閑話 隣の街の話
「闇の森の様子がおかしい?」
闇の森に最も近い街【ビルサレル】
その街の領主、ロストランド王国の貴族マルダ=レププス=ハロルド辺境伯
彼は闇の森異変の報を聞いていた。
「いつも現れるゴブリンが一匹も出てこないのか?」
「はい、それどころか闇の森の環境に負けた亜人種も」
「うむ、だが出てこなくなってまだ一月も経ってないのだろ?」
「はい、ですが氾濫の前兆の可能性も」
闇の森は人々から死の森とも呼ばれ、いつも薄暗く魔物のレベルも高い為に近づくもの皆無の場所だった。
そしてそこから生存競争に負けたゴブリンや亜人と呼ばれるエルフや獣人が人の領域に進入してくるのだ。
それを間引く物を冒険者と呼ばれギルドと呼ばれる組織が管理している。
「氾濫の前兆は言い過ぎでは、間違いでは済まされんぞ」
「はい、ですが氾濫が実際に起これば、その被害は」
「分かっておる、だが勇み足だった場合、私の立場は不味くなる」
「そうです、ですから冒険者に調査を、しかもかなり大々的にすべきでは?」
「そうだな、しかし闇の森を調査出来るものなら、奴らに頼まねばならぬか」
「はぁS級冒険者のあいつですね」
「そうだ、ギルドに使者を」
「かしこまりました」
マルダはこの街の最終兵器S級冒険者を使う事を決める。S級冒険者は貴族以上の権限を持っていることが多く、この街のS級冒険者もマルダの言う事を全く聞かないのでマルダはS級冒険者の事が嫌いだった。
「で俺に依頼か、珍しいね領主様直々とは」
「ふんお前が我儘を言い過ぎるから嫌われるだろ」
「知らねえよ、俺が好きに生きてるだけだろ」
「ふぅ、何度も言わせるなよ、好きにだけでは生きていけないんだぞ」
「それは弱い奴だけだろ、俺の剣にかかれば全てがひれ伏すのさ」
「その考えではいつか痛い目に合うぞ」
「あいたいもんだね、痛い目って奴に」
S級冒険者の一人、ロストランド王国最強の冒険者、名をバッジオ
剣の腕は達人級、その剣でS級魔物ロックゴーレムを一太刀で斬ったのは王国で英雄譚として人気である。
そんな彼のパーティーは奴隷ばかりで、その境遇は酷いものであった。
「おい、行くぞクズども」
こうしてバッジオは闇の森の調査へと向かう、それが彼の最後の仕事になると知らずに




