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第47話 油断


「黄パーカーまで……」


赤パーカーが忌々しげに呟く。


「コイツら、やりやがる」


「オマエはバカか。アイツらは油断したから負けたんだ」


白パーカーが冷静に言い放った。


「油断……だといいんだがな」


赤パーカーの声には、隠しきれない緊張が滲んでいた。


「僕が戦う相手を、カクガリクンが倒してしまいましたねぇ」


レンズが残念そうな、それでいてどこか楽しそうな顔で笑った。


「カクガリクンをぶつけといて、よく言うぜ」


オレが呆れて言うと、ボイスが横から冷静にツッコんできた。


「大便さんも、カクガリクンを利用してたじゃないですか」


「人聞き悪りぃな」


「ヨッシャ!」


「負けた……!」


アーマーとホワイトが同時に声を上げる。


「ジャンケン勝ったから、次はオレだ」


アーマー隊長がムチを取り出し、構えを取った。


「つうか、今までジャンケンしてたわけ? 長すぎ!」


ロジナスが呆れたようにツッコむ。


「赤パーカー、俺が相手だ!」


アーマーがムチを打ち込む。赤パーカーはそれを軽くかわすと、不服そうに口を開いた。


「戦うって言ってねえのに……ブタがァ!」


赤パーカーは両手に、それぞれダガーを構えた。


「ダガーか! そんな短剣二本で何ができるんだ!」


アーマーが素早くムチを打ち込む。

だが赤パーカーは、静かに呟いた。


「『揺灯火舞(フリッカーブレイド)』」


ロウソクの炎のように不規則にブレる、炎の刃。それが瞬く間にアーマーの全身を無数に刻んだ。


「熱ィィィィッ!!」


刻まれた傷口の一つ一つから、ボッと音を立てて炎が燃え上がる。


「この技は、切られた場所が燃える技だ。ブタが焼豚になってしまったな」


赤パーカーが冷たく言い放った。


「このままだと本当の焼豚になるから、火消さないとヤベーんじゃね?」


ロジナスがのんびりとした口調で指摘する。


「今、火を消してやるからな!」


ホワイトが草原の土を両手ですくい、アーマーの体にかけた。だが、焼け石に水――いや、焼豚に土である。炎はまるで衰える気配がない。


「オマエは土で消火しかないのか! しかも土、少なくて全然足りてねえし!」


アーマーが涙目で怒鳴る。


「ションベンで火を消しますね!」


カクガリクンがそう言うが早いか、アーマーに向かって盛大に放尿を始めた。


「クサっ! 量は多いけど、まだ火が消えねえ! つうか虹を出すな!」


アーマーが悲鳴とともに抗議する。燃え盛る炎の向こうで、小さな虹がうっすらと架かり始めていた。


「何か、情報が渋滞してますね……」


ボイスが額を押さえて呆れる。


「仲間が燃えてるのに焦らないとは……ブタが足手まといか何かか?」


赤パーカーが、憐れみの籠った目でアーマーを見つめた。


「オマエ、鋭いな!」


オレが思わず褒めると、赤パーカーはまんざらでもなさそうに、わずかに頬を緩めた。


「誰が足手まといだ、赤パーカー! 大便も失礼だな!」


アーマーが怒りに任せて叫ぶ。


「つうか、怒ってる場合か? 火がついてるぞ。あと、ションベンもな」


赤パーカーが、心底うんざりした様子で告げた。

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