金髪の諜報員
前回から時間がかなりあいてしまい忘れ去られてしまってないか心配です……
これから頑張っていこうと思います。
――スパイ――
これを題材としたドラマなどを知っているだろうか?そういった物の中では、銃を撃ち合ったりと華々しい活躍が描かれている。
しかし、よく考えると『あれ?スパイって目立っちゃまずくね?』と思うのが一般的だろう。その考えは決して間違ってはいない。現に俺の知り合いのスパイの方々は目立つ事を嫌い、一般市民となんら変わりのない生活をしている。そのためにスパイ同士が結婚して気まずくなった例も知っている。
だからこそ、雪本海斗は【D】クラスの一員である。
東京のとある路地裏で俺と雪本は実習をこなしていた。
「ツッキー早く!」
「バカ野郎!なんでこっちに逃げてくんだよ!あっち行け!」
「いや~おかしいな完璧に侵入できたと思ったんだけど」
「基本日本人しかいない部屋に金髪が紛れてれば普通気が付くだろ!」
「あッなるほどね~ツッキー頭いいね~」
「なんなの、お前バカなの?その頭空っぽなの⁉」
俺は、制服のポケットからお手製の煙玉を後ろから迫ってくる黒服のオジサン達に向かって投げながら隣を走っている金髪に叫んだ。
「ワオ、煙玉なんて古風なの使うね~」
「関心してる暇あったら、逃走経路教えろよ!」
なんで、俺はこんな目に遭ってるんだ⁉
薄暗い路地を雪本のナビのもと全力で走る俺は二日前の出来事を思い出した。
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「【D】班!あんたたち勉強する気あるの!」
「いや~気はあるんすけど身体が動かなくて……」
「それよりワカちゃん今日も可愛いね~」
「ZzzZzz」
「先生、怒るのはお身体によろしくはありませんよ?もう良いお年なんですから」
「ヒッ、ご、ゴメンなさい姫那頑張るから怒らないで……」
「あー先生、ヒメちゃん泣かした~いーけないんだー、いーけないんだ先生に言っちゃお~って先生ジャン!」
順に、若月先生、俺、雪本、花咲、香坂、七尾、八実。あれだね、何人か喧嘩売ってるけどバカなの?
「あんたたちね~この間のテストで合計が二百点行ったのが1人もいないって過去最低なんだけど?」
「だって先生、英語とかいらなくないですか?」
俺も、勉強はする気はあったんですよ?
国語(総合)20点
英語(総合)3点
社会(地理)70点
数学 32点
理科(総合)50点
合計175点
まあ、あれだね普通科だったら英語だけで二つとかあるんでしょ?良かったわ~専門科で。
「ワカちゃん、今の時代ネットってのがあるんだよ?」
雪本……それはそうだけど、だからってテスト中に音楽を聴くのはどうかと思うぞ?
国語70点
英語94点
社会23点
数学5点
理科4点
合計196点
流石元スパイとしか言いようのない語学の点数である。理科の4点が気になるけども……
「銃を撃つのに言葉はいらない」
花咲、いつ起きたんだよ!
国語0点
英語0点
社会0点
数学100点
理科98点
合計198点
まさか二教科で負けるなんて思ってませんでしたよ!つうか、元だろスナイパーは!
「あら、テストの点だけで人を見るのは些か考えが古くありませんか?」
香坂さん、先生の額に青筋が見えるから煽らないで!
国語80点
英語70点
社会40点
数学15点
理科2点
合計197点
そういやコイツ、テスト中に編み物してたけど教師よなぜ止めなかった……
「ひ、姫那頑張ってるもん」
七尾、先生を困らせないで!ペンが折れた音したんだけど⁉
国語89点
英語9点
社会1点
数学0点
理科100点
合計199点
うん、涙目で言うのはやめようか。俺らがいじめてるみたいになってるよ。
「ウチは、名前書き忘れただけじゃん!」
八実……名前の書き忘れとか小学生でもしないぞ?というか確認する時間あったよね?
