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ある神官の成長日誌 〜ジュール編・そのに〜  作者: くらま
1.戦士を釘付けにするには?
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ある神官の成長日誌 〜ジュール編・そのに〜 07

 開始の合図は、無かった。2匹の獣の戦闘は、唐突に始まった。




 剣が舞う。拳が飛ぶ。足が飛ぶ。




 それだけではなかった。足先で土を蹴り上げる。草を抜いて、投げつける。草を抜いた穴を、罠として使う。


 レイブンは、ひたすらコンパクトに剣を振るっていた。隙をこじあけ、相手の嫌なところに剣先を叩き込む。


 ドラナは、ひたすら大振りだった。相手の防御を物ともせず、力ずくで剣を叩きつける。




 そんな2人の戦いを見ながら、不穏な動きをしている小さな影があった。

「ジュール、なにをしているの?」

 ジュールのお腹に手を回し……ジュールの頭越しに観戦していたバルナスが、ジュールの奇行に気づいたのだ。


 ジュールは両手の人差し指と親指を伸ばし、人差し指をレイブンに向けていた。時々人差し指を跳ね上げる仕草をしている。


「レイブン様と、戦っています」

「レイブンと、戦う?」

「本気で動いているレイブン様に、気合弾の魔法 (フォース)を当てる……練習です」

 指先を拳に見立てて、練習していた。魔力は込めていないので、気合弾の魔法 (フォース)は発射されない。


「アレ……当たる?」

 バルナスは、戦う肉食獣たちを見つめた。

“当てられる気が……まったくしない!!”


「当たらないです……」

 ジュールが凹んだ。


「どれぐらいの確率?」

「30発撃って……1発、当たるか当たらないか、ですね」


「戦士(ファイター)ってヤツらはさ。こっちの魔法を……見てから避けるんだよ」

 バルナスは、ひたすら嫌そうだ。

「連射しようが、時間差で撃とうが、避けられちゃうから、当たらない」


「まぐれで当たっても、ダメージ無視して……突っ込んでくるから!! 怖いんだよ!!」

「ほんとうに……怖いです」


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