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第53話 七彩

「バウンスにも爆弾ネックレスついているんですから、そんなに落ち込まないでください」


ボイスが泣き崩れるアーマーの肩に、慰めるように手を置いた。


「俺は死ぬのは怖くない。痛いのが嫌いなだけだ」


バウンスが静かに、感情の読めない声で言う。


「カッコいい〜!」


ロジナスが目を輝かせながら手を叩いた。


「カッコいい事を言ってる風で、痛いの嫌いとか言うの、カッコ悪いだろ」


ホワイトが冷静にツッコむ。


「いつまでも粗末なドングリを出しているオマエの方が、カッコ悪いけどな」


バウンスの静かな一言が、容赦なくホワイトを射抜いた。


「ワザとパンツ履かないで出しているんじゃないか?」


オレが疑いの目を向ける。


「履き忘れていただけだ!」


ホワイトが顔を真っ赤にしながら、慌ててビキニパンツを履き直した。

そんなやり取りの傍らで、レンズが黒パーカーへと視線を移す。


「また黒パーカーさんが泣きますから、ちゃんと戦いましょう」


「泣いてないわ!」


黒パーカーが涙目のまま即座に否定した。


「外してくれよ……!」


アーマーが未だ涙目のまま、首元のネックレスを両手で押さえて懇願する。


「アーマーさんの爆弾ネックレスは、起爆しないように解除スイッチ押しましたから」


レンズがあっさりと告げた。


「本当か……? 本当なのか……?」


アーマーは疑わしそうにレンズを見つめたまま、なかなか信用しきれない様子だった。


「まぁ、レンズを信用できない気持ち分かるけど」


オレも思わず同情の言葉をかけてしまう。


パンツを履き終えたホワイトが、改めて黒パーカーを睨みつけた。


「何でこんな影薄い泣き虫にビビッてるんだ?」


「黒パーカーさんは影薄くて、泣き虫で、バカでアホで、水虫だけど……」


バウンスが淡々と列挙していき、ふと声を落とした。


「……強いから」


「オマエはいらんことばかり言うな! 強いところだけ小声!」


黒パーカーが顔を真っ赤にして怒鳴った。


「スンマセン」


バウンスがぺこりと謝る。


「強いバウンスくんより強い黒パーカーさんも、皆で袋叩きにすれば勝てるでしょう!」


レンズが涼しい顔で物騒な提案をする。


「貴様はガーディアンズとして恥ずかしくないのか!」


ホワイトが咎めるように声を荒らげた。


「そうですよ! 100人いたヒガーシのガーディアンズを全滅させた絶対虚無機構(アブソリュート・ゼロ)相手とは言え、騎士道に反します!」


ボイスも珍しく強い口調で同調する。


「絶対虚無機構(アブソリュート・ゼロ)相手? オレたちは絶対虚無機構(アブソリュート・ゼロ)じゃないぞ?」


黒パーカーが心底不思議そうに首を傾げた。


「「「ええーっ!?」」」


全員の声が、示し合わせたかのようにマスオさんばりに裏返った。


「紫パーカーが、ヒガーシのガーディアンズ全滅させたって……」


ボイスが困惑の表情を浮かべる。


「ヒガーシのガーディアン、紫パーカーが5人倒して全員倒したと言ってたが」


黒パーカーが淡々と説明した。


「ヒガーシのガーディアンズが5人だけなわけないだろう! 何処の過疎地の警備隊だ!」


ホワイトが即座にツッコむ。


「絶対虚無機構(アブソリュート・ゼロ)だと言ってたな。と紫パーカーが聞いてきたのは何故だ?」


オレは記憶を辿りながら、ふとバウンスに問いかけた。


「絶対虚無機構(アブソリュート・ゼロ)を知ってるヤツは排除しろ、という雇い主からの命令があった。それでだ」


バウンスが淡々と答える。


「じゃあ、オマエら誰なんだ!」


爆弾ネックレスが爆発しないと知って、すっかり情緒を取り戻したアーマーが勢いよく問い詰めた。


「オレたちは『七彩聖衣(レインボーパーカー)』だ!」


黒パーカーとバウンスの声が、珍しく綺麗に重なった。


「七彩聖衣と言う名前なのに、六人しかいないぞ。もう一人、黒パーカーみたいに潜んでいるのか?」


オレが素朴な疑問を投げる。


「六人で全員だ! あと、オレは潜んでないわ!」


黒パーカーが即座に否定した。


「それなら、六彩聖衣じゃ……」


オレが冷静にツッコむ。


「この人達も、ヒガーシのガーディアンズ5人倒してるから……敵っちゃ敵ですけど……」


ボイスが複雑な表情で呟いた。


「残り95人倒したのが、絶対虚無機構(アブソリュート・ゼロ)?」


ロジナスが指折り数えながら言う。


「ロジナスさん、単純計算すぎませんか」


レンズが冷静に指摘した。


「じゃあ、黒パーカーを倒しても全て解決ではないじゃないかッ!」


ホワイトが頭を抱える。


「絶対虚無機構(アブソリュート・ゼロ)は、どこにいるんだ?」


アーマーが真剣な表情で問いかけた。


「オレを倒したら教えてやる」


黒パーカーが不敵に笑いながら言い放つ。


「なんか急に異世界ファンタジーっぽいセリフ出てきた!」


オレは思わずそうツッコまずにはいられなかった。


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