ある神官の成長日誌 〜ジュール編・そのに〜 04
ジュールが右拳から、気合弾の魔法 を撃った。
レイブンは、余裕で避けてみせる。
「予想通り、あっさり避けたぞ!」
「それはそうだろう! あれぐらい、オレ達でも簡単に避ける!!」
「避けさせるのが、牽制か?!」
「わからんっ!」
一発目までは、このノリだった。
だが……。ジュールが、2発の気合弾の魔法 を両拳から同時に発射した瞬間、観戦者から、大きなどよめきが起こった。
「ジュールちゃんの気合弾の魔法 、なんだか……小さくね?」
「小さいだけじゃ……ないぞ。左右の大きさが、全く同じに見えねえか?」
何人もの観戦者が、自らの目をこすっていた。
さすがの脳筋達も、少し小声になった。
「回復魔法を分割できる、ジュールちゃんだから……」
「ちと待てよ!! 回復魔法と気合弾の魔法 、だいぶ違うぞ?!」
観戦者の困惑を置き去りにして、事態は更に斜め上の方向に転がっていく。
ジュールが気合弾の魔法 を2発、左右の拳から時間差で撃ったのである。
「なんだ、あれっ!?」
「よしっ! 当たれっ!!」
誰もがレイブンの被弾を確信した瞬間……ガイン!! という音とともに、気合弾の魔法 が……明後日の方向に逸れていった。
レイブンが、短刀を使って気合弾の魔法 の軌道を強引に逸らしたのだ。
「短刀抜いて、弾き飛ばしたぁ?!」
「気合弾の魔法 、見えないぞ!! 弾き飛ばせるのか?!」
「あの灰色熊は、やってのけたぞ!!」
「どうやるんだ?!」
「わからんっ!」
「わからんが……燃えるな!」
「燃える!」
観戦者たちは、大騒ぎだ。




