↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

44/78

第44話 絶技


「紫ィ!!」


青フードが咆哮とともに斧を振り上げ、猛烈な連撃を叩き込み始めた。防戦一方となった紫フードは、槍で受け続けるだけで精一杯のようだった。


(……2人が本気で仲間割れしてるってのに、他の3人は止めようともせず、ただ黙って見てるな)


オレは腕を組み、冷静に状況を分析した。赤、黄、白のフード3人は、まるで他人事のように少し離れた場所で立ち尽くしている。


(コイツら、実はそんなに仲良くないんじゃないか?)


そうこうしているうちに、防戦一方だった紫フードが、焦った様子で叫んだ。


「このままではヤラれる!」


紫フードは槍を勢いよく地面に突き刺した。


「『造山運動(オロジニクス・ディザスター)!』」


次の瞬間、ドゴゴゴゴゴッ! という凄まじい地鳴りとともに、地面から超巨大な岩盤と、鋭く尖った岩の山(岩峰)が猛スピードで突き出した。


その切っ先が、真上にいた青フードの体を、下から串刺しにするように突き上げる。


「な……っ、異世界きて初めて、ちゃんとファンタジーっぽい技を見たぞ……!」


オレは驚きと、ちょっとした感動すら覚えながら、その光景に見入ってしまった。


「あれでケツを刺されたらたまらんでしょうなぁ!」


カクガリクンが目を輝かせて歓喜の声を上げる。


「久々に喋ったかと思ったら、くだらない願望だな……」


アーマー隊長がドン引きしながら呟いた。


尖った岩峰が青フードの腹部を貫き、致死量ではないかというほどの血を、青フードは大量に吐き出した。


「……死んだか? 喧嘩を売ってきたテメエが悪いんだからな」


紫フードが荒い息のまま、勝ち誇ったように言い放つ。


「テメエも……道連れだ!」


だが、青フードはまだ息絶えていなかった。血まみれのまま斧を握り直すと、低く唸るように叫んだ。


「『超音波刃(ソニック・デシメーター)』」


斧が音速を超える速さで振り抜かれた瞬間、目に見えない高密度の衝撃波――超音波の刃が放たれる。


「なっ……!?」


紫フードが驚愕の声を上げる間もなく、衝撃波が直撃した。紫フードの口からも、おびただしい量の血が噴き出す。


「なんかウチらと違って、シュッとした戦い方じゃね?」


ロジナスがしみじみと呟いた。


「まぁ、拳やムチとか薬物だの……泥臭いのは否めないな」


ホワイトが遠い目をしながら同意する。


「明らかにスタイリッシュなバトルで、ジャンルが違う感はありますね」


レンズも冷静に分析を加えた。


「皆さんの感想、戦い方の見た目についてばっかりじゃないですか!」


ボイスが呆れたようにツッコんだ。


そんな中、オレは懐からごそごそと何かを取り出し、ロジナスに手渡した。


「ロジナス、コレをつけろ」


「え、何これ? よく分かんないけど分かった!」


ロジナスは深く考えることなく、素直にそれを顔に装着した。黒いマスクだ。地雷系の私服と相まって、その姿は完全にト◯横界隈にでも生息していそうな見た目に仕上がっていた。


一方、互いの必殺技を受け合った青フードと紫フードは、すでに瀕死の状態でその場に崩れ落ちていた。


再び武器を取り、相手にトドメを刺そうとするも、もはやその手には武器を持ち上げる力すら残っていない。


「テメエを倒すには……コブシで充分だ」


青フードが震える拳を構える。


「武器を使わないんなら……ちょうどいいハンデだな」


紫フードも同じくファイティングポーズを取った。


「――おい」


気づけばオレは、2人の間合いの中に、静かに立っていた。


「黒鎧、テメエ……!?」


紫フードが警戒するように声を上げる。

その隙に、オレは背中の黒い筒から、新聞紙に包まれた聖なるブツを取り出すと、まず紫フードの鼻先へ突きつけ、続けて青フードの鼻先にも突きつけた。


「クサっ、クッサァァァァァァ!!」


2人はほぼ同時に嘔吐しながら白目を剥き、そのまま声もなく崩れ落ちて息絶えた。


「まず2人……!」


オレは満足げに呟くと、聖剣(大嘘)を静かに鞘へと収めた。


「使うなら使うと言えッ!!」


ガーディアンズ全員が、揃って鼻を押さえながらオレに詰め寄る。


「黒マスクしてても臭すぎなんだけど!」


ロジナスもまた、眉間に深いシワを寄せながら涙目で抗議していた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。