第6話 白日の下の告白
「なるほど……。南の都市ミーナミの異臭事件と、今回のギルド全滅事件。確かに、手口の悪質さと臭気レベルには、関連性があるかもしれないな」
鎧豚の隊長が、ふむ、と深く顎を引いた。
よし、確かに関連性があるかもと信じてくれた。これでミーナミに行くことになる。あとは現地で犯人の罪を擦り付ければ完全勝利だ。
……と、勝ち誇ったオレの前に、浪人生メガネが立ち塞がった。
「ですが隊長。現場に生きていたこの男……ええと、名前は何て言うんだ?」
「あ? オレか? オレは――大 便だ」
名乗った瞬間、ギルドの空気が一瞬だけ凍りついた気がした。
いや、大の、便だぞ? 良い便り、吉報という意味の、めちゃくちゃ縁起のいい素晴らしい名前だ。断じてさっきケツからひねり出した聖剣のことではない。
しかし、浪人生メガネは怪訝な顔でオレを凝視してくる。
「大便……。現場にいたこの男が犯人の可能性も、まだ無くはありません。同行しろ」
「む、確かにそうだな。よし大便、貴様もミーナミへ同行しろ!」
浪人生より浪人生みたいな男と、鎧豚さんが言う。マジかよ、名前のせいで疑いが深まった気がする。
まぁいい、ミーナミとやらに行けば、オレ以外の「本物の異臭犯」に罪を全部なすりつけてトンズラできるチャンスはいくらでもある。
「分かったよ。で、そのミーナミって街は、ここからどれくらい離れてるんだ?」
オレが何気なく尋ねると、鎧豚の隊長がドヤ顔で胸を張った。
「ここからちょうど、42.195キロ先だ!」
――いやいやフルマラソンかーい!
オリンピックか! 誰がここから42キロもウンコ握り締めたまま走るんだよ! 途中で給水ポイントでもあるのか!?
まさかの過酷なロードムービーの開幕に、オレの心の中のツッコミが完全に限界を突破していた。