国語70点
英語96点
社会88点
数学77点
理科90点
合計421点
ただし記名なしのため0点。なるほど、421点か……
「「「「「えっ!!」」」」」
俺らは一斉に八実の方を向いた。え、なんなのコイツってバカ枠じゃないの?普通に点数高いんですけど?いや、記名なしで0点とかやっぱり残念だわ。
というか、200点いってないっていっても俺以外はあと数点じゃないですかーまさか、一番のバカは俺……?
「アイラさん、いつの間にそんなに頭よくなったんですか?あなたは頭も残念な子じゃなかったでしたっけ?」
「瑠璃ちゃん酷ーい!今までは日本語が読めなかっただけだもーん」
「いや、読めなかったってアイちゃん、日本に来たの小学生の時だよね?」
うん?小学生ってことは十年くらいは前だよな?今まで読めなかったってまさか……
「そだよー、だから今までは大変だったな~」
「「「「「やっぱり残念だったか……」」」」」
「ちょっとーそれって酷くない!?」
「まあ、八実さんは置いておいて。みなさんこれじゃあ、実習で碌なとこにいけないですよ?」
「え?先生どういうことですか?」
「あれ?月見君には言ってませんでしたっけ?実習先にはこのテストの成績とみなさんの個人技能の二つの書類が行くんですよ。だから、あまりにも点数が低いと受け入れてくれるところが……」
「なんで、言いよどむですか?ねえ僕の目を見てくださいよ!」
そういったこともあり俺たちの元に残された実習先は以下のような募集要項であった。
『学歴、経験は問いません。足の速い方、姿を眩ませるのが得意な方急募。息を潜めるだけの簡単な仕事です。募集人数二名』
「「「「「「怪しすぎるだろ‼」」」」」」
こんな怪しい実習でも行かないと退学だそうな……この後、誰が生贄になるかを決める話し合いが行われたのは説明するまでもない。
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「クソ~なんで俺がこんなことやらなきゃいけねえんだよ!」
「いや~それはツッキーがテストの点一番低かったからじゃね?」
「うるせぇ~人には得意不得意があるんだよ!」
俺たちは、黒服を巻いて廃ビルの一角で今後の方針について話し合いを始めた。
「やっぱり、潜入は俺がやるよ」
「ゴメンなツッキー俺がポンコツで……」
雪本は元スパイとして潜入がうまくいかなかったことを悔やんでいるようだった。まあそもそも、黒髪が多いところに金髪を紛れ込ませようとした俺に問題があったと言えなくもないんだけどね。
「気にすんなよ、人間ミスの一つ二つ当り前だって。今回の潜入に関しては俺の方が向いてたってことだよ」
「ツッキー……」
まったく、目を潤ませて上目使いなんてするなよ……惚れちまう…わけねぇだろ!
「バカやってる暇あったら情報集めろよ!」
「いや~ついね~っとよし、メールで送ったから見といてよ」
「⁉早いな、流石というかなんというか」
スマホの画面には、金の流れと関係者の名簿など真っ黒黒助な情報が表示されていた。すげえな、こういうのって普通パソコンとかでやるもんだろ?あいつ、スマホしか使ってなかったぞ?
