ある神官の成長日誌 〜ジュール編・そのに〜 24
「神様は死なないが、消滅は……する。この消滅っていうのが、あたしたちで言う……死ぬってことらしい」
「死なないけど……消滅……するのか……」
「神様は死なないが、痛さは感じるらしい」
「死なないのに、痛い?! なんだか……嫌だな、それ」
「あたしも……そう思う……」
「死なないけど、痛さは感じるってことで、神様たちの間で、不文律ができたらしい」
「不文律?」
「明文化されていない暗黙のルール ……つまり、皆が従う約束 、だな」
「どんなヤツだ?」
レイブンの疑問に、ドラナが答えた。
「股間への攻撃は、止めましょう……てヤツだ」
「こ、股間?!」
レイブンは嬉しそうだ。内面がおこちゃまなので、こういうネタは、大好きである。
「股間かよ!! たしかに、めちゃくちゃ痛いけどよぉ!!」
「言ったろ? 不文律だって」
ドラナはニコニコしていた。レイブンが嬉しいと、ドラナも嬉しいらしい。
「で、我らが戦神様だが、不文律を無視して、股間攻撃を解禁したらしい」
「うわーお!! まじかよっ?!」
レイブンは手を叩いて喜んでいた。
「股間も攻撃……じゃないぞ。股間しか、攻撃しなかったらしい」
「ぶはっ……」
レイブンがエールを噴いた。
「戦神様が使っていたのは、槍斧 だ。ただこれが……ちょっと普通じゃなかった」
「ごくっ」
「普通の槍斧は、先端が槍になってて、槍の下に斧。斧の反対側がかぎ爪になってる。ここまでは、いいか?」
「ああ。使ったことがある」
「戦神様が使っていたのは……かぎ爪部分が、金槌になってたらしい」
「金槌?! 鍛冶屋がつかう、あれか?」
「そう。あれだ」




