第50話 閃光
「つうか、白パーカー起き上がって来なくね?」
ロジナスが呟く。
「私のドロップキック一発で終わったようだな」
ホワイトが誇らしげに言う。
「不意討ちで倒してカッコつけるな、カッコ悪い」
アーマーが冷たく指摘した。
「カッコ悪い倒し方したカッコ悪い見た目の焼豚に言われたくないわ!」
ホワイトが即座に言い返す。
「卑怯者やるか?」
アーマーが目を細める。
「焼豚が、調理してくれる!」
ホワイトがファイティングポーズを取った。
「辞めてください! 仲間うちで揉めてる場合ではないです!」
ボイスが慌てて割って入る。
「あれで白パーカーを倒したのか?」
オレが冷静に指摘する。
「やられたフリをして、隙をうかがってるかも知れない」
「アレで倒せるなら、最弱な敵でしょう?」
レンズも同意する。
「ロジナスみたいに、防御力が低いけど強いパターンかも知れないだろ!」
ホワイトが反論した瞬間、ロジナスの肘鉄がホワイトの脇腹に突き刺さった。
「敵に分かるように、こっちの弱点を喋んなバカ!」
「グハッ……! 殺す気か!」
ホワイトが吐血しながら怒鳴る。
「オマエら盛り上がってるとこ悪いが……白パーカーは、やられていないぞ」
黒パーカーが静かに告げた。
白パーカーが倒れていたはずの場所には、すでにその姿がなかった。
気づけば白パーカーは、ホワイトの間合いにまで踏み込んでいた。仕返しとばかりに、先ほどロジナスの肘鉄を受けたばかりの脇腹目掛けて、ドロップキックを叩き込む。
「そこに打つかッ!」
ホワイトが再び吐血し、地面をスライディングするように倒れ込んだ。
「これでやられる程、ヤワじゃないだろう?」
白パーカーがホワイトを煽る。
「いや、ロジナスの打撃を受けた箇所に追い打ちをしたから、起き上がれんかもな」
オレが冷静に分析すると、ロジナスが目を丸くした。
「えっ? ホワイト負けたら、ロジナスのせい!?」
「ロジナスのせいで、あったとしても……ロジナスのせいじゃない」
「よくわからないけど、わかった!」
ロジナスが妙な理屈に納得する。
「それは地雷系女のせいだろ!」
黒パーカーが冷静にツッコんだ。
ホワイトがゆらりと起き上がる。
「これで貸し借り無しだ!」
「何で、さっき悪かったから攻撃受けてやったみたいな言い方ができるんですか」
レンズが呆れたように言う。
「御託はイイから、かかってこい!」
白パーカーが挑発する。
「言われなくとも!」
ホワイトが左ジャブの連打を白パーカーに浴びせた。白パーカーは両手をボクシングのガードのように構えるが、そのガード越しに左ジャブの連打が容赦なく襲いかかる。
「クッ……!」
白パーカーが呻きを漏らしながら打撃を受け続ける。
「これで終わりだ!」
ホワイトがガードの隙間を縫うように、右ストレートを白パーカーの鼻へと打ち込んだ。白パーカーの体が宙を舞い、地面に叩きつけられる。
「相手が悪かったな」
ホワイトが捨て台詞を吐く。
「ビキニハゲは、ただの雑魚ではなかったようだな」
黒パーカーが淡々と評した。
「誰がビキニハゲだ!」
ホワイトが即座に反論する。
「あはは!ビキニハゲってネーミング!! アハハハ!良いじゃんか!!」
ロジナスが笑う。
「ロジナスも褒めるな!」
倒れていた白パーカーが、スッと立ち上がり、再びファイティングポーズを取った。
「あの連撃で立ち上がるとは……無意識に手加減をしていたのかな?」
ホワイトが呟く。
「小物みたいな言い訳するな。恥ずかしくないのか!」
アーマーがすかさずツッコんだ。
「誰が小物だ!」
ホワイトが叫んだ、その瞬間だった。
白パーカーは折れていた左人差し指を無理やり押し込むようにして拳を作ると、左ジャブの連撃を放った。
「折れた指で無理やり拳を作るとか、エグいことしよって!そして、また私の真似か!」
ホワイトがファイティングポーズを取り、ジャブをガードする。
「白パーカーの攻撃さ、ホワイトが打った左ジャブより速くて手数多くね?」
ロジナスが指摘する。
「ヤツらはホワイトさんより強いと報告がありますから、不思議ではないでしょう?」
ボイスが冷静に補足した。
「私より速くて重いジャブ。コイツ、やるな!」
ホワイトがそう言った瞬間、右ストレートが鼻にクリーンヒットし、ホワイトの体は後方へ吹き飛ばされた。
「まあ、単純にホワイトさんより強い人が、ホワイトさんの打撃を真似て返してるのでしょう」
ボイスが冷静に分析する。
ホワイトは顔を鮮血に染めながらも立ち上がった。
「やるな! しかし、これで終わりだ!」
右肩を突き出し、突進しながら叫ぶ。
「『白夜閃光!!』」
白パーカーの体目掛けてショルダータックルを放つと、白パーカーは宙を舞い、地面に叩きつけられた。
「「「ダッサ!!」」」
ガーディアンズ全員の声が、見事に重なった。
「ボイス、ホワイトはあんな技を持っていたか?」
オレが尋ねると、ボイスが首を横に振った。
「ホワイト隊長とは付き合い長いですが、初めて見ました!」
「敵が使ってた技を見て、カッコいいと思ってソレっぽい名前つけて、ショルダータックルしただけのようにしか見えないんだけど…」
ロジナスが冷たい視線を送った。