俺は、雪本の情報収集能力に驚愕させられた。それに比べて俺のできることといったらなんて地味なことか……
「うし、そんじゃあさっさと終わらして帰ろうぜ!」
「了解!俺っち頑張っちゃうよ!」
拳を軽くぶつけ合い二手に分かれた。いや~こういうのやってみたかったんだよね。いつもは、葵とのコンビだったから基本俺がパシられるだけだったしな……あれ?雨かな視界がぼやけてるよ。
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「はい、みなさんこんばんわ。本日も一人の迷える子羊が救いを求めてやってきました。仲良くしてあげてくださいね」
俺の隣に立って、大勢の視線を独占している白いローブを羽織った上裸の変態が俺を指してそういった。
すみません、開始数分で逃げたくなったんですけど……
「初めまして、花見有です。よろしくお願いします」
『うわ~ツッキー平然と偽名使ってるよ……』
耳の無線機からは呆れたような雪本の声が聞こえてきた。いや、普通は偽名の十や二十持ってるだろ?しかもこんな怪しいとこで本名出すなんてバカ以外なんでもねーだろ。
一応メガネもかけて変装してるから顔を覚えられることもないだろうし。多分……
「それでは、花見さん他の子羊たちとの会話を楽しんでくださいね?」
「はいわかりました」
そう言い残し、変態は黒服を数人残して去って行った。もう二度と俺の前に現れないでくださいお願いします。
「花見さん初めまして。私、幹部の加藤と申します。困ったことがあったら私に聞いてくださいね?」
「ああ、これはご丁寧にありがとうございます。ところで加藤さんはどうやって幹部になられたんですか?」
『ツッキー⁉いきなり本題に入っちゃうんの⁉』
「(うるせえーこんな頭のおかしいとこに長居なんてしてられねーよ。なんで壁が全部ショッキングピンクなんだよ!風俗かここは!いや、行ったことなんてないよ?ホントだよ?)」
俺は、潜入捜査のバイトで覚えたモールス信号で雪本に伝えた。よく考えたら、潜入捜査って素人にやらせることじゃなくね?
「ああ、やっぱり気になりますか。なに簡単なことですよ、教祖様が神のお告げを我々に教えて下さったことを多く達成できればそれに応じて、このローブを授かれて幹部という役職までもらえるんですよ」
そういって、加藤さんが見せてくれたのはいかにも安いコスプレ衣装のようなものだった。
あれ?これってドンキに売ってる奴じゃない?
「そうなんですか~ちなみにこのローブってタダで貰えるんですか?」
「バカなことを言ってはいけませんよ!これは、神が力を注いだ布から作られているものなのできちんと御供え物をするのは当たり前の事です」
『あ~これって間違いなく詐欺集団だね~』
なんなの、実習って詐欺グループの摘発もしなくちゃいけないんですかね?しかも、報酬は単位ってんだろ?絶対に割に合わないと思うんだけどそこん所は考えてもらえんですかね……
「なるほど、それでしたらそれ相応のお供えが必要なのも理解できます。申し訳ありませんでした」
「ああ、わかってくれればいいんですよ。まあ花見さんも頑張ってくださいね」
「はい、ためになるお話ありがとうございました」
頭を下げてお礼を言うと、加藤さんは俺の元から去って行った。
『ツッキーなんか慣れてるね~まるでスパイみたいだよ』
「(いや、お前が言うなよ……これくらいの事が当たり前にできなければ月見町では生きていけないんだぞ?おかしいな、平和ってなんだろう)」
『……苦労してるんだね~』
うるせぇ~、ふざけてないで仕事を始めるぞ。正直、精神衛生の関係でさっさと終わらせたいから変態の部屋に忍び込むわ。だから、マップデータよこせ。
『マジで⁉いきなりすぎません?普通情報集めで一日くらい使わない?』
「(そんな悠長なこと言ってるからダメなんだよ!こういうのはさっさとやって姿を眩ませるのが一番なんだって!近所の御爺さんが教えてくれたんだよ!)」
『その御爺さん絶対に普通の人じゃないと思うんだけど……』
そういえばあの爺さん、女風呂覗いたのが婆さんにバレて山に籠ってるから助けてくれって連絡来たけど大丈夫かね?
『まあいっか、それじゃあメールで送ったからそっちは頑張って~俺もこっちでやっとくからさ』
「(おう!ってちょっと待て!お前は頑張るなよ⁉頼むから寝ててくれ!)」
『…………』
「あの野郎、切りやがった!」
俺は、メールを受信して震えているスマホを握り絞めながら叫んだ。
いや、みなさんなんでもないからこっちを見るのはやめて!月見君恥ずかしい!
