ある神官の成長日誌 〜ジュール編・そのに〜 53
「自分で言うのもアレだが……」
ドラナが続けた。
「普通の回復魔法……封印したい……」
「うん……」
「見てられないよね……」
「痛そう……」
周囲の女性神官戦士が、こくこくと頷いていた。
「次は……分割回復魔法だ」
ドラナは小さく苦笑を浮かべてみせた。
「とはいえ……ガロン師みたいな、職人技は……できないからな。簡易版だ」
「職人技?」
「ガロン師や、ジュールちゃんが体得してるヤツだ」
「???」
「あれは……キレイだぞ……」
ドラナの瞳には、強い憧れの光が宿っていた。
「両手の人差し指に、回復魔法を準備して……。
右手が……血管。血の流れる管だな。これを修復……。
左手が……筋肉。裂かれた肉だな。これと……神経。筋肉を動かす細い何かだな。これを修復……。
右手と左手が、別の回復を行って……。気が付くと……傷が塞がっている……」
「???」
リリスはその姿を想像した。いまいち、映像が浮かばない。
「あんな職人技は、あたしには無理だから……」
ドラナの右手人差し指に、癒しの光が宿った。そのまま、レイブンの別の傷にむかって、癒しの光を照射していく。
「最初は……血管……これを繋いで、血を止める」
レイブンの傷から、血が流れなくなった。
「ワインで傷口を洗ってくれ。筋肉と神経の修復に移る……」
ドラナの指示を受け、レイブンの傷口にワインがかけられた。
「ぐうっ……」
レイブンが苦痛の唸り声をあげた。
「我慢してくれっ! 傷口が見えた方が、治りがはやいっ!」
ドラナは辛そうだ。周りの女性神官戦士も、辛そうな顔をしている。




