ある神官の成長日誌 〜ジュール編・そのに〜 41
「レイブン、バケモノとは思ってたけど……予想以上のバケモノじゃん……」
性悪猫リリスは、日陰で観戦していた。
水分補強用のワインの樽を台車で運んできて、給水係をしていたのだ。現在は、別の子供に代わっていて、ちょっとした休憩時間となっていた。
「あたしたち神官戦士や兵士と、レイブンみたいな傭兵は……戦う目的が違うからな。模擬戦じゃあ、傭兵に勝てないぞ」
神官戦士ドラナが答えた。さっきまで同僚の女性神官戦士と模擬戦を繰り広げていたのだが、水分補給に来ていたのだ。そのまま、リリスの隣で観戦していた。
「戦う……目的?」
リリスは、コテンと首を傾げた。角度とタイミングを、完璧に計算している。清々しいまでに、あざとい。
「傭兵は、カネの為に戦う。神官戦士や兵士は、信徒や町を守るために戦う。ここまでは、いいか?」
ドラナは、リリスのあざとさを完璧に無視した。
「ドラナが、かまってくれない……」
リリスは、必殺技が通じないので膨れてみせた。
「ドラナ。遠い。だっこ」
両手を上げて、だっこを要求した。
「リリスは、甘えん坊だな。カワイイぞ」
ドラナは、リリスを抱き上げた。嬉しそうな様子だ。
「で、なんでみんなの攻撃は、レイブンに通じないの?」
ドラナの腕の中から、リリスが尋ねた。
「戦う目的の違いが、剣の振り方の違いになるんだ」
「???」
「ちと、説明を省略しすぎたな」
リリスの様子を見て、ドラナが苦笑を浮かべた。
「最初から説明するぞ」
「お願い♡」
リリスは、キラリンと瞳に星なんかを飛ばしてみた。