「さ~て、重要書類はあ~るかな~」
メールに添付されていた、地図をもとに変態の部屋に忍び込んだ俺は詐欺の決定的な証拠をつかむために机の中を漁っていた。
どーでもいいんだけど、なんでこの部屋も壁紙ピンクなんだよ!あの野郎間違えなく頭がおかしい!やっぱり、見た目通りだったか……
不思議だ、高校生になってから変人にしかあってない気がするぞ?やっぱり、呪われてるとしか思えない。あれかな、墓場でリアルサバイバルゲームしたせいかな?けどあれって、俺が悪いわけじゃなかった気がするんだけどな~
「オイ!そこで何してる!」
「げっ!」
あまりに集中していたせいで、変態が部屋に入ってきたことに気が付くことが出来なかったようだ。いつもだったら、すぐに逃げるんだけど今回はそうもいってられないんだよな~
仕方ない、ちったー本気を出すか!
俺は、メガネをはずして変装を解くと腰から縄を取り出して変態に向き合った。
「よう、変態。手前に恨みは少ししかねえけど大人しく捕まってくれ」
「誰が変態だ!ってその面思い出したぞ!貴様だったか無月健!」
「え?誰だよそれ……あ~昔使った偽名か~ってことはいつぞやの悪人かお前!」
いや~懐かしい名前で呼ばれたから一瞬なんのことかわからなかったよ。やっぱあれだね、偽名もいくつかに絞った方がいいな、いつもその場で適当に決めてるから電話とかかかって来てもなんのことかわかんねえの結構あるからな~
「偽名かよ!通りで、貴様の情報が手に入らないと思ったぞ!ここであったが百年目今度こそ私の彼氏にしてやる!」
「……はい?」
聞き間違えかな?俺の人生史上類を見ないくらい気持ち悪い事を言われた気がするんだけど。気のせいだよね!気のせいだと言えよ頼むから!
「貴様に、ブチ込まれてから私はずっと思っていたんだぞ。これはもう恋と言っても過言ではないだろ?」
「過言だよ!しかも所々端折るなよ!ぶち込んだのは豚箱だろ⁉思ってたのは復讐じゃねえのかよ!」
これは不味いな、こうなったら息の根でも止めるしかないか……
「そんなことはどうでもいい!いま私がしたいのはその縄で貴様を拘束して……き、貴様いつの間に……」
「マジ勘弁……今度は二度と出てこれないように罪状の嵩増しが必要だな」
こんな時のためにと七尾から貰った、今変態の首筋に打ち込んだゾウでも眠る麻酔薬の注射器を床に投げ捨てた。分量とかわからないから全部ぶち込んだけど、問題ないよね?
「さて、続きでもやるか……」
床に倒れこんでいる変態を、抜け出せないように拘束してから書類探しを再開した。あれだな、マジで不正書類を見つけないと俺の身の危険にかかわる!
「あった……これで野郎を豚箱にぶち込める!」
再開してから一時間もたたない間に、犯罪の証明となる書類を見つけ出すことができた。こんなに集中したのはいつ以来だろう……探す過程で何度逃げたくなったことか。なんで、全裸のブルマイドなんて作ってんだよ!思わず殺しちまうとこだったぞ!
というか、あいつ一切動いてないんだけどまだ生きてるよね……?
「さて、雪本に連絡して撤収だな」
俺は、無線機に手を伸ばしながら呟いた。そう言えば、あいつから連絡が一切ないんだけど大丈夫だよね?
