ある神官の成長日誌 〜ジュール編・そのに〜 38
「よしよし。落とし前の付け方としては、完璧だな!!」
戦士レイブンが、うんうんと頷いている。
“ああいう馬鹿は、きっちり倒すに限る。まあ、殺さないのは、減点だが……”
「ジュールちゃん、やるなあ……」
神官戦士ドラナは、賞賛していた。
“よい殺気だ。躊躇も、遠慮も無い。見た目は華奢だが、いっぱしの戦士だな”
「ジュールちゃん、いかしてるぅー」
性悪猫リリスは、遭えて軽い口調で褒めた。
“このお姉さん、やばすぎ……。いかれてるなんてもんじゃないわね!? ヒトがヒトに向けて良い感情じゃ……ないわよ?!”
「これで、ああいう馬鹿は、湧いてこなくなるじゃろ……」
ドワーフのガロンは、エールを飲み干した。
“躊躇が無いのは良いの。ただ、先程の気合弾の魔法……大きさが……妙に小さかったが……”
「ジュール!」
魔術師バルナスは、ジュールを抱きしめた。
「君は、最高だよっ!!」
“さっきのクソガキ、馬鹿馬鹿!! 顔は、覚えたよ……”
「そろそろ、部屋に戻るな」
レイブンがドラナの右手を左手で捕まえた。そのまま、手を繋ぎ、立ち上がる。
「お前も、来るよな?」
リリスを右手で、抱きかかえる。
「ふ、ふぇっ?」
リリスは混乱している。
「結婚してくれるんだろ? 夫婦は、同じ寝室で寝るもんだぞ」
レイブンは、ニッコリ笑った。
そのまま、唖然としているドラナとリリスをつれて、去っていった。
「レイブン……」
魔術師バルナスは、天を仰いだ。
“あの言葉……裏が、全く無いんだよね……”
「リリスちゃん……明日、会えますか……ね?」
神官ジュールは、神に祈った。
“レイブン様……手加減と言う概念が……完全に抜け落ちておられますから……”
「それは、神のみぞ、知る……じゃな」
ドワーフのガロンは、達観していた。
“まあ、死にはせんじゃろ……。レイブンは、そのへんだけは……弁えておるからの……”




