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第45話 狂気


「まぁ、ガーディアンズは訓練受けてるから平気だろ?」


オレが軽い調子で言うと、ガーディアンズ全員が声を揃えて叫んだ。


「「「平気ではない!!」」」


「ロジナスも、臭くて黒マスクしばらく外せないし」


ロジナスが涙目のまま、しかめっ面でマスクの位置を直す。


「ロジナス、あとでボイスが唐揚げ奢るから許してくれ」


「唐揚げ! それなら許す!」


マスク越しでも分かるほど、ロジナスの声がぱぁっと明るくなった。


「何で、大便さんじゃなくて僕が奢るんですか!」


ボイスが即座に抗議の声を上げる。


「オレ敵2人倒したし、一番金持ってるしいいじゃんか!」


「……まあ、そこは認めざるを得ませんね」


ボイスは渋々といった様子で頷いた。

(敵を仲間割れさせてから、弱ったところを見計らってトドメを刺した。やはり大便さんは本物だな)


ボイスは何かに納得したように、静かに口元を緩めた。


「僕の目に狂いはありませんでしたね」


「「ボイスが笑ってる!? クサいニオイを嗅いで頭が狂ったのか!?」」


アーマーとホワイトが即座にハモってツッコむ。


「頭が狂ってるお二人に言われたくないです!」


ボイスが少しムッとした顔で言い返した。


「ボイス、悪いけどオレが戦えるのはここまでだ。敵に手の内がバレたから、後はオマエらに任した」


「2人倒してくれましたし、分かりました!」


「あれは倒したと言えるか? 不意討ちじゃないか」


アーマーとホワイトが胡乱げな視線を寄越す。


「結果出せば過程はどうでもいいんだよ!」


「確かに、戦術みたいなもんでしたし!」


ボイスが庇うように付け加えた。


「あと3人は、我々でパパっとやりますよ」


レンズが眼鏡を光らせながら、涼しい顔で言う。


「パパっとやりますよとは、ナメられたもんだな」


黄色いパーカーの男が、低い声で応じた。


「黄パーカーさんは、どうやら私がご指名みたいですね」


「死ねッ!」


黄パーカーが構えたボウガンから、レンズの心臓目掛けて矢が放たれた。


レンズは表情ひとつ変えずに、隣にいたカクガリクンの体をひょいと盾にした。矢はそのままカクガリクンの心臓に、深々と突き刺さった。


「やっべー! 今、心臓に矢が刺さってますぅ!」


カクガリクンが興奮したように叫ぶ。


「心臓に矢が刺さったら、『やべー』で済まないでしょう!」


ボイスが悲鳴じみた声を上げた。


「コイツなら心臓に矢刺さっても死なないっしょ」


ロジナスは涼しい顔で、どこから取り出したのか小さな鏡で前髪を整え始めた。


「次はどっちが戦うか、ジャンケンで決めよう」


アーマーとホワイトも、心臓に矢が刺さった仲間そっちのけで話し合いを始めている。


「仲間の心臓に矢が刺さってるのに、呑気すぎないか……?」


黄パーカーがドン引きした様子で呟いた。


「クセになりそう! もう一発ください!」


カクガリクンが恍惚とした表情でリクエストする。


「この変態がッ! リクエストどおり、もう一発くらわせてやる!」


黄パーカーがボウガンを構え直し、叫んだ。


「『電弧流転矢(アーク・ディスチャージ)』!」


空気を引き裂きながら、眩い光の線となった電気を帯びた矢が放たれ、カクガリクンの体を貫いた。


「電気は流石にカクガリクン死ぬか賭けねえ? 俺、生きてる方に唐揚げ2個」


オレが顎に手を当てて呟くと、レンズがすかさず乗ってきた。


「電気くらったことはないでしょうから、死ぬ確率は全然ありますよ。死ぬに唐揚げ3個です」


「コイツら、仲間が死んでるかどうかで賭けするなんてイカれてやがる……!」


黄パーカーが本気で引いた声を漏らす。


『電弧流転矢』を受けたカクガリクンは、その場に崩れ落ちたまま、ピクリとも動かなくなっていた。


「カクガリクンーッ!!」


オレは思わず叫んだ。


「唐揚げ2個かけてんだから、死ぬなよ……!」



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