第4話 名探偵の推理
「おい貴様、生きてるのがオレたち以外でお前だけってことは……まさか、お前がやったのか!?」
ガーディアンズの、戦士のコスプレをしたブタ(あるいはブタのコスプレをした戦士)が、鼻の穴をフガフガと興奮させながらオレを指差した。
まぁ、そうなるよな。
客観的に見て、死屍累々の現場のド真ん中に、新聞紙で包んだ謎の物体を握り締めた男がぽつんと立っているのだ。どう考えても第一発見者どころか、現行犯のテロリストである。
だが、オレは一介の剣士だ。この程度の尋問で動揺するようなタマじゃない。
オレはフッと冷たい笑みを浮かべ、あえて冷静沈着なトーンで答えた。
「――オレがやっただと? 買い被るな。オレがこの酒場に来た時には、もう全員が床で行き絶えていたさ。そして……テーブルの上には、この『新聞紙に包まれたウンコ』だけがポツンと残されていたんだ」
「なんだと……!?」
ブタ戦士がゴクリと息をのむ。よし、食いついた。
オレは新聞紙のグリップをさらに強く握り締め、あたかも現場検証を行う名探偵のような鋭い目付きで周囲を睨みつけた。
「いいか、よく考えろ。この『新聞紙に包まれたウンコ』こそが、犯人が残していった謎のメッセージ……いや、犯行声明に違いない。オレはただ、不審に思ってそれを拾い上げただけの無辜の市民だ」
自分で言いながら、我ながら完璧な推理だと惚れ惚れする。
誰がどう見ても、オレのケツから出たばかりの新鮮な一本糞だが、それを知っているのは世界でオレ一人だけだ。
「つまり、これほどの凄惨なバイオテロを引き起こした真犯人は……まだ、この近くに潜んでいるかもしれないってことだ!」
オレはビシッとギルドの出口を指差した。
さあ、どうするガーディアンズ。
オレを疑っている暇があったら、今すぐその辺の草むらにでも捜索しに行くんだな。運が良ければ、オレのケツの拭き残しを拭いた、もう一枚の聖なる新聞紙が見つかるかもしれないぞ。




