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異世界へお引っ越し!  作者: にんにん
第二章 お向かいさんは……
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とある少女との出会い

 「これは酷いな」


 白露が見たのは、ありとあらゆる獣人、エルフなどの拷問を受けたと見られる死体の山


 「どうやらここは、この街の領主の趣味の部屋みたいだね」


 白露がすぐに趣味の部屋と判断したのは、死体が全て女性であった事、それとその部屋にあった拷問具が明らかに性的な用途に利用するものだった。


 「うーん、ここにいる人達を供養してあげないと」


 白露がそう言うとゴブ郎が


 「はい、人を寄越しますか?」


 「そうだね、そう言えば獣人やエルフの供養の仕方ってどうするんだろ?」


 そんな白露の疑問に


 「白露様の思い通りにして頂ければよろしいかと」


 「そうなのかい、ならそうしようか」


 白露は宗教の概念が無いだけと考えたが、ゴブ郎の考えは白露こそが神であり、神の行いこそ至高との考えから出た言葉である。


 「はぁ、人の行いのなんと愚かな事か」


 白露は人の蛮行に、人の残酷さ、人の愚かさ、人の残虐さに心の底から侮蔑の感情を抱き、そしてそれを正さねばと心に誓っていた。それは現在の白露からは決して考えない思いだった。


 「本当に」


 そう答えるゴブ郎は白露の前で平然としていたが、その心の内は怒りに震え、マグマのような感情を持ちその全てを人間にぶつける事を誓っていた。


 「おや、死体が動かなかったかなゴブ郎?」


 白露は少し死体が動いた事にビクつく、その前に白露を庇うようにゴブ郎が動く、そして動きがあった方を睨みながら


 「アンデット化でしょうか、ここの主は処理をキチンとしなかったようですね」


 「アンデット化?」


 白露、初めての言葉に疑問形


 「死体は放置していますと、死霊やゾンビなどのアンデット系モンスターになるのです」


 「ええー」


 基本的に白露はビビリである、そしてお化け屋敷では気を失っちゃう系の男であった。


 「あわわ、ゴブ郎やっちゃって、やっちゃってよ」


 「かしこまりました」


 ゴブ郎はドワーフに作らせた大剣を構える。


 「愚かなる者よ、死して白露様に逆らうとは」


 そう言うと大剣を振り下ろす


 ゴワン!


 と大気を切り裂く音が響く、その威力はちょっとしたミサイルほどであったが


 「許して下さい、許して下さい、なんでもします、許して下さい」


 死体が吹き飛んだ奥から小さなウサギの獣人がいた。


 「ちょっと、ちょっと待ってゴブ郎!」


 慌てて白露が止まると、ウサギの獣人の顔の前でピタっと大剣が止まる。


 「はい白露様」


 ゴブ郎はそのまま剣を収める。


 「大丈夫かい?」


 白露は小さなウサギの獣人に話しかけるが


 「ごめんなさい、ごめんなさい、ぶたないでください、なんでもします、なんでもします」


 ウサギの獣人は涙を流しながら許しを乞うてきた。


 「ああ」


 白露はウサギの獣人の様子を見て納得する、この子は何かあれば殴られ、何かあれば酷い目にあってきたんだと


 「貴様、白露様の言葉に答えぬのか!」


 ゴブ郎はウサギの獣人の態度に怒り、剣を抜こうとしたが


 「ゴブ郎、やめないか」


 白露のその言葉に


 「はっ、申し訳ございません」


 ゴブ郎は大人しく下がる。そして白露はウサギの獣人に再度話しかける。


 「大丈夫だよ、俺は君を殴ったり、叩いたりしないよ」


 そう優しく語りかける、その言葉にウサギの獣人は白露をじっと見つめ


 「あ、あなた様は私に酷い事をしませんか?」


 「ああもちろん」


 白露はスマイルでウサギの獣人に語りかけ、ウサギの獣人が奥から出てくる。


 「うっ!」


 白露はウサギの獣人の姿を確認して驚く、ウサギの獣人は少女のようで、全身が傷だらけで片耳が無くなっていた。かなり痩せ細っており、いつ死んでもおかしくないほどの状態に見えた。


 「はぅ!」


 白露の驚いた声にビクつくウサギの獣人の少女


 「あ、ああすまない、大丈夫だったかい?」


 「ああ、あ、あなた様は」


 白露は少女の質問に


 「君を助けに来たんだよ」


 もちろんそんなつもりは無かったが、彼女に安心してもらうためにそう嘘をつく


 「わ、私をですか」


 「そうだよ、お腹は空いてないかい?」


 そう言って白露は持っていた飴を手渡す、その飴を不思議そうに見ているので白露は


 「こう舐めるんだよ」


 そう言って食べて見せる


 「あ、あ」


 少女は白露の真似をして飴を舐める、すると


 「はぅ! あ、甘い〜!」


 少女に笑顔が戻る。そして白露は少女に


 「君はここにいても幸せになれない、俺と一緒に行こうか?」


 そう手を差し出す、しかし少女は


 「ママが、ここにママが」


 そう言う少女の近くにウサギの獣人の死体があった、それは酷い拷問の末に生き絶えたと思われるものだった。


 「そうかそれではお母さんと一緒に行こうか」


 白露は少女の母親の死体をゴブ郎に持つように指示する。


 「ママと一緒?」


 「ああ」


 「じゃあいく!」


 こうして少女と共に部屋を出る白露、正直嫌なものを見たが何とか少女を救えて良かったと思う、だけど少女の辛さはこれからも続く、その事が白露にもやっとしたものを残すのだった。

 そして少女をキャンピングカーに連れて行き、汚れを拭いて、温かいスープを与える。

 少女は嬉しそうに食べて、お腹が膨れたのか眠りにつく、白露は少女をベットに寝かせて


 「はぁ、気軽に探検したらえらい拾い物をしてしまったな」


 白露はこれからどうしたもんかと思いながら、少女をしっかりとした治療をさせる為に家へと帰路に着く


 「でも、行かなかったらあの子は確実に死んでいたよな、良かったは良かったんだよな」


 ぼんやりそんな事を考えながら、白露は亜人と言う人間とは違うもの達の境遇を考えていた、そしてそれを救うのがイーグレットの仕事とも


 「まずは教育かな、亜人の文化レベルは低すぎるよ、文字すら発展してないし」


 そこまで考えて白露は思いつく


 「そうか文字が無いなら日本語でいいんじゃないかな、学校も作らないと、ああでも亜人の子供が学校に来てくれるかな?」


 そうぶつくさ独り言を言っている横でゴブ郎がスマホで学校を作らせるように命令を降し、全ての亜人の子供に学校へ行くよう命じていた。白露の命令は絶対なのだ。

 こうして白露が家に着く頃には箱物は完成しており、後は授業の要領を決めるだけになっていたが、そこは露美とマールがほとんど決めていた。

 そして獣人の少女は


 「よく頑張りました、これからはここがあなたの家ですよ」


 「う、うわーん!」


 少女はマールに抱きしめられて泣いていた、少女は分かっていたのだ母親が既に死んでいたのを、少女は分かっていながらも白露について行く不安を、恐怖を母親の死体と共にいる事で防ぎたかったのだ。

 そしてそれはマールに抱かれる事で全ての不安が壊れ、残ったのはただ悲しみだけだった。


 「いい子です、あなたはとても」


 そうして少女はマールに預けられることになる、白露はその光景を見ながら


 「やっぱりこう言うのは女の人のが適任なんだな」


 そう思ったのだった。


 

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