では無い位に楽をしていた。


 「今日は何にするのじゃ、マールの飯も美味いがやはり白露のが一番なのじゃ」


 「ふふん、そうかい」


 白露はお世辞かなと思いながらも素直に喜ぶ、だがこの言葉は世辞でも何でもなく、正直な気持ちであった、白露の配下(ヨシコは正確には保護下)は白露の魔力がこもった料理がこの世の物とは思えないほどに美味に感じるのだ。

 そのおかげで少しでも白露の料理を食べられる可能性のある警護任務は、いつも殴り合いのケンカになるほどの取り合いなのだ。


 「今日はなんなのじゃ、なんなのじゃ!」


 ヨシコはワクワクが止まらないほどに白露の横で騒いでいた、ちなみにペスはキャンピングカー内なら犬の姿である。そしてペスも白露の下をうろちょろしていた。ゴブ郎は軽トラ組のスマホの鬼コールを無視しながら料理が出来るのを黙って待っていた。


 「今日はトマトクリームパスタだね」


 「ふぉー、パスタなのじゃ!」


 ヨシコは子供らしく興奮しながらペスと喜びを分かち合っていた、ゴブ郎はヨダレを流しながらゴクリと息を飲む。


 「ふんふんふん」


 こうして白露の異世界キャンプは、何もトラブルが無く一日が終わる。しかしその頃


 「ちっ、魔大陸の次は魔王討伐かよ、人を何だと思ってるんだ」


 「さぁ! ていのいい兵器じゃないですか勇者様」


 「はん、お前もだろうが賢者さん」


 「まあまあ、これも人助けですよ」


 「何が人助けだよ、魔族どもを奴隷にしたいがために戦争仕掛けただけのくせに、あの凡俗供は」


 「いえいえ、人類のために」


 「うるせえよ、司教だか何だか知らんが、お前みたいなクソ野郎が神の為にとか笑えるぜ」


 「ふふふ、まあ調子に乗る亜人に神の救いを与える私がですか?」


 「はっよく言うよ、神の救いって言って歪んだ性欲を満たすだけのくせに」


 「いえいえ、私は彼らを正常に浄化してあげるのですよ」


 「はぁ、勇者なんてやりたくねえな、こんなくそ供と一緒にいなきゃならねえんだからよ」


 「運命だよ圭介」


 「くそ、こんか世界に呼び寄せやがって」


 二人の異世界人、彼と彼女は欲深き人間に召喚され、戦わされていた。

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