第22話 死闘②
流石のロジナスも、この規格外の変態性には驚きを隠せず、一瞬だけ攻撃の手が止まった。
「さあ! ロジナスちゃんの左腕をキツく、これでもかってくらい締め上げておきますから、もっとオレの生ケツとお腹に、激しいお仕置きをくださいぃぃっ♡」
カクガリクンは完全に興奮しながら、ロジナスの左腕をさらに強くロックし、懇願の声を上げる。
「クソッ……このままだとガチで左腕折られる……!」
ロジナスは少し本気を出すことにした。
引き絞った右拳を、カクガリクンのアゴの先端をかすめるように、神速の速度で放つ。
脳に強烈な回転の振動を与えると、意識が遮断される。人体の仕組みを利用した右突きだ。
ドンッ……。
「あ、れ……?」
アゴに鋭い一撃を喰らった瞬間、カクガリクンの脳が一瞬で激しく揺さぶられた。
三半規管を完全にクラッシュされ、目の前の視界がグニャグニャと万華鏡のように歪んでいく。
カクガリクンはロジナスの左腕から力なく両手を離した。
「何、これ……」
消え入りそうな声でそう囁くと、プロレスラー体型の巨体は、そのまま糸の切れた人形のように床へとバタリと崩れ落ちた。
「バケモノか……。ここまでのガーディアンズのエリートたちを、一人で手玉に取るとは……」
頼みの綱だった仲間たちが全滅し、ビキニ一丁のホワイトがかつてない絶望の表情を浮かべていた。
(キタキタキタキタァァァーーーッ!!!)
この誰もが絶望する最悪の修羅場のなかで、オレのクズの脳内コンピューターが、パチパチパチパチと今日一番の狂った超高速音を立てて、最高に悪魔的な解決策を弾き出した。
(おいおい、待てよ……。コイツらが戦いに夢中になってるあいだにさぁ、オレだけこの店からそっと脱出して、外から店に火をつけて全員丸ごとすべて燃やしちまえば、オレの冤罪も、ギルド大量殺人の証拠(※ウンコ)も、全部この世から消え去って完全勝利で解決するんじゃねえの……!?)
目の前の本格格闘バトルの緊張感をミリも理解せず、オレは俺だけの自由を手に入れるためへの扉を開くために、誰も見ていない出口へとそっと足を忍ばせ始めた。




