ある神官の成長日誌 〜ジュール編・そのに〜 16
理解が追いついたのだろう。食堂内は、阿鼻叫喚である。
「ドラナの姉さんっ?!」
「あの、灰色熊……とんでもねぇっ!!!」
神官たちが、大騒ぎ。
「やっぱり……こうなったかぁ……」
「レイブン様……ですし……」
「レイブン……じゃから、のお……」
パーティーメンバーは、呆れていた。
「ドラナとレイブン! あんたらの皿は、肉大盛にしといたよっ!!」
「ワインとエールも、沢山準備してある。いっぱい飲みなっ!!」
食堂のおばちゃんたちは、楽しそうだ。ちなみにこの世界、生水を飲むのは厳禁である。冗談抜きで、命にかかわる。
ある程度食べて飲んで、人心地がついたのだろう。レイブンが誰ともなしに尋ねた。
「戦神様って、卑怯な振る舞いを嫌うんだよな?」
「しかり」
「ああ。そうだな」
ガロンとドラナが答えた。
「でもよ。ガロンのおっさんも、ドラナも……けっこうエグい手、平気で使うよな?」
レイブンはエールを一口飲んだ。
「あれって、周りから見ると……卑怯だよな?」
「否定はせん」
「勝つためなら、手段を選んでられないからねぇ……」
ガロンは苦笑し、ドラナはあっけらかんと答えた。
「オレは戦士だから、手段を選ばないし、選んでられない」
レイブンが続けた。
「じゃあ、なんであんたらに戦神様は、力を貸してるんだ?」
「戦神様はの……」
ガロンが続けた。
「卑怯な心根による、卑怯な振る舞いを……嫌っておる」
「??? 卑怯な心根?」
「例えば、弱者をいたぶる行為。これは、卑怯な心根から生まれておる」
ガロンが答えた。




