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異世界へお引っ越し!  作者: にんにん
第六章 もうすぐ夏休み
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初島天空の異世界旅行その四

 「なんだこの盛況ぶりは?」


 天空は魔王に支配された町のにぎわい振りに驚いていた。

 天空が見たのは活気溢れる街並みに、笑顔で商売する人々、そして自由に駆け回る子供達の姿。

 それは天空が見てきた異世界の街並みと隔絶した平和の姿だった。


 「これが魔王様の治世って奴かい、はは恐ろしい」


 天空は魔王の強大さに心から恐怖を感じていた。話に聞いていたのは魔王がこの地域を支配したのは数ヶ月前であり、目の前の街並みを実現するには信じられないほどの労力が必要であったからだ。そして警備を担当しているであろう魔物と呼ばれるゴブリンや亜人と街の住人との親密さである。


 「ねぇゴブリンさん、この果物美味しいよ」


 小さな子供が警備を担当するゴブリンに話しかけ、手に持っていた果物を手渡す


 「ありがとう、そろそろ日も落ちる家に帰るといい」


 ゴブリンはそれを笑顔で受け取り子供の頭を撫でながら家に帰るのが遅くならないように注意する。それは魔族、魔物と人類の間になんの障害もないように自然に付き合いが出来ていた。


 「こんな事があるのか? 魔物と人類の間に覆せないほどの因縁があるはずなのに、ここにはそれが無い、無いどころか支配者が見つからないのはなんでだ?」


 支配者、それは街の領主と呼べる者の存在である。天空からすれば領主の方針で恐怖で魔物を従わせればあの態度も納得できる。領主の方針で人間側が逆らえないようにすれば納得出来る。


 「噂を調べたが、どうやら選挙に近い事をしてるみたいだな、この街の代表は人数の多い人間が行なっている。それを魔物が受け入れて従ってるなんてあり得ない」


 天空は地球にいた頃も民族紛争などで起こるいざこざを沢山見てきた。同じ人間同士であそこまで血みどろの争いが出来るのに、異種族同士で何故ここまで?と驚きを禁じ得ない。

 その疑問を解消するためには


 「はぁ、ここだけじゃわかんねぇな、他の街も調べないとな」


 天空は人族との国境線の街だから見せるために作られた街の可能性もあるからともっと魔王城に近い街へと歩を進める。

 だが魔王城へ近づくほどに人々は笑顔で溢れ、そして栄えていた。


 「なるほど、魔王さんは恐ろしい奴のようだね、確かに今まで見てきた異世界の王様程度では勝てないだろうな」


 為政者としての格の違い、それは民の顔を見れば分かる。魔国の民は常に笑顔で溢れ、そして


 「スラムらしきものが見当たらない、だがもとスラムの人間と思える奴らは沢山いるな」


 それは孤児院であり、それは仕事を斡旋する施設であったり


 「いやー、公共事業だかなんだか分かんねえが、日雇いでも沢山仕事あるから食うに困んねえな」


 「ああ、しかも雑魚寝でもいいなら屋根付きの施設があるし、物乞いは許さねえってのが怖いがな」


 「だな、あはは」


 これが魔王の政策である、仕事は用意する、するのだから働かないものは許さないと

 一見すると強引な政策なのだが、不思議と不満に思うものが少なかった。

 それは労働者に過度の労働を押し付けない事と充分な報酬ゆえだろう


 「よく金がもつな、どっかの国でここまでの政策を強行したら予算なんてすぐにパンクするぞ」


 そう予算なんてどこから出るのか? 魔国の予算はどこから発生してるのか? それは


 「簡単ですよ、貨幣経済で動くのは人間だけってだけです」


 「!」


 天空はいきなり背後から話しかけられ、すぐに背後から表れた存在から距離を取る。


 「おや、せっかく教えて差し上げようと思いましたのに」


 「それはご親切にどうも、誰だいあんたは?」


 「私はアイム、魔王様の忠実なる……者です」


 「なんか間があったが、その忠実な者がなんの用だい?」


 天空は汗を流しながらアイムを見つめる、彼が見る目の前の存在は自分でも勝てるかどうか分からない強者である事はすぐに分かった。


 「いえね、魔王様の国に入り込んだネズミを駆除するのは私の仕事と思いましたね」


 「そうかい、なら」


 天空は武器を構える、アイムもそれを見て構えるが、天空はすぐさま目くらましの魔法を使いアイムの目の前から離脱する。


 「ふむ、逃げますか? しかし」


 アイムはすぐさま天空が逃げた先に向かうが


 「引っかかったか」


 逃げたのは天空が作り出した幻影で、天空自体はその場から動かずアイムの動きを見て逆方向へと逃げる。


 「マジかよ、あんな殺気を感じたのは千歳以来だな」


 天空は冷や汗をかきながら隠れ家に向かう、彼は既に隠れ家を準備していたりする。彼の凄さは用意周到さにあった。

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