「雪本ー終わったから撤収しようぜ」
『ツッキー⁉ゴメン!今ヤバいから無理!』
「は?何したんだよお前……」
『いや~今銃で狙われてるところかな~ってあぶね!』
「なんでそんなことになってんだよ!」
どう頑張ったら、銃撃戦になるんですかね⁉ここは、ただでさえ平和?な日本だぞ!……いや、銃撃戦くらいは日常茶飯事だった気が……
『たぶん相手は、他国のスパイだと思うんだよね~ほら俺っちって元スパイじゃん?』
「マジかよ⁉大丈夫か?お前武器なんて持ってないだろ?」
『あ~ほら、俺って目立ちたがり屋じゃん?だから武器とかって扱わして貰えなかったんだよね~だからあっても豚に真珠?馬の耳に念仏?そんな感じだよ』
「ホントに残念だなお前は!」
『ヤベッ見つかった!ツッキーは依頼主のとこ先に行ってて!』
そういって、通信が切れた。先に依頼主のとこに行けか……確かに俺は元スパイでもないし、国家機密も知らないから関係はないしな。
「だからと言って、同じ班員を助けない理由にはならないんだけどな」
書類を鞄に詰め込んで、俺は変態の巣から駆け出した。え?変態?まだ動いてなかったけどおそらく息はしてるから大丈夫だと思うよ?うん、きっと!
…………一応、救急車呼んどくかな。
「さってと、飛び出したはいいけど何処にいるんだよ」
俺は、手近なビルの屋上から雪本を探した。大体なんでこんなに背の高い建物があるんだよ、これじゃ畑も作れねぇじゃねえか!絶対都会では暮らせないな、まあ頼まれても暮らすつもりはないけどな!そうやって都会をディスっていると下の方から叫び声と銃撃音のようなものが聞こえてきた。
『うわーあぶな!』
「うん?あれか……」
雪本を追い駆けているのが三人、それを遠巻きに見ているのが五人、一般人に偽装してるのが二人の計十人を目視で確認した。以外に人数が多くてびっくりだよ……
どーすっかなーエレベータで降りるのは時間かかるから、移動に追いつけなくなりそうだ。仕方ないこうなったらあれしかないか。
「このビルより低いビルはっと、隣のやつか」
俺は、今いるビルよりも低い隣のビルに向かって走り出した。
「アイキャンフラ~イ!!!!」
トンッという音と共に俺は十メートルほどの距離を飛び越えた。あれだね、葵から逃げるために覚えたパルクーレが役に立ったよ。
「流石月見君!華麗な着地だな!この調子で地上まで行くかね」
雪本が逃げているであろう方向に向かって徐々に低い階層のビルに飛び移っていく姿は、さながら忍者に見える事だろう。最近身に着けてる技能が家事からほど遠くなってる気がするんだけど……まいっか!たぶんジョブチェンジできるだろ!
「さ~てと、何とか地上についたけど素直にエレベータ使った方が早かったんじゃねえかこれ?」
まあ、ターゲットは見失ってないからよしとするか。手持ちの武器は、麻酔が少しと結束バンド一パック、煙玉数個、それとポケットナイフ……あれ?これだけ?これでどうやって銃に対抗すればいいんだよ!
「まさかの難易度ナイトメアか……はあ、マジ勘弁だなこれは」
項垂れてても仕方がないか……お客さんもこっちを見てるようだしな。
「隠れてないで出てこいよ、いい加減追い駆けるのも飽きたんだからさこっちは」
俺の感覚じゃ三人だからな、煙玉で撹乱して麻酔でおしまいだろ?その後は武器を奪って残りを各個撃破だな!なにこれ完璧じゃね?
頭の中で作戦を考えていると、物陰から人影がいくつも現れた。
「ほう、なかなか度胸のある少年だね」
「……ちょっと待って!」
あれれ~おっかしいな~六人もいるんですけど⁉こいつらのターゲットは雪本だろ!なんで俺のとこにこんなにいるんだよ、あっち行けよ!
「怖気づいたか少年?しかし、我々を見てしまったからにはタダで返すわけにはいかないのだ。まあ命までは取らん、五感のいくつかを使えなくするだけで勘弁してやろう」
「ざけんな!妥協が見られねぇんだよ!」
なんなの、アホなの?五感って人間にとってかなりの重要性があるもんだと思うんですけど⁉うわ~なんか刃物を出してる人までいるんですけど……それって何に使うんですか?やっぱり僕の輝くお眼々かなキャハ?って笑えねえよ!
