ある神官の成長日誌 〜ジュール編・そのに〜 05
「姉さん、オレ、目と頭がどうかしちゃったんですかね?」
観戦者の1人が、目をこすりながら、隣の大女に話しかけていた。
「ジュールちゃんの気合弾の魔法 ……時間差で撃ってるように、見えました!」
「安心しな……」
筋肉ムキムキの、ゴリゴリお姉さんである。
「あたしにも、時間差で撃ってるように……見えたよ」
冷や汗を垂らしながら、比較的小声でつぶやいた。
「ジュールちゃんも大概だが……あのレイブンとかいう灰色熊、もっと大概だよ!」
「見えないハズの気合弾の魔法 、短刀で弾き飛ばす?! 目の前で起きてなきゃ、鼻で笑ってるところさっ!!」
お姉さんは、ニヤリと笑った。
「あの灰色熊と、真剣使って戦ってみたいねぇ!!」
大型のネコ科の肉食獣が、獲物ににじり寄っていた。
とんでもない大技を……さらっと完成させてしまったジュールを、保護者のバルナスが心配していた。固く抱きしめたまま、ジュールの体調を気遣っている。
「あの魔術師、偏愛を通り越してるぞ!」
お姉さんは呆れていた。
「なんだ、いまの? すげーなあ、お前!!」
レイブンは、そんな2人だけの世界に、何のためらいもなく踏み込んだ。
「マジかっ!!」
「あの空気を、ぶち壊す?! なんて勇者だ!!」
観戦者が沸いた。
レイブンは、周りの反応を敢えて無視した。
「あとは、連射できれば、牽制としては及第点じゃねぇの?」
「?!」
ジュールの目が、まん丸に開かれた。
次の瞬間、バルナスの叫び声が響き渡った。
「ジュールに、変なことを……教えないでよ!!」




