ある神官の成長日誌 〜ジュール編・そのに〜 22
「レムリカ渓谷で、戦神様は、引き撃ちを行ったと言われている」
「引き撃ち? 引き付けて、集中砲火食らわす、アレか?」
「そう。その引き撃ちだ」
「その、引き撃ちの時に、思いっきり……やらかした、らしい」
「戦神様が、思いっきり?!」
レイブンは、嬉しそうだ。
「もしかして、歴史に残せないレベルのヤツか?」
ドラナは神妙な顔付きで、頷いた。
「ああ。戦神神殿にしか、伝わっていない」
「やべー!! 楽しみだっ!! おばちゃん! エールおかわり!」
レイブンは、ニコニコしていた。この手のお話、大好物である。
「引き撃ちの囮は、当然戦神様だ。で、戦神の後ろに、お二人の神様がいた」
「誰だ? 鍛治の神様か? 盗賊の神様かも知れない」
「知識の神様と、商売の女神様だ」
「知識の神様と、商売の女神様?!」
戦士レイブンは、吃驚していた。
「あのお二人、剣の腕は……あんまり、じゃないか?」
「あのお二人の武器は、剣じゃないぞ。口と……頭だ」
「待って! 待って! 待って!」
魔術師バルナスが話に入ってきた。
「それって、口撃ってこと?!」
「そうだ」
神官戦士ドラナが頷いた。
「知識の神様と、商売の女神様の……口撃。想像しただけで、嫌すぎる……」
バルナスは、うえーって顔をしていた。
「それは……嫌……です……」
隣で、神官ジュールも、嫌そうな顔をしていた。
「なんとなく、想像はつくが……」
豪胆なレイブンも、引いていた。
「たぶん、想像よりも……えげつないぞ」
話しているドラナも、心底嫌そうだ。




