第21話 死闘①
壁際で芸術的なW気絶を決めたチョウ・ナンとクワカブトを見届け、ビキニパンツ一丁のホワイトが鋭く前に躍り出た。
「……これ以上の暴挙は許さん。貴様の相手はオレだ!」
ホワイトの拳が、空気を切り裂く。電光石火の速度で放たれた左ジャブの連打が、最短距離でロジナスの顔面へと襲いかかった。
しかし、ロジナスはその怒涛の拳を前にしても、ジト目のまま眉一つ動さない。
フッ、フッ、と、まるで風に揺れる柳の枝のように、上半身の最小限の動きだけでホワイトの高速ジャブをすべて華麗に紙一重でかわしきってみせた。
「なに……!? オレの最速のジャブを、すべて目視で避けたというのか……!」
ホワイトの黒い肌に、驚愕の冷や汗が流れる。
「ホワイトさん、加勢します!」
「オレのケツが、お仕置きのために疼いていますぅぅ!」
背後から、浪人生メガネのレンズと、下半身丸出しのカクガリクンが同時にロジナスへと襲いかかった。
「喰らいなさいッ!」
レンズが手にした燃え盛るロウソクから、ドロドロに溶けた熱いロウをロジナスめがけて勢いよく飛ばす。
「うわ、最悪。SMプレーならさぁ、別料金たくさん貰わないと割に合わないし!」
ロジナスはステップを踏んでその熱い液体を優雅に回避すると、その勢いのまま、レンズの側頭部へ向けて強烈なカウンターの回し蹴りを叩き込んだ。
ドガァッ!!!
「あがッ……!?」
レンズはまるで地面に磁石で吸い付けられるかのように、一切の受け身も取れず、不自然な速度で床へと叩きつけられて沈黙した。
「今ですぅぅぅッ!!」
レンズの犠牲を無駄にせず、プロレスラー体型の巨大な影――カクガリクンが、ロジナスの背後からその左腕をガシッと強固にホールドした。
「捕まえましたよ、可愛いロジナスちゃん! このまま、その細い左腕をへし折って差し上げます!」
カクガリクンが自慢の怪力で、じわじわと関節を極めにかかる。
「チッ、うざい。キャストへのお触りは厳禁だよ。離れろクソデカ変態!」
ロジナスは体を半身にひねると、空いた右拳を強烈に引き絞り、カクガリクンの分厚い腹部へと目にも留まらぬ『右正拳突き』の連打を容赦なく浴びせ始めた。
ドゴッ! ドゴッ! ドゴゴゴゴッ!!!
常人なら内臓が破裂してその場にのたうち回るほどの凄まじい衝撃。
だが、その打撃を真正面から浴びたカクガリクンは、あろうことか顔を真っ赤に染め上げ、恍惚の表情でヨダレを垂らし始めた。
「あはぁぁぁっ♡ もっと、もっと激しく殴ってください、ロジナス女王様ァッ!!」
「……は? ちょ、どんだけドMなんだよコイツ、マジで引くわ……っ!!」