「この人数を前にして、そんな口が利けるとは驚きだな。こんなところで会わなければもっと違った関係になれたかも知れないのに残念だよ」
「俺の仲間襲ってる時点でお前らは敵だよ、だから出会いの場なんて関係ないね悪いけどさ」
「そうか、ならば運が悪かったと思って諦めるんだな。掛かれ!」
リーダー格の男の声で五人の男女が四方から切りかかってきた。五感とかじゃなくて明らかに殺しに来てるんですけど……これだから、信用ならないんだよ他人ってのは。
ドサッ
「……さあ、死体を片付けたら残りも片付けるぞ」
「死体が出たら片付けてくれるんだ?じゃああの五人片付けてくれる?」
「貴様!どうやって⁉」
あれだよね?カッコつけて倒れたかどうか見ずに背中向ける奴いるけどバカだよね、こうやって抜け出してナイフ突きつける奴もいるかもしれないのにさ。
「見てなかった?仕方ないから教えてあげるよ。オッサン……『変わり身の術』って知ってる?」
俺は、後ろで五人の男女がさっきまで着ていた俺の上着にナイフを刺して倒れているのを指さしながらリーダー格の男に笑いかけた。あれだよ?あの五人も麻酔で眠ってるだけだよ?いや~まさか嗅がせただけで落ちるほど強力だったとは思いもよらなかったよ……あの変態もしかしたら死ん……いやなんでもない!
「ふざけるな!変わり身なんて使える高校生がいてたまるか!」
「おいおい、それは偏見じゃね?世の中広いんだからさどんな奴がいてもおかしくないだろ?」
ナイフをポケットにしまいながらそう言うと、男は飛びのいてこちらを見ながら叫んだ。全くなんでナイフどかしたと思ってるのかね~
「貴様は、ここで潰しと必要があるようだな覚悟しろ!」
「ふ~ん、まあいいけどさ一応名乗ってあげようか?」
拳銃をこちらに向けた男に対して、俺は両手を横に広げながら名乗る準備をした。師匠、やっぱり名乗ってから叩きのめす方針変えません?これでやられたら恰好がつかないっすよ……
「死ねぇー!」
「芥川流忍術、裏十段月見有だ。別に覚えないでもいいからさ」
あ~あ恥ずかしい!さっさと免許皆伝にしてもらって名乗り無くそうマジで。大体拳銃くらいで今更ビビるかってんだよ、狙いさえわかればどっかの空手少女みたいにかわすこともできる、らしいけど。え、俺?できるわけないじゃないですか!俺にできるのはせいぜい……
「ほれっ」
「なっ!ば、バカな……」
ドサッ
「バカな、なんて言って倒れる奴初めて見たぞ……」
……銃口狙ってナイフ投げて暴発させるくらいなもんだからな~
「いやツッキーまさかとは思ったけどすごいね~」
「お前もよく生きてたじゃん雪本」
男の後頭部を鉄パイプで殴った恰好のまま雪本に褒められた。今の一瞬はコイツがいて良かったと思ったよ。
「うん?そろそろ残りが来るからさ今度は一緒にやろうか?」
「はい?」
「「「「見つけたぞ!!」」」」
残りの皆さんが登場しました。あれ⁉どういうこと?これで終わりじゃねえのかよ!完全に終わった感があったじゃん!
「じゃあ俺っちは、ユッキーの取りこぼしやるからよろしく!」
「は?ふざけんなよ!つうかユッキーってなんだよ?」
「ツッキーとユウを足して二で割った感じかな?それから、俺の事はこれから海斗で!」
「……そうかい、じゃあ海斗、ふざけんな!!なんで増やすんだよ!コイツらはお前の分担だろ流れ的にさ!」
「あれ?言わなかったけ?俺っちは戦闘力皆無だぜ!」
輝くような笑顔で、雪、海斗はそう言った。まったくこいつは本当に……
「残念だなオイ!」
これだから、雪本海斗は【D】クラスの一員である。
「はぁ、マジ勘弁……」
ここまで読んでいただきありがとうございます




